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キッチンカー(移動販売車)の開業時・開業後の失敗例を一挙紹介

キッチンカー(移動販売車)の開業時・開業後の失敗例を一挙紹介

2020年9月10日

飲食業界の中でも右肩上がりの業態があります。キッチンカー(食品の移動販売業)です。

固定の店舗とキッチンカーを連携させることによって、お客様とさまざまな関わり方ができるとして注目を集めています。副業解禁により副業でキッチンカービジネスを行う人も増えてきました。

しかし、グルメイベント企画運営の株式会社エムズカンパニーの調査によると、キッチンカーの開業1年以内の廃業率は、実に3割を超えるといいます。キッチンカーで失敗してしまう原因は何でしょうか。また、失敗を防ぐ方法はあるのでしょうか。

今回は、キッチンカーのよくある失敗例と、その対策方法についてご紹介します。

キッチンカーの事業継続率が低い理由

キッチンカーの事業継続率が低い理由

開業後1年以内に廃業となるキッチンカーの割合は3割を超えます。キッチンカーの事業継続率が低い原因は何でしょうか。それには競合店が増えているなどの市場の変化も大きく関与しています。市場動向や実態を知ることで、その理由が見えてきます。

競合店が増えている

東京都福祉保健局の「食品衛生関係事業報告」の調査報告によると、東京都で営業許可を取得したキッチンカーの数は毎年右肩上がりに増加しています。

実際にオフィス街や店舗の駐車場等でキッチンカーを見かける頻度は明らかに増えており、最近では固定の店舗を構えている飲食店が新たな販売経路を求めキッチンカー事業に参入したり、フランチャイズ化して一気に展開したりといった動きも活発になってきているため、競争激化により長く生き残ることが以前よりも難しくなっているのは事実です。

一方で、スマートフォンやSNSが普及したことにより、キッチンカー経営のひとつの壁となっていた「集客や出店場所の確保が難しい」という点がいくらか和らいだ面もあります。ですから、商品のクオリティ・オリジナリティを徹底的に高めることはもちろん、SNSやウェブマーケティングを駆使すれば、個人経営でも一躍人気店になれる可能性を秘めています。

インターネット集客が難しい

「地名+料理名」でGoogle検索すると、ローカル検索結果としてエリア内の飲食店情報が表示されます。また、飲食店の情報をリスト化した「食べログ」や「ぐるなび」等のポータルサイトが検索結果に表示されます。

固定店舗の場合、こういったサービスへの登録で半ば自動的に集客することが可能です。それに比べてキッチンカーは、固定の住所を持たないためサービスへの登録ができず、この手のインターネット集客が基本的に不可能です。

キッチンカーではこのような受け身の集客術は役に立ちません。先述したようにInstagramやTwitter等のSNSを使い、イベント情報や出店情報、新商品発売やキャンペーン情報、さらにはその日イベントで起こった出来事などを写真付きで投稿するなど、顧客と密接につながりながら積極的にアピールしていく集客方法が効果的です。

薄利多売になりやすい

キッチンカーで販売する商品は、大抵500円~1,000円の価格帯に収まります。単価は決して高いとは言えません。ところが商品にこだわるあまり、採算を度外視して高級食材を多用してしまうことがあります。購買率は上がるかもしれませんが薄利多売になってしまい、思わぬ天候不順や突発的なトラブルで出店機会が失われたりすると、途端に仕入れ資金がショートし、廃業に追い込まれてしまうことがあります。

大きな集客が見込めるイベントに積極的に参加したり、サイドメニューを充実させて客単価を上げるといった工夫に加え、食材以外のコストを徹底的に切り詰めたり、食材を通常よりも安く仕入れる仕組みを考え出したりといった、料理の品質を維持しつつも利益が十分に確保できる体制づくりが求められます。

キッチンカー開業時の失敗例

キッチンカー開業時の失敗例

ここではキッチンカー開業時の失敗例をいくつかご紹介します。よくある失敗を認知しておくことで、どのような点に注意しながら開業準備を進めればよいかが分かるでしょう。

出店場所が確保できない

出店場所の確保には想像以上に時間がかかります。土地やイベントのオーナーと交渉し、許可を得られたとしても、実際に出店できるのは1か月後などというケースも多いです。

当然ですが出店場所が確保できなければ営業できないため、開業直後に売上が立たずに資金ショートを起こし、そのまま廃業してしまうこともあります。

商品開発・キッチンカー製作・営業許可取得などの開業準備に加え、出店場所を確保するための営業活動を並行して行っておきましょう。営業場所が1か所でも決まっていると、立ち上がりがスムーズです。

初期費用をかけ過ぎた

キッチンカーは多機能で最高に使いやすく、バッチリお洒落に作りたいものです。しかし、最初から理想を追い過ぎないように気を付けましょう。

巨額の融資を受けてまで、これでもかとキッチンカーをカスタマイズする人もいますが、毎月の返済や金利負担が重くのしかかり、満足な仕入れができなくなったり、不安でモチベーションが低下してしまったりということも考えられます。

キッチンカーの開業資金のうち大部分は車両の製作・改造費用です。開業してから少しずつ改良していくというスタンスで、まずは必要最低限の装備・加飾でスタートしてみることをおすすめします。余裕があればキッチンカーのレンタルサービスを活用し、自分にとっての最低限の装備とは何かを判断するのもよいでしょう。

車内での調理を想定せずに車を購入した

キッチンカーの作業スペースは想像以上に狭いです。立ちながら、または座りながら作業できるスペースがなかったというような失敗例もあります。

調理オペレーションを考慮し、どのような設備をどこに配置すれば段取りよく作業できるかを、キッチンカーの設計段階で入念に確認しておきましょう。

冷蔵庫が小さすぎた

冷蔵庫が小さくて悩む人が案外多いです。大型のイベントでは大量の仕込みが必要となるので、仕込み場の冷蔵庫は想定よりも一回り大きいものを用意することをおすすめします。材料を一度に大量発注して原価を抑えるといったテクニックも使えます。

