キッチンカーの開業資金にはいくら必要?開業資金の目安や見積もり時のポイントを紹介
実店舗を経営するよりも開業資金を大幅に減らせるキッチンカーですが、本格的に始めるのであれば、ある程度まとまったお金を用意する必要があります。
取り扱う商品や車の大きさなど、様々な要素を複合して考え、どのくらいの開業資金を準備すべきか考えなければなりません。
見積もってみた結果、開業資金が不足しているようであれば、貯めるか・借りるかの選択も必要です。
この記事では、これからキッチンカービジネスを始めようとしている人向けに、開業資金の目安・見積もり時のポイントなどをご紹介します。
キッチンカーの開業資金はどのくらいを見積もればいい?
まずは、キッチンカーの開業資金について、大まかな見積もりの金額を知りましょう。
実店舗で展開する場合に比べると、用意する資金のケタが一つ違うので、失敗した時のリスクも低く抑えられるのが魅力です。
総額で考えると200~300万円は確実にかかる
キッチンカービジネスを始めるにあたり、まずはキッチンカー(移動販売車)を用意しなければなりません。次に、車を自分が取り扱う商品内容に合わせてカスタマイズしていきます。
車に手を加えるのと同時に、開業に向けて各種届出・手続き・資格取得を行います。経営に関する勉強・広告宣伝・その他突発的な費用なども、できれば見積もりに含めたいところです。
このように、一つひとつ費用を積み上げていくと、少なく見ても200万円・高ければ300万円以上になると考えるのが妥当と言えます。
いずれにしろ、取り扱う商品によって金額は上下するので、自分のケースに置き換えて開業資金を見積もる必要があります。
各種費用の内訳について
大まかな金額だけが分かっても、各種費用の内訳が分からなければ、精密な見積もりはできません。
続いては、開業資金をより細かく分割して考えながら、それぞれの費用を紐解いていきましょう。
●車両本体と設備導入にかかる費用
キッチンカーは、テスト営業ならレンタルでも十分ですが、本格的に始めようと考えているなら自分の車を持つのが一番です。
どのレベルのキッチンカーを手に入れるかにもよりますが、新車で自分仕様のキッチンカーを作る場合、軽自動車ベースなら150万円~300万円、中~大型車なら300~500万円を見込んでおきましょう。加えて焼き機やコンロ、冷蔵庫などの調理に必要な設備に10~15万円程度を見込みます。
車を購入したら、今度は自分好みの雰囲気に装飾するため、横断幕・マグネットシート・のぼり・ポスターなど、デザインも含めて費用が発生します。こだわればどこまででも費用をかけられますが、自作するなどして3万円程度で抑えることも可能です。
●商品に関連する費用
提供する商品のための費用には、材料費・消耗品などがあげられます。
材料費は、何を売るのかによって金額が異なり、目算で原価率は30%程度が望ましいとされています。開業当初の仕入れ代として3か月分を確保しておくと安心です。
また、多くの場合、商品はそのまま提供するわけではなく、包装紙や容器に入れたり、つまようじを用意したりして提供します。こういった消耗品関係に1~2万円程度の費用を見込んでおくとよいでしょう。
●営業・運営に必要な費用
食品の移動販売を始めるにあたり必要な資格・許可・保険に4万円程度、仕込み場所が必要な場合は、その取得費用として10~30万円を見込んでおきます。
このほか、出店場所を開拓したりイベント等に参加して人脈を広げたりするのに名刺や営業資料が必要です。また、広告・宣伝費や、商工会議所・仲介サービスへの登録料も考えておきましょう。
開業資金を見積もるなら、余裕を持った見積もりを立てることがポイント
ここまでご紹介してきた通り、開業資金の内訳は実に細かく、チェックする際に前向きなことだけを考えていると足元をすくわれます。
理想通りに物事が進まない状況を想定して、できるだけ余裕を持った見積もりを立てておくことが、キッチンカー経営の大きなポイントです。
どのくらいの金額を集めれば余裕が生まれる?
