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キッチンカー(移動販売車)の開業に必要な営業許可とは?申請方法と手続きの流れを知る

キッチンカー(移動販売車)の開業に必要な営業許可とは?申請方法と手続きの流れを知る

2020年6月1日

飲食店を開業しようと思ったときに、固定の店舗ではなくキッチンカーで開業しようと思ったことはありませんか?

店舗では固定費や人件費などで膨大な資金が必要になりますが、キッチンカーでしたら店舗と比べて低コストで始められるのが魅力的です。

最近では見た目もオシャレな、しかも美味しくて安い料理を提供しているキッチンカーが増えてきています。自分もそんな素敵なキッチンカーのオーナーになれるかもしれないと思うと、何だかワクワクしてきますよね。

さて今回は、キッチンカーで開業しようと思ったときにひとつの関門となる「営業許可の取得」について、取得までの流れや取得時の注意点などをまとめました。

キッチンカーの開業には営業許可が必要

キッチンカーで開業するには、出店場所を管轄する保健所で「飲食店営業許可」(以下、営業許可という)を受ける必要があります。

キッチンカーの開業には営業許可が必要

キッチンカーの分類と営業許可の種類

キッチンカー(移動販売車)には大きく分けて「調理営業」と「販売業」の2種類があります。そして、それぞれさらに業種で分類されています。

1.調理営業(食品営業自動車)

現場での調理作業がある営業は「調理営業」に分類されます。車内でできる調理加工は、小分け、盛り付け、加熱処理等の簡単なことに限られます。なまものの販売はできません。

業種

取り扱い品目の例

飲食店営業

たこ焼き、焼き鳥、ラーメンなど
※アルコールの販売OK

菓子製造業

クレープ、ドーナツ、パンなど

喫茶店営業

かき氷、アイスクリーム、コーヒーなど
※アルコール販売はNG

2.販売業(食品移動自動車)

仕込み場で調理した料理を営業車で販売する営業は「販売業」に分類されます。お弁当やパンなどの販売が該当します。販売のみで、車内で調理はできません。商品はあらかじめ包装されていることが条件です。

業種

取り扱い品目の例

食肉販売業

包装された鳥獣の生肉

乳類販売業

包装された牛乳やチーズなどの乳製品

魚介類販売業

パック詰された魚介類

食料品等販売業

パック詰の弁当、袋詰めのパン

 

キッチンカーで何をどのように販売するかによって受けるべき営業許可が決まります。

営業許可ごとに設備の設置基準が異なりますので、まずは所轄の保健所に相談に出向き、自分がやろうとしているキッチンカーが調理営業と販売業のどちらに分類され、どの業種に属しているか、また、キッチンカーにどのような設備が必要になるのかを明らかにしましょう。

その上で、自分で製作するなり、製作業者に依頼するなりしてキッチンカーを用意し、営業許可を申請するという流れになります。

営業許可の申請に必要な書類

保健所に相談をし、どの営業許可を受けるべきかが決まったら、営業許可に必要な書類をそろえましょう。

営業許可の申請に必要な書類

必要書類

  • 営業許可申請書
  • 営業施設の大要、配置図
  • 仕込み場所の営業許可書の写し
  • 営業の大要
  • 食品衛生責任者の資格を有する証明するもの(食品衛生責任者手帳など)
  • 車検証の写し
  • 仕込み場所の水質検査証明書
  • 検便検査成績書
  • 許可申請手数料

 

提出書類も各保健所で書式などが多少異なることがありますので、事前に所轄の保健所で必要書類を確認してください。

営業許可申請にかかる費用

営業許可申請にかかる費用

営業許可申請の手数料は、14,000円〜18,000円ほどです。

もし複数の保健所に申請する場合は、その保健所ごとに手数料がかかりますので、計画を立てて申請するようにしましょう。

また営業許可の有効期限は5年間です。余裕を持って有効期限満了日の約1か月前には更新手続きを完了したいところです。

確認検査を通すポイント

営業許可を受けるには保健所による確認検査を通過する必要があります。確認検査で特に重要視されるポイントは以下のとおりです。

  • 運転席と調理・販売スペースが完全に仕切られれいる
  • 給排水タンクの容量は十分か
  • シンクの数は十分か
  • 手を洗う石鹸や消毒は常備しているか
  • 食器や調理器具などの収納スペースは、しっかりと設置してあるか
  • 換気扇は設置してあるか

