北のキッチンカー事情。北海道・札幌の人気ジャンルとは
札幌は、北海道の道庁所在地であり、日本における一大観光地の一つとしても知られています。
スープカレーなど、独自の食文化も観光客を呼び寄せる一因となっており、キッチンカーの商品にも札幌ならではの傾向が見られます。
実際に札幌でキッチンカーを営業しているオーナーは、どのような商品を取り扱っているのでしょうか。
この記事では、札幌を中心に、北海道におけるキッチンカーの特徴・グルメの人気ジャンルなどをご紹介します。
札幌で出店しているキッチンカーの特徴とは
実際に札幌で出店を検討している人も、札幌で流行っているメニューを別の地域で売りたい人も、イメージ先行で考えず現地のトレンドを把握することが大切です。
まずは、札幌で出店しているキッチンカーの特徴について、いくつかご紹介します。
北海道は食材の種類が多く、商品のジャンルは豊富
もともと、北海道は食材の種類・商品のジャンルともに豊富なため、出そうと思えば様々なメニューを用意できるメリットがあります。
揚げたジャガイモを串に刺して売る「あげいも」・ジャガイモでんぷんを団子状にして味付けした「いももち」・醤油やニンニクなどを使って濃厚に味付けした鶏のから揚げ「ザンギ」など、ファストフード系でも実に多くのジャンルが揃っています。
炭水化物メインで考えると、言わずと知れたスープカレーはもちろん、道産小麦をふんだんに使ったパン各種・地域やお店ごとに味が違うラーメンなどが有名です。牛乳を使ったソフトクリームやアイスクリーム・フルーツを使ったスムージーなど、スイーツのジャンルも多種多様です。
すべてのメニューがキッチンカーに適しているわけではない
北海道でキッチンカーを含む飲食店業を始めようと思えば、選べるメニューは多数存在します。ただ、残念ながらそれらすべてのメニューがキッチンカーに適しているとは言えず、特に初めてキッチンカーを始める場合、オペレーションや仕込みの難易度も含めてメニューを選ばなければなりません。
スープカレーは、札幌を中心にキッチンカーが人気を博した時期はあるものの、2020年現在ではそこまで目立った動きを見せていません。
営業している店舗を見かけることはあるものの、キッチンカーという販売形態を積極的に宣伝しているお店は少ないという印象です。
また、一見多そうなラーメンのキッチンカーも、季節限定・一部イベントでの営業などにとどまり、実際にはなかなか見当たりません。古くからある屋台トラックなどは見かけますが、キッチンカーの分野で名前が知れているケースは少ないものと推察されます。
大きな理由の一つに、札幌全体の飲食店レベルが高いことがあげられます。ラーメンもスープカレーも、それぞれにこだわりや特徴がなければ生き残ることは難しく、限られたスペースしかないキッチンカーで店舗の味を再現し続けるには非常に高度な技術が必要です。
特に、ラーメンはたくさんの水を使う必要があるため、調理スペース・シンク・人員のことを考えると、小型車・軽自動車でオペレーションを行うには限界があります。キッチンカーで提供することそのものが難しい上、自分たちのこだわりを反映させるとなると、店舗の方がやりやすい点は否めないでしょう。
北海道で出品を考えるケースを考察する
意外にも、スープカレーやラーメンのキッチンカーを見かけない北海道ですが、もちろんそれら以外に魅力的な商品はたくさんあります。
続いては、北海道でキッチンカーを使って出品する場合に、どういった商品に魅力があるのか、いくつか例をご紹介します。
観光客向けのもの
北海道経済部観光局によると、2019年10月~12月までで北海道を観光した人(観光入込客数)は、実人数でおよそ870万人という調査結果が出ています。
これだけの人数が集まるわけですから、やはり観光客を取り込むことが売上につながる点は否めず、北海道名物にポイントを絞るのは有力な選択肢の一つです。
実際に機器をどう調達するかはともかく、できるだけオペレーションをかんたんにしようと思えば、北海道の牛乳を使ったソフトクリーム・乳製品を販売するキッチンカーが目立ちやすいでしょう。条件を満たせば、札幌ではソフトクリームフリーザーを使用したキッチンカーの営業も認められています。
ホットスナック系で考えると、道外・海外からの観光客だけでなく、地方から札幌にやって来る人・あるいはその逆の立場の人に対して興味を引くものを用意する方法があります。
