注目を集めるお弁当の移動販売。お弁当のキッチンカーのメリットと開業準備について
「お弁当を食べたことがない」という人はいないはずです。お弁当チェーンやコンビニ、駅のキヨスクはもちろん、移動販売でもすっかりおなじみになりました。
お弁当は、食品産業分野では広くお惣菜に分類されるとともに、中食分野の主力商品です。日本惣菜協会によると、お弁当などの中食分野は約10年前から127.3%と成長を続けています。
この低成長時代にあってこれだけ成長している中食分野、なかでも移動販売で非常に注目を集めている「お弁当のキッチンカー」にフォーカスをあててみましょう。
お弁当販売は超激戦区!キッチンカーでお弁当を移動販売するメリット
お弁当は移動販売の中でも最もポピュラーですが、その分ライバルは非常に多く、激戦区の様相を呈しています。
昨今の状況から、外食分野からもテイクアウト形態でお弁当販売を始める飲食店が増え、さらに競争がヒートアップしています。
しかし、キッチンカーで移動販売するメリットを最大限活かせば、ライバルの一歩先を行くことも十分に可能です。
キッチンカーはその名のとおりキッチンを備えた車なので、調理などのひと手間をお弁当に加えられるのが特徴です。調理しないまでも、惣菜など数種類を用意したうえでお客様にお選びいただき、詰め合わせるだけでも楽しい演出が可能です。コンビニやスーパーのラップされたお弁当に対して大きなアドバンテージとなります。
また、お客様の元まで自ら移動できることと、営業先を自由自在に変えられる点も強力な利点です。場所が固定された飲食店では、開業当初は順調に客足を伸ばしても、近隣にライバルや大型店が出現して途端に経営が厳しくなることはよくある話です。
当たり前ですが固定のお店は引っ越す以外方法がありませんが、キッチンカーなら車を走らすだけで容易に移動できます。
お弁当のキッチンカーを開業するための準備
キッチンカー
初めてお弁当を移動販売するなら、普通車や小型トラックではなく、軽自動車・軽トラックをベースにしたキッチンカーがおすすめです。
基本的におかず類は仕込み場所であらかじめ作っておき、車内では簡単な調理や再加熱をして容器に盛り付け提供する形ですので、広い調理スペースや大掛かりな調理器具は必要ない場合がほとんどです。
資格・免許
お弁当の移動販売を始めるにあたって最低限以下の資格が必要です。
- 自動車運転免許
- 食品衛生責任者
- 移動販売車の営業許可(飲食店営業)
キッチンカーを運転するにあたり、特殊な免許は必要ありません。車の大きさによっては中型免許クラスが必要となります。
食品衛生責任者の資格に関しては、食品衛生責任者養成講習会が行っている講習を受けることで取得できます。
キッチンカー(移動販売車)の営業許可は、車内での食品加工の有無や、調理内容によって取得するべき許可が異なるので、キッチンカーを製作・改造する前に出店場所を管轄する保健所に確認を取りましょう。
設備・備品
スープなどを長時間安定して温め続けるにはガスコンロが必要です。昨今はガスの新規契約が難しくなってきているので、早めに準備した方がよいでしょう。
このほか、冷蔵庫やオーブン、フライヤー、食材を置いておく棚やショーケースなどが必要です。
弁当の移動販売で押さておきたいポイント
出店場所とターゲット
ライバルが多いお弁当販売で勝者となるには、まずは移動販売のメリットを最大限活かすことを考える必要があります。
移動販売の最大のメリットは、出店場所・出店時間を自由に選べるという点です。下見とお試し出店を繰り返すことで、最も稼ぎやすい場所・時間を営業しながら自らの足で探し出すことが可能です。これは場所を固定して営業しているお弁当屋にはできないことです。
お弁当販売の代表的な出店場所としては、オフィス街、大学、住宅街、ショッピングモール、商店街、スーパーやドラッグストア、観光施設や道の駅などがあります。
オフィス街や大学が稼げる場所ならば、思い切って特定の会社や大学にメニューを提供し、事前予約が取れるようになるとなおよいでしょう。事前予約は数量が見込めるうえ、仕入れにムダがなくなり廃棄ロスを最小限に抑えることができます。また予約数を捌けば当てもなく待たず、次の営業先へ移動ができるので販売効率が上がります。
出店時間
お弁当販売はランチタイムの昼どきと夕食前の夕方がピークですが、移動販売の場合ではランチタイムに絞って出店するのが一般的です。
14時頃までに営業を終了し、撤収、片付け。現場から戻る途中に仕入れをし、仕込み場所で片づけと翌日の仕込みを行う、という流れです。
利益を出すために
軽自動車ベースのキッチンカーの特色を生かすなら、最小限の調理工程にして提供時間を短くすることです。
仮にキッチンカーで2分の調理が発生するなら、注文をいただいてからお渡しして会計するまで約3分はかかるでしょうが、お弁当を渡すだけなら1分以内で済み3倍のお客様に対応することが可能です。
たかが2分の差ですが侮れません、昼休みは通常60分なので、3分でお客様が回転するなら60分÷3分=20人ほどですが、1分なら単純計算で60人捌けます。もし仮に客単価が700円の場合は20人×700円=1.4万円ですが、60人なら4.2万円とその差2.8万円と歴然です。
なお、お弁当をお渡しするだけではお客様がチョイスするほどのバリエーションにはなりにくい点も、いくつかの惣菜を自由に組み合わせできる、大盛り小盛りも自由に選べる、などの工夫で最小限のメニューから飽きの来ないメニューに見せることが可能で、かつ時間もそれほどかからずにできます。
まとめ
お弁当は会社員や学生だけでなく、場所や時間帯によっては観光客から子ども連れのファミリーまで、すべての人から需要がある売りやすい商材です。その反面、ライバルが多いのも事実です。
安定した売上を確保するには「自由に移動できる」という移動販売のメリットを最大限活かした営業活動が不可欠です。下見やお試し出店を繰り返し行い、最も販売が見込める場所を見つけていきましょう。
また、現場で素早くお弁当を提供することも重要です。そのためには調理オペレーションに最適化された使い勝手のよいキッチンカーが必要です。お弁当販売はその店によって調理工程がかなり違うので、キッチンカーの製作業者としっかり打ち合わせをし、設計に入るようにしたいところです。