
キッチンカー(移動販売)にガスコンロは必要?必要となるケースや代替策などをご紹介
キッチンカー(移動販売)にガスコンロの導入は必須でしょうか?
そんなことはありません。現在はフライヤーや、ゆで麺器など、専用の厨房機器がありますから、できるだけこのような専用機器を使った方が、いろいろな面で効率良く調理できます。
また、仮にコンロが必要であったとしても、ガス式ではなく「IH」という選択も採れます。
しかしながら、キッチンカーで扱う料理や採用する調理スタイルによっては、どうしてもガスコンロを導入しなければならないケースもあります。
この記事では、ガスコンロが他の厨房機器と比べてどのようなメリット・デメリットがあるかや、移動販売にガスコンロが必要となる具体的なケースについて解説します。
記事の最後では、ガスコンロの代わりとして使える機器の紹介もしていますので、キッチンカーにガスコンロを導入しようか迷っている方、あるいはガスコンロを導入しなくて済む方法を探している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
ガスコンロのメリット・デメリット
ガスコンロのメリット
さまざまな調理器具に対応
フライヤーや、ゆで麺器などの専用機器と違い、ガスコンロは使用する鍋やフライパンだけ変えればどのような調理にも対応できます。
キッチンカーで種類豊富な料理を提供する、あるいはオムライスなど、ひとつの料理で複数の調理工程があるような場合、全てに対応できるガスコンロはとても便利です。
短時間で加熱できる
ガスコンロの場合、調理器具全体を炎が包み込むように加熱できるため、ムラなく短時間で調理できます。2口でも3口でも、強い火力を維持できます。
また、炒め物をする場合は、あおりながら調理することができます。フライパン等をコンロから遠ざける調理は、IHコンロではできません。
電源が確保できなくても使える
IHコンロは強火で調理すると1,500~3,000W程度の電力が必要です。キッチンカーでこの電力をまかなうには出店場所の建物のコンセントを借りるか、あるいは中型以上の発電機が必要になってきます。
一方ガスコンロはガスを熱源としますので、IHのように電気が必須ではありません。点火の際に電気を必要としますが、電池式のコンロを選べば電気は完全に不要です。
ガスコンロのデメリット
火災のリスクがある
ガスコンロは火力が大きいため、火災を引き起こす可能性があります。また、火を直接扱うため、火傷の恐れもあります。
ガスコンロには過熱防止センサーが搭載されていて事故が起こりにくくなってはいるものの、使用中はガスコンロからできるだけ目を離さないようにしたいところです。
車内の温度も高くなる
ガスコンロを使用し続けるとキッチンカー内に熱がこもります。冬場なら逆にメリットになり得ますが、夏場、特に猛暑の時は不快に感じることが多いでしょう。
掃除が大変
ガスコンロは凹凸があり汚れが溜まりやすいです。最近ではフラットな天板が増えましたが、それでも五徳の部分の清掃は大変です。IHコンロや各種専用機器と比較すると、お手入れの手間がかかります。
キッチンカーにガスコンロが必要となるケース
ガスコンロのメリット・デメリットを知ったところで、次はキッチンカーにガスコンロが必要となるケースと、その理由について見ていきましょう。
下の表は、料理ごとに一般的にどの厨房機器で調理・保温されているかをまとめたものです。
厨房機器 |
メニュー |
ガスコンロ |
チャーハン・オムライス・中華料理など |
グリドル(鉄板) |
焼きそば・お好み焼き・ハンバーガー・ステーキなど |
フライヤー |
唐揚げ・とんかつ・天ぷら・フライドポテトなど |
ゆで麺機 |
ラーメン・うどん・そば・パスタなど |
コンベクションオーブン |
ピザ・グラタン・パンなど |
蒸し器 |
肉まん・小籠包・蒸し料理など |
たこ焼き器 |
たこ焼き |
クレープ焼き器 |
クレープ |
スープウォーマー |
スープ・ソースなど |
炊飯器 |