 

キッチンカーの一般的なチェック項目ですが、各保健所で条件が違うので注意してください。

 

営業許可取得の流れ

営業許可取得の流れ

それでは、営業許可を取得する流れを見ていきましょう。

1.保健所に事前の相談

キッチンカーでどんな飲食を提供するのか、どこで出店するのか決めたら、必ず事前に管轄の保健所に相談してください。

口頭だけの相談だけでなく出店場所の地図や相談する文書など用意しておくと、漏れがなく無駄に足を運ばなくてもよくなります。

決して事前の相談なくキッチンカーの製作をしないようにしましょう。適切でない設備と判断されてしまうと、再度改造することになります。

2.各申請書類に記入をして、保健所に書類を提出

事前の相談で確認できたら、キッチンカーの製作に進みます。キッチンカーの製作が完了したら、保健所に営業許可申請書を提出します。

3.確認検査の日程調整

キッチンカーが設備基準を満たしているかどうかの検査の日取りを保健所の担当者と決めます。

突然保健所に行っても検査してもらえませんので、事前に日程を調整してください。

4.確認検査

キッチンカーを保健所に持ち込み、確認検査をしてもらいます。

そのとき、指摘された箇所があれば改善して、後日再検査を受けましょう。

5.営業許可書の交付

営業許可書交付予定日になりましたら、「営業許可書交付予定日のお知らせ」と認印を持参して、保健所で営業許可書の交付を受けてください。

6.営業開始

営業許可書を取得できたら、ようやく営業開始です。

営業中は必ず、営業許可書を携帯してください。

営業許可済の標識は、移動販売車の見やすい位置に取り付けましょう。

もし、施設等に変更が生じたり、廃業する際には、保健所まで届け出てください。

順序をしっかり

営業許可取得の注意点

ここまで営業許可について、注意点を交えながら紹介してきましたが、ここでも重要な注意点を紹介します。

業種ごとに営業許可が必要

例えばクレープのキッチンカーでドリンクもセットで提供したいと考えたとき、クレープの提供は「菓子製造業」、ドリンクは「喫茶店営業」にあたるので、それぞれの営業許可を受ける必要があります。

許可を受けていないメニューを提供していると通報や抜き打ち検査によって罰金や、最悪の場合、営業停止となることもあるので、どのような営業許可が必要なのかをあらかじめしっかりと確認し、確実に取得しておきましょう。

仕込み場は確保できている?

キッチンカーでは簡単な調理や加熱のみが許可されていますが、提供するメニューによっては「仕込み場」が必要になります。

仕込みとは調理の下準備のことで、車内では認められていない調理は仕込み場で行わなければなりません。

仕込み場で調理するのにも、管轄の保健所で営業許可の取得が必要になります。

基本的に自宅のキッチンを仕込み場にすることはできません。回避策としては、知人の飲食店の厨房を借りたり、キッチンカーの仲間同士で厨房を共同で借りる方法もあります。

しかし何かの重大なトラブルが起きたときに営業停止になってしまう可能性もありますから、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。

地域によって営業許可の基準が異なる

店舗型の飲食店でしたらその場所を管轄する保健所に申請すればいいのですが、キッチンカーの場合はいろいろな地域で出店すると思いますので、出店先ごと管轄する保健所に申請しなければなりません。

そこで問題が発生します。実は、営業許可の取得条件や、これで良しとする基準が、保健所ごとに異なるのです。

ですから書籍やインターネットの情報だけで判断せず、かならず管轄の保健所に事前に相談してください。

特にシンクやタンクの改造には時間とお金がかかりますので、万が一基準に合わず再改造が必要になると大変です。

保健所の確認は必須

まとめ

キッチンカーを開業するには営業許可が必要で、販売する商品によって取得すべき営業許可が違うということ、そして、取得条件は出店場所を管轄する保健所ごとに違うので、事前に保健所に相談に行き、計画性を持ってキッチンカーの製作に取り組むべきだということが確認できたかと思います。

出店場所を転々とするキッチンカーでは事前の準備が特に大切です。

キッチンカーを製作会社に依頼する場合は、製作会社にも保健所の情報があると思いますので、相談をしながら進めていくといいと思います。同業者と情報交換しても良いでしょう。