キッチンカーで扱うメニューの決め方と定番メニュー
キッチンカーは、実店舗のように雰囲気の演出ができず、また、大手チェーン店のように原価を大幅に削ることも出来ません。そのため、基本的には料理そのものの質と個性のみで勝負しなければなりません。そこで大事になってくるのが「メニュー選び」です。
味が想像できる定番料理でありながら見た目にも味にも独創性が感じられ、「またあの店の料理が食べたい」と強烈に思わせる、そんな魅力的な看板メニューを主軸に置き、そこから枝葉を広げるようにメニューを増やしていく方法がベストです。
では実際にどのようにメニューを決めていけばよいのでしょうか?ここでは、キッチンカーで提供するメニューの具体的な決め方と、キッチンカーの定番メニューについて解説していきます。
メニューをよく考えることの重要性
キッチンカービジネスにおいてメニューを考えること・決めることは最重要のテーマです。
固定型の店舗と違い、店内での気が利いた接客や、居心地のよい雰囲気といった特別感を出すことが難しい移動販売では、自店の良さをアピールできる部分は料理の味や質しかないからです。
特に、その店の顔となる看板メニューのクオリティーは、売上や集客に直結します。個性的なルックスでありつつも食べた時の味がある程度想像でき、実際に食べると想像以上の美味しさや感動が湧き上がってくる。そういう絶対的な力を持ったメニューがあることで、新規顧客、リピーターともに安定して獲得していくことが可能となります。
また、メニューが決まれば仕入れ・仕込み・出店場所・集客方法・営業手法、これらすべてを決めていくことができます。そういった意味でも、メニュー決めは他の何よりも優先して行うべきプロセスと言えます。
メニューの決め方
では実際に、どのようにメニューを決めていけばよいのでしょうか?ここでは、メニューの決め方について詳しく解説します。
分かりやすい看板メニューを作る
メインとなる料理の候補がいくつかあったとして、そのすべてを提供したのでは、お店の個性が際立ちません。キッチンカービジネスでは「その店が何屋なのか」を一瞬で分かってもらうことが集客の第一条件となります。
特に開業当初は一点集中型のメニュー構成がおすすめです。何屋なのかが明確になりますし、その料理の専門店であることを力強くアピールできます。お店を覚えてもらいやすく、口に合えばリピーターになってもらえる可能性が高まります。
効率の面でも一点集中型はメリットが大きいです。初めから多くのメニューを提供したいと思っても、メニュー数が増えるほど仕入れや仕込みが大変になりますし、調理時間や廃棄ロスなども増えてしまいます。
「定番料理+オリジナリティ」が基本
看板メニューはキッチンカーでよく扱われる定番料理から選ぶのが基本です。なぜなら、それらは移動販売で少なからず成功例があるものだからです。
誰もやっていないものは確かに物珍しさがあり一見売れそうに思えますが、味が想像できないものはなかなか興味を示してもらえず、素通りされやすいのが実際のところです。
それよりも、定番料理にひとつふたつオリジナリティを加えて打ち出した方が勝率は高くなります。例えば「〇〇産の野菜を使用」「オーガニック素材を使用」「ご当地グルメ」など、他店と違う個性や季節感を狙っていきます。
珍しい料理が必ずしも失敗するかと言えばそんなことはありません。希少性が高い分、一度火が着けば爆発的にヒットするポテンシャルを秘めています。
定番料理よりも難易度は確実に上がりますが、その料理に強いこだわりがあり、絶対にこれで勝負するんだという気持ちがあるならやってみるべきです。その際は、メニュー名を日本人に馴染みのある形に変えるなど、ぱっと見て味の想像ができるように工夫するとよいでしょう。
看板メニューを軸にメニューを広げる
強烈な単一メニューが一つあればそれだけでよいかと言えばそうではありません。長く続けていたらどうしても飽きられてしまいますし、子供連れのお客様には子供向けのメニューもあった方が立ち寄ってもらいやすくなります。
新たなメニューを作る際は、看板メニューを軸に考えていきます。看板メニューと全く異なるものだと専門性やその店のイメージが薄れてしまいますし、食材もまばらになるので仕込みや調理の手間が増え、オペレーションが過度に複雑化してしまいます。
営業に余裕がなくなると、看板メニューの味に惹かれてくるお客様も失望させてしまいかねません。
メニュー選びのポイント
次に、メニュー選びのポイントについて解説していきます。
本当に売りたいもの・お客様に喜んでもらえるものを売る
特定の曜日に特定の場所に出店する「通常出店」の場合、売上の8~9割はリピーターからもたらされるといいます。ということは、売上アップには高確率でリピーターになってもらえる何らかの要素が欠かせないということです。
その要素の大部分を占めるのが商品の味と質です。お客様の喜ぶ顔を想像しながら、何度も何度も施策と試食を繰り返してやっと完成するメニュー。それこそがリピーターを呼ぶ最大の武器であり、キッチンカーで独立開業する醍醐味でもあります。
決して原価ありきで考えず、本当に売りたいもの・お客様に喜んでもらえるものを提供するべきです。
実現可能なオペレーションかどうかをじっくり検証しておく
いかに素晴らしいメニューを開発できたとしても、キッチンカー内で満足に作ることができなければ意味がありません。
キッチンカーという限られたスペース、機材で高度な調理を行うのはとても難しいことです。しかも、お客様を目の前にしてできるだけ短い時間で作らなければなりませんので、一層ハードルは高くなります。
いざ開店してみたら思ったよりも難しく、料理の質を落としてしまう、あるいはお客様を長く待たせてしまうというケースも多いです。そうならないために、メニュー開発とあわせてオペレーションについても考え、十分に実現可能なことを確かめてからメニュー構成を決定するようにしましょう。
キッチンカーの定番メニュー
最後にキッチンカーの定番メニューをいくつかご紹介します。
定番メニューの一覧
ランチ系メニュー |
軽食系メニュー |
カレー・タコライス・焼きそば・からあげ・鉄板焼き・お弁当・ケバブ・お好み焼きなど |
クレープ・カフェ・メロンパン・ワッフル・ピザ・パン・ハンバーガー・焼き鳥・たこ焼き・アイスクリーム・かき氷など |
ランチ系メニューとは
オフィス街のサラリーマンや公園の家族連れなどは、お昼にランチを食べに行きます。ランチタイムの飲食店は混雑するので、時間をかけずにランチを食べたいという方からランチ系メニューは人気があり、集客しやすいです。しかし、ランチタイムを狙ったメニューのため、営業時間は限られてしまいます。
軽食系メニューとは
タピオカやスムージが人気を集めていますが、軽食系メニューも人気です。周辺に喫茶店などがなくて、猛暑日などには冷たいドリンクを求めるお客様はたくさんいます。また、ドリンクの他にサンドイッチなどの軽食も人気です。軽食系メニューには、ランチメニューとは異なり、営業時間を気にせずに営業できるという魅力があります。
まとめ
今回は、キッチンカーで提供するメニューの決め方と、キッチンカーの定番メニューについて解説しました。
キッチンカーは人の多いところに自ら移動することができます。人通りの多い場所に出店さえできればそれなりに稼ぐことができると考えてしまいがちですが、そう甘くはありません。
特に通常出店に重きを置く場合、売上の大部分はリピーターからもたらされるため、価格や見た目のインパクトだけで一発勝負をかけても意味がありません。
定番メニューをアレンジする形で看板メニューを作り、イメージを損なわないようなサブメニュー、サイドメニューを展開していく。そのような基本を押さえたメニュー作りが、長く安定して運営していくためのポイントです。