ご飯・ピラフ・ケバブなど |
ホットショーケース |
フライなど |
オムライスはガスコンロが必要になるメニューの典型です。シビアな火力調整機能とフライパンが無ければ作れませんし、仕込み場所で作り置きして温め直して提供するということも、できればしたくない料理だからです。
このように、弱~強まで自在に変えられる火力調整機能と、その場で調理して提供したい料理を扱う場合には、ガスコンロが必要になってきます。
ガスコンロは最初の準備や管理が少し大変ですが、一度導入してしまえばこれほど心強いものは他にありません。フライパンや鍋を変えるだけでほとんどのメニューの調理ができてしまうので、メニューのレパートリーを増やす際にも役立ちます。
ガスコンロの導入で気をつけるべきこと
ガスコンロを使用するにはガスボンベをキッチンカーに積乗しなければいけませんが、取り扱いには注意が必要です。原則的に、圧力調整器とガスボンベの接続は業者にやってもらう必要があります。
また、ガスボンベの取り扱いは危険なため、保安業務が欠かせません。ガス会社は30分以内に到着して措置が行えなければガスの充填をしてはいけないことになっています。そのため、キッチンカーの場合は、ガスの新規契約が断れてしまうケースも多いです。ガスコンロの導入を決めたなら、まずはボンベへの充填をしてくれる業者を探すことから始めるのが良いでしょう。
ガスコンロの設置場所にも気をつけたいです。車内に熱がこもらないように、できるだけ換気扇の真下に来るようにレイアウトすると良いです。
ガスコンロの代わりになる機器
仮にガスコンロを使わないとして、他にどのような代替案があるでしょうか?考えられる厨房機器をいくつかピックアップし、ガスコンロと比較しました。
カセットコンロ
(出典元:楽天)
ガスコンロは業務用の3口タイプのもので50,000円~といったところですが、カセットコンロは約3,000円と安く、コンビニでも買えるガス缶を燃料として使うので、導入のしやすさでは非常に優れています。
反面、火力が弱くて安定しないので、調理時間が長くなってしまいます。また、長時間使おうと思うとガス缶が何本も必要になってきます。少量の食材・具材を温め直すときなどに使うと良いです。
IHコンロ
(出典元:楽天)
ガスコンロではなくIHコンロを活用する方法もあります。キッチンカーで使用できる電力には限度があるため、1口用のコンロが使われることが多いです。
IHは熱源が電気のため、煮物やスープなどゆっくりと火を通す料理に向いています。
価格は20,000円程度です。
フライヤー
(出典元:楽天)
唐揚げ・とんかつ・天ぷら・フライドポテトなどの揚げ物は、フライヤーを用いた方が温度管理がしやすく、安定して美味しく揚がります。油の節約にもつながります。安全性が高いところもポイントです。
ガス式・電気式の2種類があり、価格は卓上タイプで50,000~300,000円程度とピンきりです。
ゆで麺機
(出典元:楽天)
麺のメニューを主力として扱う場合、お湯の温度を一定に保ち、安定して美味しく茹でることのできる「ゆで麺機」を使うのがベストです。
ガス式・電気式の2種類があり、価格は大きさやグレードによって50,000~500,000円程度となります。
ホットプレート
(出典元:楽天)
一般の家庭でも使用される機会が多いホットプレートは、持ち運びもしやすく便利です。焼きそば・お好み焼き・ステーキ等、多目的に使用できます。安いものでは5,000円くらいからあります。
まとめ
今回は、キッチンカー(移動販売車)でのガスコンロの必要性についてご紹介しました。
限られたスペースで調理をしなければならない移動販売では、さまざまな調理器具に対応しているガスコンロが1口でもあると非常に便利です。
しかし、ガスコンロは車内の温度が高温になったり、ガスボンベの取り扱いが難しかったりと、厄介なデメリットも抱えています。
自分のキッチンカーでは本当にガスコンロが必要なのか、他に代わりになる機器はないのかを、一度しっかり考えてみることが必要です。