焼き鳥の移動販売車に必要な設備や許可について解説!売上アップの秘訣は煙?
夜の街を徘徊していて、焼き鳥が焼ける匂いにつられて路地に足を踏み入れたら、居酒屋ではなく屋台を見かけた経験はありませんか?
焼き鳥は、設備さえあれば場所を取らず、比較的かんたんに作れる料理なため、実店舗だけでなく屋台やキッチンカーを使って利益を出している人は意外と多いです。
『実際に焼き鳥を売るとなると、どんなことに気を付ければいいんだろう……』
『焼き器にはやっぱりこだわった方がいいのかな?』
この記事では、焼き鳥をキッチンカーで移動販売するメリット・デメリットや、実際に開業する際に押さえておきたいポイントについてご紹介します。
焼き鳥のキッチンカーのメリット・デメリット
焼き鳥は、他の商材に比べると大人向けの印象ですが、中には家族でまとまった本数を食べるケースもあり、夜だけでなく昼や夕方にも一定のニーズがあります。
まずは、そんな焼き鳥を扱うキッチンカーならではのメリットとデメリットについてご紹介していきます。
焼き鳥を扱うメリット:素材の準備がシンプルで、売り方の幅も広い
焼き鳥は、最低限用意する食材は鶏肉とネギだけで、あとは味を調えるための調味料というシンプルな準備でお店を開くことができます。
品ぞろえを増やすつもりなら牛肉や豚肉なども用意する場合があるかもしれませんが、それほど高価な材料をそろえなくても営業は十分可能です。
調理に関しても、焼き方はいろいろあっても、詰まるところ串に刺した鶏肉を焼くだけなので、工程は多くありません。
このように、他の商材に比べて準備や調理にかかる手間や時間、コストが小さい点は、焼き鳥販売の大きなメリットです。
売り方の幅も広く、その場で食べていただいても構いませんし、汁気が少ない料理なのでテイクアウトにも向いています。
ベンチやちょっとしたカウンターを用意できるのならお酒を提供するのもアリで、この場合さらに利幅を大きくできます。
キッチンカーなら、出店場所次第では時間帯を問わず焼き鳥を売ることができますから、店舗経営よりも柔軟性のある戦略が立てられますね。
デメリット:鶏肉は意外と取り扱いが難しい
スーパーなどでも安く手に入り、家計の優等生と思われている鶏肉ですが、掘り下げて考えると意外と取り扱いが難しい食材であることが分かります。
特に気を付けたいのが食中毒の問題で、市販の鶏肉の2~6割はカンピロバクター(食中毒の原因菌)に汚染されているというデータもあることから、鶏肉に確実に火を通す技術は最低限必要です。
また、鳥インフルエンザのような病原菌のまん延によって、仕入れ値が高くなったり食材が手に入らなくなったりする恐れがあるため、鶏肉だけで商売するのは少し不安です。サイドメニューや他の食材でも利益が出せるようリスクヘッジを図ることが肝心です。
開業時に押さえておきたいポイント
実際に焼き鳥屋をキッチンカーで開業するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
以下に、開業時に押さえておきたいポイントをご紹介します。
必要な資格と許可
焼き鳥屋をキッチンカーで開業するにあたり、取得が必要な資格・許可は3つあります。
- 普通自動車免許
- 食品衛生責任者
- キッチンカーの営業許可(飲食店営業)
普通自動車免許と食品衛生責任者は、他の飲食系キッチンカーでも取得が必要な資格です。
普通自動車免許は自動車学校などで取得し、食品衛生責任者は各地域にある「食品衛生協会」が主催する所定の講習を、合計6時間受けて取得します。
キッチンカー(移動販売車)の営業許可について、焼き鳥屋は多くの自治体で飲食店営業に分類されているため、原則として飲食店営業の許可を保健所から受けることになります。
なお、焼き鳥だけでなくお酒も出して、午前0時を過ぎても営業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届け出を管轄の警察署に対して行う必要があります。
おすすめの出店場所と時間
焼き鳥は、お昼前から夕方にかけて、主婦層をターゲットにしてスーパーの駐車場で販売するのがセオリーです。
焼き鳥は味が濃くてご飯にもよく合うので男性ウケが良く、つくねなどは子どもにもぴったりなので、もう一品を手軽に追加したい主婦の大きな味方となります。家族用にまとめ買いしてもらえるので客単価が稼げます。
サラリーマンや一人暮らしの学生を狙ってオフィス街や人通りの多い繁華街、駅周辺に出店するケースもあります。メインの時間帯は夕方から夜間。この時間帯はパチンコ店やレンタルビデオ店の駐車場もおすすめです。
夏場は各所でお祭りが開催されますが、ある程度開けた空間に人が多く集まるこのような場所は、焼き鳥販売にとってとても魅力的です。その他、大イベントに合わせて球場や競馬場・競輪場等に出店するのも良いです。