キッチンカーに載せる冷蔵庫も余裕を持ったサイズ選びを心がけましょう。

決済システムを導入しなかった

飲食店向けの決済システムが登場していますが、ランニングコストを抑えようと導入しない人も多いです。決済システムは、現金払い・クレジットカード払い・電子決済払いなどのさまざまな決済手段に対応できるだけでなく、1日の売上管理もある程度自動化できます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が落ちた事業者に対する持続化給付金制度がありましたが、申請には売上台帳を提出する必要があります。決済システムを導入しておけば売上台帳の出力も簡単です。確定申告の手間も軽減できるので、決済システムはできるだけ早期に導入したいところです。

キッチンカー開業後の失敗例

キッチンカー開業後の失敗例

次に、開業後しばらくしてから起こりがちな失敗の事例をご紹介します。営業活動を続けているとさまざまな問題に直面しますが、傾向と対策が頭に入っていればすぐに改善に向けてアクションが起こせます。

提供スピードが遅く、数をさばけなかった

長い行列は人気店の証でもありますが、見方を変えれば需要に対して供給が間に合っていない状態であり、お客様の期待や多くの販売チャンスを逃してしまっているとも言えます。

イベント出店では比較的高額な出店料を払いますし、いつもより仕込みにもお金をかけているので、販売数が想定を大幅に下回ってしまうとその損失は致命傷になりかねません。

時間あたりの利益までシミュレーションしておくことで、調理オペレーションや、提供メニュー、飾り付け具合といった細かなところまで最適化が図れるようになります。

気温に適したメニューを準備できない

どんなに甘くて美味しくても、猛暑日に焼き芋は食べたくありません。このように、季節によって販売数・売上が激減してしまうメニューも多いです。

季節性の高い食べ物はピーク時の売上が跳ね上がる傾向にあり、短期勝負で売れるだけ売るという考え方が基本ですが、たとえば焼き芋屋なら、夏場は「冷やし焼き芋」や「冷製のスイートポテト」に切り替える、たこ焼き屋ならお祭りやイベントへの出店を増やすことで売上を調整するといった対策をとることで、収益の安定化と底上げを図ることが可能です。

持ち帰りニーズに応えられなかった

持ち帰りニーズは想像以上に多いです。イベントでも「参加できなかった家族にも食べさせてあげたい」と思う方々が一定数います。このようなチャンスを取りこぼすのはもったいないことです。

料理によって持ち帰りに向き不向きがありますが、最初から諦めるのではなく、どうすれば持ち帰りニーズに応えられるかを前向きに考えるべきです。

成功しているキッチンカーは、お土産として喜んでもらえるように包装紙や紙袋などにもこだわっています。お土産を持ち帰ってもらうこと自体が他の参加者への宣伝にもなります。

大量の廃棄ロスが出てしまった

どの程度売れるかを想定できずに大量の廃棄ロスを出してしまうことがあります。廃棄ロスを軽視していると失敗の可能性は大きく高まります。仕入れ資金を無駄にするだけでなく売上も想定を下回る結果となり、二重で影響を受けるからです。

特にイベント出店では来客数を見誤ってしまうことが多いです。複数日開催のイベントなら、初日は控えめにして様子を見るなどの工夫が必要です。また、イベントのオーナーや、経験豊富な他の出店者と蜜にコミュニケーションを取り合うことも大切です。

他の出店者とコミュニケーションが取れない

どのようなビジネスであれ、成功するためには人と人とのつながりを大切にすることが不可欠です。これをないがしろにしてしまうと次第に自由度が狭まっていき、どこでも自由に活動できるというキッチンカーの醍醐味が失われてしまいます。

キッチンカーの成功の秘訣は、他の出店者との良好なネットワークを築くことです。同業者と横の関係を作っておくことで、出店場所を紹介してもらえたり、1つの場所に寄り集まって大々的に活動したりできるようになります。

体力的に続かない

真夏になるとキッチンカーの車内は非常に高温になります。あまりの暑さに体調不良を起こす人も多いです。体力的に続けられないとなると、廃業を選ぶほかありません。

地域にもよりますが、暑さが厳しい場所で営業することが多いのなら、スポットクーラーや扇風機を導入しましょう。毎日の体調管理も大切です。不規則な生活を避け、適度な運動を取り入れるだけでも、外的環境から受ける影響を軽減できます。

まとめ

まとめ

キッチンカー開業時・開業後の失敗例を紹介してきました。いかがでしたでしょうか。

開業後1年以内の廃業率が3割を超えるとの調査結果もありますが、実は飲食店全体で見るとそれほど悪い数字ではありません。むしろ昨今のスマートフォン・SNSの普及などにより、開業準備にも、その後の営業にもやりやすい環境が整ってきており、事業継続率は今後急速に改善に向かう可能性は十分に考えられます。

一方で、2020年新型コロナウイルス感染拡大以降、キッチンカーに新たな需要が生まれ、固定店舗経営者や企業がこぞって参入。フランチャイズ化による展開も活発化してきており、競合が加速度的に増えています。

多くのライバルの中で頭一つ抜け出すのは並大抵の努力では難しいですが、商品やキッチンカーのクオリティに徹底的にこだわるだけでなく、調理オペレーションやコストの最適化、SNSを活用した積極的な集客などを行うことで、生き残りへの活路が見いだせるはずです。

先人たちの失敗から賢く学び、リスクをひとつひとつ丁寧に取り除いていくことが、長く安定してキッチンカーを経営するための重要なポイントです。