
自分の車をキッチンカー(移動販売車)へ改造する方法と費用
キッチンカーを用意する手段は、なにも業者に依頼して作ってもらうばかりではありません。時間と熱意さえあれば、経験や知識がそれほど無くても、DIYで車をキッチンカー化することは可能です。
この記事では、車を自分で改造してキッチンカー化する具体的な方法と費用についてまとめました。記事の後半には自分で改造することのメリット・デメリットも載せています。デメリットを知っておくことで、あらかじめ対策を取りながら進めていけますので、是非チェックしてみてください。
車をキッチンカーへ改造する方法
1.ベース車を用意する
キッチンカーのベースとなる車両を入手します。初期費用を抑えるため、新車ではなく中古車を選ぶのが一般的。足回りやエンジンなど、状態がなるべく良いものを探します。
中古車販売業者をあたるのも良いですし、ネットオークションでも条件の合うものが出品されていることがあります。
さまざまな車種がありますが、自分で改造するなら箱型のバンやワゴンタイプを選ぶのが無難です。
2.床と間仕切りを製作
後部座席を取り外し、フロア形状にあわせて合板(ベニヤやコンパネ)、防水マットを加工し、床面に敷きます。床が貼れたら給水タンク等の設備を実際に車内に入れてみて、レイアウトを考えておきます。
バン・ワゴンタイプの場合、営業許可を取得するためには運転席と調理スペースとの間に間仕切りを設ける必要があります。合板やプラバンなどを車内の形状に合わせて加工し、取り付けます。
3.カウンターとシンクを製作
合板等を加工してカウンターとテーブルを作成。シンク(ギャレー)、蛇口、給排水タンク、給排水ポンプは既製品をホームセンター等で購入して組み込み、車内に取り付けます。
営業許可を取るために換気扇の設置が必要になる場合があります。これもホームセンター等で入手し、取り付けます。
4.調理器具と電気配線の取り付け
先に電気配線を取り付け、その後、コンロやフライヤー、冷蔵庫などの調理器具、その他、収納棚や照明を取り付けます。
5.外装のデザイン・塗装
車のボディーに塗装したりカッティングシートを貼るなどして、外装のデザインを整えます。
改造にかかる費用
個人がキッチンカーを自分で改造する際によく用いられる軽バンをベースに、営業許可を取るための必要最低限の設備を組み込むことを想定して、ざっくりとした費用を試算してみました。
項目 |
費用 |
工具 |
30,000円 |
床材・防水マット |
20,000円 |
間仕切り素材 |
5,000円 |
テーブル・カウンター・収納棚 |
30,000円 |
シンク・蛇口 |
15,000円 |
給排水タンク |
4,000円 |
汲み上げポンプ・ホース・配管 |
5,000円 |
換気扇 |
3,000円 |
冷蔵庫 |
30,000円 |
合計 |
約142,000円 |
営業許可を取得するエリア(保健所)や、販売する品・品数によって必要な改造は大きく違ってきます。保健所に相談に行き、どういった設備が必要になるのかを確認することで、具体的な費用が見えてきます。
自分で改造するメリット・デメリット
メリット1:コストが大幅に抑えられる
自分で改造するメリットはとにかく初期コストを抑えられること。移動販売で何を売るかにもよりますが、業者に依頼する場合、営業許可が取得できる最低限の設備と改造で少なくとも50万円はかかります。
しかし自分で改造すれば、工夫次第で同じ設備をその数分の一の費用で用意することも可能です。
メリット2:早く手に入る
業者に製作を依頼した場合、注文したらすぐに製作着手となるわけではありません。人気の製作会社だと、注文の入り具合によっては順番を待たなければならず、納期はその分遅くなります。
自作の場合は思い立ったらすぐに着手できるので、改造がスムーズに運べば、業者に依頼する場合よりも早くキッチンカーを用意することができます。
メ
移動販売という商売を選ぶ人は、きっとこだわりがとても強い人だと思います。そのこだわりはキッチンカーの製作においても発揮されます。
業者に依頼する場合も、もちろん事前に入念に打ち合わせをして、できるだけ細部まで希望が反映されるように努めます。ですが、実際のところ細かい変更や調整を何度も何度もお願いするのは、たとえ相手が快く引き受けてくれるとしても気が引けてしまうものです。
自分で改造すれば、時間の許す限り徹底的に理想を追求できますし、営業していく中で気になった部分を自ら素早くカスタマイズすることもできます。
カスタマイズを続けていくことで車に対してもっと愛着が湧き、日々の営業へのモチベーションにもつながることもあります。
デメリット1:できることは限られる
前職が車の整備士や大工だったり、相当な車好きでもなければ、あまりに難易度の高い改造には手を出さないのが無難です。車両内部の構造や形状は車種によって千差万別であり、参考にできる情報はインターネットや書籍で調べてもなかなか入手できません。知識・技術不足のため改造が途中で頓挫してしまう可能性が高いです。プロのようなクオリティーを出すことも難しいですし、また材料も、加工、入手が難しいものがあります。
営業許可を取るだけであれば必要な改造はそれほど多くありません。自作できる箇所は限られると認識し、自分自身でやることと、業者に依頼するべきところを切り分けて考えると良いです。
いくら安く作ったとしてもあまりにみすぼらしい見た目ではお客様を不安にさせてしまうばかりか、出店場所を確保する営業活動にも影響が出てしまいます。たとえ作りは甘くとも、それなりに見栄えのする状態までは何とか持っていきたいですね。
デメリット2:時間と労力をとられる
キッチンカーの製作と、商品開発・出店場所営業は、同時進行するのが望ましいとされています。
製作を業者に依頼すれば自分自身の手が空くので、約1~2か月の製作期間中はメニューや仕入れのことを考えたり出店場所の目星をつけたりといった、他の必要なことに時間を費やすことができます。
自作するとなると改造にかかりっきりになってしまうので、確かにキッチンカーは早く出来上がるかもしれませんが、営業がはじめられるようになるまでのトータルの期間は、業者に依頼する場合と同じか、仮に製作が難航すればそれ以上にかかってしまうこともあります。
たとえばキッチンカーの製作を業者に依頼する場合、保健所の営業許可を取得できる基準で製作してもらえますが、自分で改造する場合は営業許可が取得できる内容で自ら仕上げる必要があり、時間と労力を大きくとられる要因になります。
まとめ
自分でキッチンカーに改造する方法についてまとめてきました。如何でしたでしょうか。
製作を業者に依頼するとどうしても大きな費用がかかってしまいます。とにかく低予算・低コストでキッチンカーを用意したい、大急ぎで営業を開始したいという場合には、自分自身でキッチンカー化することを検討してみても良いと思います。
ただし、字面では簡単そうに思えますが、実際にやってみるとこれがなかなか難しい。すべてを自分一人でやり切れるほど簡単ではありませんし、プロのような仕上がりを目指すのも無謀です。
自分でできるところは極力自分でやりつつも、もし行き詰まってしまったら、その部分だけは割り切って業者に依頼するというのも賢い選択かと思います。