キッチンカーの仕込み場所を素早く低コストで用意するならレンタルがおすすめ
キッチンカーの仕込み場所を素早く、そしてコストを抑えて用意する方法として、仕込み場所のレンタルサービスが有用です。
キッチンカーの開業で大きな課題となるのが仕込み場所の確保です。開業するためにはキッチンカーとは別に保健所から営業許可を受けた仕込み場所を用意する必要がありますが、そのために物件を借りたり、一から設備を整えたりすると大きな初期費用や準備期間が必要になることもあり、小資本で素早く起業できるというキッチンカーのメリットを最大限活かすことができません。
この記事では、まず仕込み場所のレンタルサービスとは何かを説明し、そのあとで仕込み場所をレンタルするメリットと注意点について解説します。また、レンタルサービスの例をいくつかご紹介します。
仕込み場所のレンタルサービスとは
仕込み場所のレンタルサービスとは、すでに営業許可を取得しているキッチンを時間貸ししてくれるサービスのことです。「レンタルキッチン」や「シェアキッチン」、「クラウドキッチン」などとも呼ばれます。
自ら物件を借りて営業許可を取得する必要がないため移動販売を比較的短期間に開業することが可能で、しかも設備や調理器具を複数人とシェアするため1人あたりの費用負担は少なく、より少ない資金で開業できます。
コンロや冷蔵・冷凍庫、シンク、食洗機など基本的な設備のほか、まな板、ボウル、ざる、鍋、計量カップなど細かな調理器具が用意されており、自由に利用できます。電源やWi-Fiも使えます。
料金体系は「登録料+1時間あたりの利用料」としているところが多いです。繁忙期は仕込みに時間がかかるため利用料が増え、閑散期は逆にあまり仕込みに時間が掛からないため利用料が抑えられる傾向があります。
仕込み場所のレンタルサービスを利用するメリット
仕込み場所をレンタルするメリットは、まず費用が抑えられることです。場所そのもののほかに、調理に必要な設備や器具までレンタルできるため、開業時にかかる負担を大きく減らせます。また、仕込み場所の営業許可を取得する必要がないため、素早い開業が可能です。
開業費用が抑えられる
1つめのメリットは、開業にかかる費用を小さく抑えられることです。レンタルキッチンは、1時間あたり数百円で利用できるサービスもあるため、小資本で開業できるキッチンカーと相性がよいといえます。
調理器具が揃っている場所であればさらに費用が抑えられ、メニュー開発やキッチンカーの設備や内装など、ほかの部分へ資金を集中させることが可能です。
一から物件を取得する場合、敷金礼金などに数十万円の費用がかかることもありますが、仕込み場所をレンタルすれば費用を5~7割程度にすることも可能なため、レンタルキッチンは、できるだけ少ない資金で開業したい方や、万が一廃業してしまった際のリスクを最小限に留めたいと考えている方にとって頼もしいサービスといえます。
素早く開業できる
2つめのメリットは、素早い開業が可能なことです。キッチンカーで開業するためには、キッチンカーだけでなく仕込み場所にも営業許可が必要です。
営業許可を取得するためには仕込み場所の設計図や申請書類を作成、提出する必要があり、かなりの手間と時間がかかります。
そもそも仕込み場所として使用できる場所を見つけること自体に時間がかかります。すでに飲食店を運営しているのならそこを使えば問題ありませんが、多くの場合、知人の飲食店の厨房を貸してもらったり、仕込み用に安い部屋を借りたりして何とか場所を確保します。
レンタルキッチンを利用すれば、キッチンカーの営業許可のみで開業できるため、比較的時間も手間もかかりません。
仕込み場所のレンタルサービスを利用するときの注意点
仕込み場所をレンタルする際に注意したいポイントは、営業許可の種類を確認することと、料金体系をしっかり確認してあらかじめシミュレーションすることの2点です。せっかく借りたキッチンが仕込み場所として使えなかったり、ほかの方法で場所を用意するよりトータルの費用が大きくかかってしまったりしては本末転倒です。
営業許可の種類を確認する
仕込み場所をレンタルする前に、営業許可の種類を確認しましょう。保健所の営業許可は1種類ではなく、業種によって異なるためです。
例えば、煮物などの仕込みのためには「そうざい製造業」の許可が必要です。しかし借りたレンタルキッチンの営業許可が「菓子製造業」のみだった場合、ケーキなどの菓子類のみしか仕込みをすることができず、煮物の仕込み場所としては認められません。
営業許可のある場所をレンタルしたとしても、販売したい商品の業種に合っていなければ、仕込み場所として利用できず、登録料や契約の手間が無駄になってしまうため注意が必要です。
料金体系を確認する
費用負担が軽いことも、レンタルキッチンのメリットですが、料金体系は必ず事前に確認しましょう。
レンタルキッチンによっては、フードデリバリー需要の高い場所の近くに仕込み場所がある、マーケティングなどのサポートを受けられるなど独自のサービスを展開しているところもあります。
独自のサービスを提供しているところは、登録料が数十万円~と高額なところも多いです。
