キッチンカーの経費は何割に抑えるべき?経費を安く抑えるコツも解説
キッチンカービジネスにおいて利益を見通すことはとても重要です。利益を見通すことで、急な資金ショートなどを起こさずにビジネスを安定して回していくことができるようになります。
その利益を見通すために重要なのが「経費」。ここではキッチンカー運営にかかる経費ついて解説します。
キッチンカーの運営でどのような経費が発生し、各経費は売上のおよそ何割程度に抑えればよいかを詳しく説明。後半では、とあるキッチンカー運営者の実際の収支を公開し、取るべき対策について説明しました。ぜひ参考にしてみてください。
キッチンカー運営の経費はいくらに抑えるべきか
キッチンカー事業でかかる経費は10項目に分類できます。実際にキッチンカーを経営している人からの話を参考に、それぞれの経費が売上に対してどのくらいの割合に収まればよいかの目安を下表にまとめました。ご自身の場合にあてはめて計算し、金額ベースでいくらに抑えるべきか把握しておきましょう。
項目 |
売上に対する割合 |
内容 |
原材料費 |
30% |
食材・調味料など |
交通費 |
3% |
高速料金・ガソリン代など |
包装資材費 |
1% |
包装紙・手提げ袋など |
販促費 |
1% |
看板・のぼり・ホームページ制作など |
人件費 |
3% |
人件費 |
消耗品費 |
1% |
調理器具・文房具など |
水道光熱費 |
1% |
水道代・電気代・ガス代 |
通信費 |
1% |
インターネット代・携帯電話代 |
出店費 |
15% |
イベント出店費 |
その他 |
10% |
仕込み場所の地代家賃・車両維持費・営業許可更新代・資格取得費など |
キッチンカーの経費を抑えるためのポイント
売上に対する経費の割合を定めて、それ以下に抑えることができれば、経営は安定します。実際に経費を抑えるためには、どのような工夫が必要でしょうか?
ここでは、キッチンカーの経費を抑えるためのポイントをいくつかご紹介します。
商品メニューごとに原価率を計算する
キッチンカーで、確実に利益を得るためには、原価管理は必要不可欠です。どんなに売上を上げても、原価が高ければ利益を圧迫してしまいます。
材料の原価率は売上の30%以下に抑えるのが理想です。飲食業ではFLコスト(材料費+人件費)とFLRコスト(材料費+人件費+家賃)の経営指標があり、FLコストが売上の60%以内、FLRコストが売上の70%以内と経営指標が定められているのです。この経営指標を守るために、材料の原価率は30%以下に抑える必要があります。
また、材料費の原価率は、売上に対する仕入原価の話ではありません。商品メニューごとに原価率を計算して、多くの利益が出せる商品メニュー開発をすることが重要です。
営業エリアを絞り込む
キッチンカー(移動販売)を成功させるためには、市場調査が重要なカギを握ります。市場調査をして営業エリアを絞り込みましょう。どのような飲食店があるかを調査して、差別化を図ることによって、顧客の集客に成功しやすくなります。
また、出店場所までの移動距離によって交通費が変動します。そのため、営業エリアを絞り込むことで、交通費を安く抑えられる効果も得られます。
車種は年間維持費を考慮して選ぶ
キッチンカー購入時は夢が膨らむものですが、駐車場代・自動車保険料・自動車税・整備点検費用・車検費用などの車両維持費がかかります。
この車両維持費は車両の大きさや年式で変動するので、少しでも経費を安く抑えたい方は、程度のよい軽自動車ベースのキッチンカーなど維持費のかからない車両を選ぶようにしましょう。
ネットワークを大切にする
出店場所の確保には、同業者同士の横のネットワーク作りが欠かせません。通常、イベント運営者や商業施設管理者に出店費を支払う必要がありますが、イベント運営者や他の出店者と良好な関係を築くことで、通常よりも安い出店料で出店させてもらえることもあります。日頃からのご縁をできるだけ大切にしましょう。
補助金を活用する
キッチンカー(移動販売)では、さまざまな補助金や助成金が用意されています。「ものづくり補助金」「地域創造的企業補助金」「地域雇用開発助成金」などに申請できるので、経費を抑えたい方は、補助金を活用しましょう。
補助金を上手に活用すれば、販促費や人件費に関する出費を抑えることができます。
キッチンカー運営の経費を大公開
キッチンカー運営の経費について説明してきましたが、実際にキッチンカー運営者の経費が気になっている方もいるのではないでしょうか?ここでは、安定した収益をあげている、とあるキッチンカー運営者の実際の収支(月間)を公開します。
項目 |
金額 |
売上 |
650,000円 |
原材料費 |
180,000円 |
交通費 |
20,000円 |
包装資材費 |
7,000円 |
販促費 |
5,000円 |
人件費 |
– |
消耗品費 |
1,000円 |
水道光熱費 |
5,000円 |
通信費 |
4,000円 |
出店費 |
90,000円 |
その他 |
40,000円 |
利益 |
298,000円 |
売上の半分が利益となるのが理想とされているため、今回の例はまずまずの利益率であると言えます。それぞれの経費は理想的な割合に収まっています。
出店費も売上に対して妥当な割合ではあるのですが、9万円というコストが負担になっていることは間違いありません。場所のオーナーに出店料の見直しを持ちかけるなどの対策で、利益をさらに大きくすることができそうです。
その他に含まれている地代家賃も、仕込み場を自宅にすることで削減できる場合があります。このような経費削減に努めれば、ひとつの目標となる年収400万円を安定的に稼げるようになるでしょう。
まとめ
経費をできるだけ細かく正確に把握しておくことで、収益構造が明確になります。月ごとの反省では、どの部分に経費をかけ過ぎていたかが明らかとなり、具体的な改善策が立てられます。
このような改善を繰り返していくことで利益を最大化させつつ安定して出していくことが可能となります。利益が安定すれば、次は利益を伸ばすことに注力できます。このような流れを作ることで、キッチンカービジネスも徐々に軌道に乗っていくはずです。ぜひ、今回の記事を参考にして経費を見直してみてください。