「余裕のある資金計画」には個人差があり、老後2,000万円問題のように具体的な金額が明示されているわけではありません。
ただ、キッチンカーを同じ時間・同じ場所で営業しても、同じ金額が確実に手元に入ってくるとは限らないのが商売の難しさです。
予定していた通りに売上が伸びないことを想定して、極端な話「一定期間は無収入」だったとしても、生計を立てられるだけのお金を用意しておくことが理想です。
目安は3か月~6か月
資金計画を立てるにあたり考えておきたいのは、仮に3か月~6か月無収入だったとしても、その後経営を軌道に乗せられるかどうかです。
後述しますが、金融機関が運転資金として認めてくれやすい資金額は「概ね3か月分」と言われており、6か月で軌道に乗らない事業は、いくら続けても失敗すると判断されるケースが多く見られます。
毎月の固定費・変動費を見積もった上で、最低でも「これだけあれば生活に支障はない」という金額を残しておき、ゆっくり急げる体制を整えることが肝心です。
自己資金が足りない場合は、公的融資でリスクを減らそう
目標に向かって貯金を続けてきたものの、どうしても自己資金が足らず、融資で乗り切ろうと考えている人も多いでしょう。
これは珍しい話ではなく、見積もりを綿密に立てたつもりでも、ちょっとした不注意・ほころびからお金が足りなくなる可能性は十分あります。
そんな時に頼りにしたいのが、公的融資の存在です。銀行や消費者金融に頼るよりも安心できる要素がたくさんありますから、自己資金の不足を心配している人は、一度公的融資を検討してみましょう。
自己資金が足りなくなる主な理由
自分で開業資金をある程度貯金してからビジネスを始めようとした場合でも、諸々の事情によって、自己資金が不足するケースは往々にして存在します。
見積もりの段階では間に合っていたとしても、保健所からの許可が得られないなどの理由から、新たな設備を用意する状況に追い込まれると、その分出費は増えます。
ここで、再びお金を貯めるためにバイトを増やしたとしても、疲労が溜まり開業までスタミナがもたないかもしれません。
かといって、親族や家族からお金を借りるようなことがあると、あとあと揉めるリスクがあります。
せっかく夢に届きそうなところまでたどり着いたのに、自己資金が足りなくて開業できない……。
そんな時に事業者を助けてくれるのが、日本政策金融公庫などの公的融資です。
キッチンカーで開業するなら、銀行よりも公的融資を使おう
公的融資は、銀行など金融機関からの融資に比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。
一口に言ってしまえば、融資を受けられる確率が高い・融資に至るまでの難易度が低い点に特徴があります。
自己資金をある程度用意していて借金がなければ、所定の書類を揃えることで、金融機関と比べて低金利でお金を借りることができるのです。
これが金融機関になると、業歴や売上額に一定の制限が設けられるため、キッチンカー事業者にとってはハードルが高くなります。
クラウドファンディングのような方法で資金を集めることもできますが、投資者に対するリターンの準備・サービス利用に伴う手数料など、別の形で出費を用意できるアイデアが必要です。
よって、キッチンカー事業者が最も確実に融資を受けられるのが、公的融資という結論に落ち着きます。
事業者なら一度は相談したい「日本政策金融公庫」
数ある公的融資の中で、どんな事業者にも広く門戸を開いているのが、日本政策金融公庫です。一般金融機関が行う金融を補完する目的で設立されており、事業融資の実績も豊富です。
開業まもない事業者が融資を検討できるものに「中小企業経営力強化資金」があり、一般金融機関では考えられないような低金利での貸付が可能です。
利用にあたって条件こそあるものの、令和2年7月1日現在で特別利率が適用される場合、年利1.76~2.15という低金利が適用されます。
金融機関で個人事業主が利用できるローンの金利を見てみると、借りられる金額が小さく、年利も高くなるケースは少なくありません。
気軽に借りられるからといって、安易に民間の金融機関に頼るよりも、まずは日本政策金融公庫に相談してみましょう。
まとめ
どんな事業でもそうですが、融資ありきで起業するのは、賢明な判断とは言えません。キッチンカーの開業資金を用意するなら、どのくらいのお金がかかるのか綿密に計算した上で、自己資金を豊富に準備することが基本戦略です。
しかし、手続きや準備を進める中でどうしても予算が足りなくなり、予定を延ばせば機を逸する状況に置かれているなら、融資を受けられるかどうかを検討すべきです。
公的融資を使えば、一般的な金融機関に頼るよりも有利な条件で融資が受けられるため、プランに自信があるなら挑戦する価値はあります。