焼き器の種類と導入費用
焼き鳥を作るにあたって重要なポイントの一つが「焼き器」です。
どんな方法を使って焼き鳥を焼くのかが仕上がりを決めるため、お店を出すならできるだけこだわりたいところです。
以下に、主な焼き器の種類についてご紹介します。
炭火式
炭火式は、焼き鳥を焼くなら定番の方法で、炭火を使って焼いた肉は遠赤外線効果で非常に美味しく仕上がります。表面をパリっと焼き上げつつ、中身はフワっとした食感が楽しめます。
選ぶ炭の種類によって火持ちの良さや燃焼速度が違い、特に可燃成分の含有量が少なく長時間燃える「備長炭」は、美味しい焼き鳥を焼くには必須だという声もあります。
その一方で、炭火で焼き鳥を焼くにはレンガなどを使った耐火性の焼き器が必要となり、さらには以下のような道具を用意しなければならず、手間がかかります。
- 炭火おこし
- 火消し壺
- うちわ
- 火ばさみ
- ジュウノウ
- 灰かき
- 耐熱手袋 など
諸々の設備をまとめて用意する場合、費用は10万円~といったところです。
ガス式
比較的安価に手に入るタイプの焼き器で、着火の手順がマッチ1本と簡単で、美味しそうな焼き音を立てて焼けるのが特徴です。ガスが使える設備が整っているなら、初心者はガス式に頼ると良いでしょう。
価格帯も炭火式に比べると安価で、安いものなら1万円台、高くても10万円未満で購入できます。
電気式
火力の強さと安全性を両立しているのは電気式で、立ち上がりの素早さも魅力です。
火力調節はスイッチひとつででき、火床が独立して3つに分かれているなど、温度調整の応用性も高い構造になっています。
ネックとなるのは値段の高さで、安いものでも10万円以上、高性能になると100万円近くするものもあります。
焼鳥屋のキッチンカーで利益を出す方法
焼鳥屋のキッチンカーで安定した高収益を得るためのおすすめの方法を2つ紹介します。
客単価が稼げるメニューを置く
焼き鳥といえばネギ間やつくね、砂肝、鶏皮あたりが定番ですが、これらは1本100~150円くらいが相場なので、工夫しないといくら本数を売ってもなかなか利益は出せません。
利益を最大化するために大事なのは客単価を上げること。そのためには1本200~300円と単価の高い牛カルビや牛タン、豚バラ等の串をメニューに加えると良いです。
また、1本ずつ売っていては効率が悪いので、4本で300円、7本で500円というように、できるだけセット販売するのも手です。
余裕があればサイドメニューにも変化をつけたいところです。焼き鳥の付け合せとしては、冷奴やサラダ、枝豆、きゅうりのたたき、鶏皮ポン酢などが代表的ですが、アピールする付け合せを出店場所や時間帯で変えることで、焼き鳥とセットで買ってもらいやすくなります。
集客を工夫する
煙や匂いが出る焼き鳥販売は、場所によっては近隣の方々に迷惑がかかることもあり、出店する際にはできるだけこれらに配慮した立ち回りや根回しが必要です。
しかし言い方は悪いですが、許可が出てしまえばこちらもの。焼き鳥が美味しく焼けた匂いは広く拡散され、ご飯時でお腹を空かせた人たちを強烈に刺激し、引き寄せます。
例えお客さんが周辺に見当たらなくても、焼いていれば煙が出て、お客さんを呼び込むことができます。
スーパーの駐車場で営業するなら、可能な限り換気扇の排出口をスーパーの出入り口方向に向けるようにすると、客寄せ効果が大きくなります。
キッチンカーの外観を整えることも大事です。あえて照明を落として薄暗い雰囲気にして、のぼりや提灯で雰囲気を最大限演出しましょう。
中古機材を採用するなどしてコストカットする
電気式の焼き器を導入するでもない限り、焼き鳥販売は開業時にかかるコストが他の商材と比べて小さく収まります。
このメリットをもっと大きくするため、キッチンカーを中古車ベースで製作したり、焼き器などの高価な機材を中古品から探したりして、徹底的に初期コストを抑えましょう。
単純に開業時の負担を減らせるだけでなく、運転資金に多くのお金をあてられるようになるので食材やキッチンカーの外観にまで強くこだわる余裕が生まれ、次第に思うような集客や購買状況が作り出せるようになってきます。
まとめ
焼き鳥は、鶏肉とネギを串に刺して焼き、調味料で味を調えて作る食べ物です。技術の習熟度はさておき、とりあえず営業しようと思えば手軽に営業できる部類の商品に分類されます。
しかし、1本あたりの単価は低いので、収益を安定させるには牛串などの高単価なものを扱ったり、まとめ買いしてもらえる仕組みを作るなど、客単価をできるだけ上げる努力が必要となります。
集客面では、ターゲットが広く、馴染みのある食べ物なので、比較的苦労は少ないと無いと思いますが、さらなる集客のために、煙の匂いや独特の雰囲気をうまく活用することを考えてみてください。