多額の初期費用が必要なサービスは、短時間の利用だと割高になるうえ、費用負担が軽いというレンタルのメリットを活かせません。
事前に料金確認をして、仕込み場所にかかる費用のシミュレーションを行うとよいでしょう。
仕込み場所のレンタルサービスの一例
仕込み場所のレンタルサービスの例として、「Sellers Kitchen」「コーカ_キッチン」「KiKi北千住」の3つのレンタルキッチンをご紹介します。このほかにもたくさんのサービスが存在しますが、料金体系や営業時間など、一例としてぜひ参考にしてください。
Sellers Kitchen(セラーズキッチン)
Sellers Kitchenは東京都八王子市にあるレンタルシェアキッチンです。
オーナーの安達さんは「多額の費用を投じて実店舗を持たなくても、お菓子やそうざいを販売できる選択肢を知ってほしい」との思いで、Sellers Kitchenを運営しています。
Sellers Kitchenの料金プランは3つあり、その中でも製造元としてSellers Kitchenを表記し商品の製造販売が可能な「Sellers会員」の料金体系を紹介します。
管理費 |
10,000円/月(税別) |
登録料 |
3,000円(税別) |
利用料 |
平日800円/時(税別) 土日祝900円/時(税別) |
取得済み営業許可 |
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備考 |
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Sellers Kitchenの基本情報は下記の通りです。
店名 |
Sellers Kitchen(セラーズキッチン) |
住所 |
東京都八王子市明神町3-23-1 2階 |
営業時間 |
8時~20時(前後1時間は応相談) |
定休日 |
不定休 |
関連リンク |
コーカ_キッチン
コーカ_キッチンは、株式会社@カマタが運営する、創業支援機能を備えたコワーキング施設「KOCA(コーカ)」内にある、会員制シェアキッチンです。
厨房は2坪ですが、創業のサポート機能があり、KOCA内のシェアオフィスも利用可能なため、キッチンカーでの独立開業を目指している方におすすめです。
コーカ_キッチンの料金プランは3つあり、それぞれ下記表の通りです。
月20時間コース(会員登録制) |
月額利用料24,000円(フリーアドレス利用料込、税別) ※月20時間以内利用可能/21時間以上の利用は1,000円/時間 |
フリーコース(会員登録制) |
月額利用料15,000円(フリーアドレス利用料込、税別) 1,000円/時間加算 |
スポット利用(会員登録無) |
4,000円/1時間(税別) ※3時間から利用可能 |
取得済み営業許可 |
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備考 |
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コーカ_キッチンおよびKOCAの基本情報は下記の通りです。
店名 |
コーカ_キッチン |
住所 |
東京都大田区大森6丁目17-17 |
営業時間 |
平日 9時~22時(受付時間:9時~18時) 土日祝 10時~20時(受付時間:10時~18時) |
定休日 |
なし |
関連リンク |
KiKi北千住
KiKi北千住は、東京都足立区千住にある展示・イベントスペースです。レンタルスペースとしての貸し出しも行っており、厨房をシェアキッチンとして利用できます。
揚げ物などの油物や臭いの出るもの、生モノは調理できないため、注意が必要です。料金プランは下記表をご参照ください。
利用料 |
22,000円/月(税込) |
初期登録料 |
11,000円(税込) |
取得済み営業許可 |
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備考 |
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KiKi北千住の基本情報は下記の通りです。
店名 |
KiKi北千住 |
住所 |
東京都足立区千住東1丁目16−2 |
営業時間 |
13時~19時 |
定休日 |
火曜日・水曜日 |
関連リンク |
仕込み場所をレンタルしてスピーディーかつスムーズに開業する
キッチンカーの仕込み場所をできるだけ費用をかけず素早く用意する方法として、仕込み場所のレンタルサービスをご紹介しました。
仕込み場所のレンタルサービスを活用すれば初期費用を抑えられるだけでなく、営業許可の取得にかかる時間や手間が省けるのでより短期間でキッチンカーの開業を果たすことができます。
起業の成功確率を高めるためには、小さく事業を開始し、損益分岐点を下げる工夫が必要です。仕込み場所の用意に悩んだら、このようなサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。