雇われ店長は悪いことばかり?メリット・デメリットとオーナー店長との違いについて
雇われ店長という立場には、経営面でのプレッシャーが少ない・業務面でのスキル取得に集中できるなどのメリットがある反面、長時間労働のリスクや、オーナーとの軋轢が発生した際にダメージが大きいなどのデメリットがあります。
そこで、中にはオーナー店長になろうと考える人もいますが、経営全般をほぼ自分が担うことになるため、リスクはそれ相応です。
雇われ店長・オーナー店長の実情を知ると、やはりそれぞれに適性というものがあり、一概に誰にでもおすすめできる働き方ではありません。
この記事では、雇われ店長・オーナー店長のメリット・デメリットについてご紹介します。
雇われ店長のメリット・デメリット
まずは、雇われ店長の立場から考えたメリット・デメリットをお伝えします。
雇用されている立場だからこそ得られる安心感が魅力ですが、雇用されている会社の経営方針によっては、転職や独立を検討した方がよい場合も考えられます。
メリット:お店の経営責任が限定される
実際に飲食店の雇われ店長になる場合、主に2つのケースが考えられます。
本社の社員が各店舗に配属されるケースと、オーナーから指示を受けて店舗経営に回るケースです。
どちらの場合も、会社・組織全体の経営について考える部分は少なく、基本的には自分が任された店舗のことだけを考えていれば問題ありません。
最終的な経営責任は経営者が担うため、お店の経営責任も限定されるところにメリットがあります。
デメリット:裁量が少なく労働条件が悪くなるケースも
自分自身がお店の経営をすべて任されていないということは、会社の都合によって自分の首が飛ぶおそれがあること・一緒に働くスタッフのことを決める権限も十分にないことを意味します。
あえて悪い言い方をすれば、雇われ店長にとって「会社の命令は絶対」なのです。
スタッフが補充されなければ、長い間休みも取らずに働いて、時には自分の命さえ削って働かざるをえない状況に追い込まれるリスクもあります。
ノルマがあるような場合は、達成のために身を粉にして働くことを強いられるかもしれません。
オーナー店長のメリット・デメリット
続いては、自分が店のオーナーとして経営に携わった場合のメリット・デメリットについてです。
自分の経営能力・センスに応じて収入が増える可能性がある一方で、失敗に対して全責任を負うリスクも引き受けなければならない点がネックとなります。
メリット:経営センスによっては大幅な売上増も期待できる
自分が一国一城の主になると、法律・規則に抵触しない限り、あらゆることが自由にできます。自分の現状・理想に合わせて経営計画を立案できるため、無理のない成長ができます。
立ち上げたビジネスモデルや人気メニューが当たれば、将来的に大幅な売上増も期待できるでしょう。また、ノウハウを提供してもらえるフランチャイズ経営を選べば、アドバイスを受けながら経営に臨めます。
デメリット:事業主として経営責任をすべて負うことになる
完全独立の場合、基本的に誰かのサポートは期待できず、成功も失敗も自分に起因する状況でお店を経営する形が基本です。
一口に経営と言っても、やるべきことは多々ありますから、中には資金繰りのようにお店の営業とは直接関係ないような仕事もこなさなければなりません。
いつでも事業が順調に進むとは限らず、何らかの理由で経営が傾いてしまったら、赤字を何とかするのは自分の役目です。時には、金融機関の担当者に、下げたくもない頭を下げなければならないこともあるでしょう。
フランチャイズ経営を選ぶ場合も、開業費用の中に加盟金・補償金・販促費用・備品代・設備代などが含まれているケースが多いですから、お金の管理が自分でできない人には不向きです。
雇われ店長とオーナー店長、結局どちらを選ぶべき?
それぞれのメリット・デメリットを確認した上で、最終的にどちらを選ぶかは、この記事をお読みいただいている人次第です。
しかし、これだけの情報でどちらにするのかを決めてしまうのも難しい話ですから、どういう人が雇われ店長・オーナー店長に向いているのか、いくつかの観点から考察してみましょう。
マネジメントに自信がないなら雇われ店長を選んだ方が無難
自分のマネジメント経験が浅い・本格的な経営を始める前に勉強したいと考えている人は、雇われ店長を選んだ方が無難です。
雇用される立場だと、確かに自分の思い通りになる部分は少ないものの、店舗経営の中でマネジメントの一部を学べるのは大きなメリットです。
売上を増やす・経費を減らすといった部分的な目標であっても、それは店舗経営の一部ですから、目標達成に向けた経験は独立後に必ず活かせるはずです。
いつか、夢を夢のまま終わらせたくないと思う日が来た時に備えて、お金を貯めるなどの準備だけはしておきましょう。
会社員という立場に限界を感じたら、独立・オーナーを目指すのもよい
現在雇われ店長として働いていて、将来のビジョンに絶望しか見えないような状況であれば、いっそのこと独立してしまった方が楽かもしれません。
働いても働いても生活が苦しいような状況を何年も続けるのは、苦痛以外の何物でもないでしょう。
会社員生活に絶望を感じた人が、その後の独立に光明を見出すケースは意外と多いものです。
参考にしたいビジネスモデルがあるなら、フランチャイズ店舗を立ち上げることで、独立後のリスクを多少抑えることができます。
独立する場合、実店舗は必須ではない
飲食店の独立において、多くの人は実店舗を構えることを検討しがちです。しかし、選択肢はその一つだけではありません。
飲食業は、移動販売という方法で、お客さんに商品を提供することもできます。
例えば、キッチンカーを使うことで、売れる場所に店舗を移動させつつ、自分の商品を効果的に宣伝することもできるのです。
実店舗を構えるよりも格段に安く店舗を用意できるため、費用の圧縮にもつながります。また、お金を節約したい開店当初でも、得意料理だけをラインナップして原価を減らしたり、社員を雇わずマネジメントの負担を減らしたりすることができます。
実店舗を用意することにとらわれず、営業形態を柔軟に考えることが、飲食業での独立を成功させる近道です。
おわりに
店長として店を切り盛りするのは、どんな立場であってもそれ相応につらいものです。しかし、完全独立して自分だけの店を構えることと、会社で雇用された状態で働くことの間には、同じ店舗経営でも大きな違いがあります。
人生という枠組みの中で考えると、それぞれにリスクとリターンがあるように思えます。しかし、日本では年々、雇われ店長の不遇が取り上げられるようになり、一概に正社員であることがメリットとも言い切れなくなってしまいました。
自分が雇われ店長として働き続けることが本当に幸せなのか疑問に思ったら、まずはリスクの低い形で開業できないかどうか、選択肢を探してみましょう。
うまくマッチングした場合、そこからあなたの第二の人生が始まるかもしれません。