鶏の様々な部位を玉ねぎではさみながら串焼きする「美唄焼き鳥」や、名寄や静内などで名前を知られる「鶏の半身焼き」など、ローカル色のあるメニューを研究するのも一手です。
お店こだわりの逸品
北海道名物とは関係なく、自分たちのこだわりを追求した逸品を用意するのも、札幌でキッチンカーを営業するなら認められる可能性は十分あります。
札幌近郊でケバブの屋台を見かけることもありますし、サバサンドのようにトルコ発祥と思われるメニューを用意しているキッチンカーもあります。
また、もともと人気があるメニューを持つお店が、コロナウイルスの影響からキッチンカー販売を始めたケースも考えられます。そのため、本州以南や地方で一定の人気を集めた商品があるなら、キッチンカーという販売形態から試してみるのも一つの方法です。
ストレートなファストフードも人気がある
北海道には美味しいものがたくさんありますが、北海道で暮らしている人全員が味にうるさいグルメというわけではありません。たこ焼き・焼き芋のように、全国各地で売られているストレートなファストフードも人気があります。
味にこだわりのあるお店は屋台村などに出店しているケースもあり、決してあなどれないジャンルです。エリアを選べば人気店になる可能性は十分ありますから、商品が思いつかなければ検討してみましょう。
2020年における札幌で人気のキッチンカー各種
(出典:FAT BOSS)
続いては、2020年時点で営業しており、なおかつ人気の高いキッチンカーをいくつかご紹介します。
こちらでご紹介した成功例は、きっと開業する際の参考になるはずです。
FAT BOSS
北海道でたこ焼きの本場・大阪の味が楽しめる、数少ないキッチンカーです。たこ焼きに魅せられたオーナーが、何と46歳の時に大阪まで修行に行って、本物の味を学んだとのこと。
たこ焼きに薬味が入っておらず、7種類の味に加えて、上から何もかけずに「たこ・生地の旨味だけ」を味わうこともできます。
燻製と檸檬《Bitters》
https://www.instagram.com/bitters___/
調理士と管理栄養士の夫婦で運営している、燻製・レモンをメインメニューにしたキッチンカーです。
メニューにはサバサンド・チキンサンド・手羽先があり、いずれも燻製となっています。
トルコでもサバサンドは食べられますが、こちらのサバサンドはより洗練された味わいとなっており、メニューの一つ・特製レモネードは各種燻製サンドと相性が良いように作られています。
移動型デリカテッセン KAMADO
https://www.facebook.com/kamado.car.jp/
メインの品とサイドメニュー2品を、それぞれ2パターンの中から選んでお弁当を注文できるキッチンカーです。
主にオフィスビルが立ち並ぶエリアで営業していますが、時折遠征することもあり、限定品の販売なども行っています。
バランスの取れた食事を提供している点が特徴的です。
可愛井カフェ
https://www.instagram.com/kawaiicafe_official/
香港発祥・バブルワッフル専門のキッチンカーで、酪農学園大学の学生が起業したことで話題になりました。
泡のような形をしたワッフルに、10種類以上の味の中から好きなものをはさんで食べます。
生地だけを注文することもでき、テレビでも紹介された有名店です。
奥芝商店(カレーパン)
https://www.instagram.com/komuginokatamari/
スープカレーで有名な奥芝商店が立ち上げた、カレーパンを取り扱うキッチンカーです。
海老キーマカレー・じゃがいものホワイトカレー・するめいかとほたての辛口カレーなど、個性の塊のようなカレーパンが食べられます。
知名度とチャレンジのバランスが絶妙な好例の一つと言えるでしょう。
おわりに
札幌には、商品として魅力的なものはたくさんある反面、キッチンカーで販売しようとすると難しいジャンルもあります。
実際に出店する場合、単なる憧れやこだわりだけを通すのではなく、それが現実的に可能かどうかを把握してから出店に挑戦した方が無難です。
北海道名物だけがねらい目とは限らず、全国的に人気のあるメニューでも十分勝負はできますから、その中で自分のオリジナリティをアピールできる商品を開発することが大切です。
成功例は決して少なくありませんから、自分が食べてみて美味しいお店・雰囲気が良かったお店を参考にしつつ、無理のない計画を立てましょう。