
新型コロナがキッチンカーに与えた影響は?改めて注目される移動販売
新型コロナの影響を受けて、飲食業は大きな経済的打撃を受けています。3密を避けるために来客数が減少し、賃料や人件費といった固定費が重くのしかかって廃業を決断する飲食店も増えてきています。
そのような大不況の背景裏で、キッチンカー(移動販売)の製作依頼件数は増え始めているのです。なぜ、キッチンカーが再注目されているのでしょうか?
この記事では、新型コロナが飲食業界に与えた影響や、改めて注目されるキッチンカーの魅力について解説します。
新型コロナが飲食業界に与えた影響
まずは、新型コロナが飲食業界全体に与えた影響について見ていきます。
飲食業界は経済的打撃を受けている
新型コロナによって、3密の条件を満たす業界が甚大な経済的打撃を受けました。
野村総合研究所が実施したアンケートによると、緊急事態宣言の発令期間中、一度も外食していない人(外食自粛率)は約63.5%でした。この影響で、飲食業界全体の2020年4月度売上高は、前年同月比で約40%も減少したのです。
緊急事態宣言が全面的に解除された後も、3密を回避する傾向があるため、外食需要は元の水準の5割程度に留まると予測されています。
参考文献:野村総合研究所「新型コロナウイルス感染拡大が外食・娯楽・旅行関連消費に与える影響」
テイクアウトの需要の増加
コロナ渦でも、テイクアウト・デリバリーに注力した外食チェーンは奮闘しています。
日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場調査4月度」によると、全業態全体での売上高は調査開始以来最低の60.4%となりましたが、ファーストフード業態は84.4%に踏みとどまりました。
洋風ファーストフード店は、テイクアウト販売に限定したにもかかわらず、売上高は前年を上回る102.8%になり、テイクアウトの需要が増加したことが分かります。
キッチンカーの屋外営業が増加
新型コロナの感染拡大で外出を控える動きが広がる中で、キッチンカーが注目を集めています。
従来のキッチンカーは、自宅や会社の周辺に店舗がなくて移動手段をもたない移動弱者の利用が中心でしたが、コロナ渦を機会に3密が避けられるとして、新たな層の顧客支持が拡大しています。
日本経済新聞では、イオンリテールのキッチンカーの売上が伸びていると取り上げられていました。
後述しますが、顧客側だけではなく経営者側にも大きなメリットがあるため、キッチンカーの需要は伸びているようです。
参考文献:日本経済新聞「イオンリテール 移動販売の売り上げ増 コロナ渦で」
新型コロナで注目を集めるキッチンカーの魅力
飲食業の店舗とキッチンカーの違いは下記の通りです。ここでは、新型コロナで注目を集めるキッチンカーの魅力についてご紹介します。
店舗 |
キッチンカー |
|
開業費用 |
約1,000万円~ |
約300万円~ |
維持費 |
家賃+人件費 |
駐車場代+人件費 |
事業形態 |
固定店舗 |
移動販売 |
消費税率 |
10% |
8% |
閉店費用 |
撤去・清掃費用 |
0円 |
3密 |
なりやすい |
なりにくい |
開業資金や維持コストが少ない
店舗と比較すると、キッチンカーの開業資金や維持コストは少ないです。約300万円から開業することができますが、中古車を購入すればより開業資金を安く抑えることができます。
また、店舗の家賃に該当する駐車場代は車1台分のみ。少人数で営業できるため、維持コストを変動費化することができ、新型コロナのような緊急事態時にも強いビジネスを展開することができます。
場所を移動して営業できる
キッチンカーの最大の強みは移動ができることです。「飲食店が繁盛するかどうかは立地がすべて」とも言われていますが、曜日や時間帯などで場所を変えて営業できるのは、キッチンカーならではの魅力です。
例えば、昼間はオフィス街に出店して、週末はイベントに出店するなどの営業スタイルが実現できます。
コロナの影響でイベントが軒並み中止に追いやられていますが、一方で企業や過疎地域などに派遣される機会は増えています。フットワークの軽さが活かされているのです。
「3密」を避けられる
コロナ禍においてはこれこそが最大の武器となります。新型コロナウイルスの感染拡大防止には「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避けることが重要とされています。
しかし、店舗型の飲食店では3密が発生しやすく、それを理由とした外食自粛や政府からの営業時間の短縮要請などにより深刻な打撃を受けている状況です。
一方で、キッチンカーでの販売は基本的に屋外で行われるため、客同士が密閉空間に閉じ込められることがなく、また、順番待ちをしている客同士の距離を十分に保つよう注意を促すことで、密集・密接を避けることもできます。
この点に着目した一部の飲食店は、キッチンカーを新たに調達し、特別に許可された路上や公園での販売を行うことで、減少した売上の一部を取り戻そうと活動しています。
また、外出自粛をしている人たちのお宅にキッチンカーで出向いてデリバリーやケータリングサービスを提供したり、ドライブスルー形式で購入できるキッチンカーの営業を始めた飲食店もあります。
このようにキッチンカーは、新型コロナウイルスの影響で業績不振の飲食業を支援したり、withコロナ時代の新しい外食の形としても大きな注目を集めています。
廃業時にはキッチンカーの売却益が出る
店舗の廃業時には撤去・清掃費用がかかります。床面積が10~20坪程度の小規模店舗である場合でも、撤去・清掃費用は50万円程度かかってしまいます。そのため、廃業時の撤去・清掃費用は大きな負担になりがちです。
一方、キッチンカーの場合は撤去・清掃費用がかかりません。キッチンカーは高価買取してもらえるので、現金化することもできるのです。
まとめ
新型コロナの影響で飲食業界が大きな経済的打撃を受けていますが、テイクアウトの需要は伸びています。緊急事態宣言の外出自粛期間が終わっても、私たちは新型コロナと共存していかなければいけません。そのため、飲食業界も従来と大きく経営スタイルが変わってくるはずです。
キッチンカー(移動販売)での商売は、新型コロナとの共存にも強いビジネス形態です。店舗と比較すると、柔軟に時代背景に合わせて経営方針を変えていくこともできます。これから飲食業界で開業をお考えの方は、キッチンカー(移動販売)も視野に検討してみるとよいでしょう。