キッチンカーの食中毒対策で押さえておきたいポイントと衛生管理方法
この記事では、食中毒の原因と、キッチンカーで菌を繁殖させないための3つのポイント、および衛生管理方法をご説明します。
飲食物の移動販売ができるキッチンカー。地域のイベントや人が集まる場所に簡単に出店できるメリットがあるものの、同時に食中毒のリスクとは常に背中合わせの状態です。お客様に食べ物を提供する以上、衛生管理の徹底は必須。怠ることはできません。
食中毒の原因
食中毒の主な原因は、食べ物に付着した細菌やウイルスです。「O-157」や「サルモネラ菌」と呼ばれるものがそれにあたります。このほかにも数えだしたらきりがない数の原因菌がありますが、共通して細菌やウイルスが付着しているかは臭いや見た目ではわからないという特徴があります。
通年で気をつけなければならない食中毒ですが、とりわけ夏場は湿度と気温の関係で、原因菌にとって最良の環境となります。ほかの時期と比較しても細菌による食中毒の発生件数が多いので、細心の注意を払う必要があります。
特定の食材や環境が菌を増殖させる原因となることもあります。たとえばケバブは気をつけるべき料理のひとつ。野外での調理や長時間保管が、加熱不足や菌の付着を招きやすいとされています。
厚生労働省のホームページで公開されている過去の食中毒事件一覧などを参考に、販売を予定している料理が食中毒を引き起こしやすいものかどうか一度チェックしてみるのもよいでしょう。
食中毒対策で押さえておきたいポイント
キッチンカーで飲食物を提供するときに欠かせない食中毒の対策ポイントは、ずばり菌を「つけない」「増やさない」「殺菌・消毒する」です。では具体的にどのように対策するのでしょうか。
菌を付着させない
食中毒は菌が付着した食べ物をお客様が口にすることで引き起こされます。そのため、食材に触れる際には菌を付着させないように気をつけます。
食中毒の一番の原因となる生肉や生魚だけではなく、できる限りすべての食材に素手で触れないようにしましょう。生肉や生魚に関しては、都度手袋を交換するだけでなく、使用する包丁やまな板をほかの食材と分けるとより安心です。
手を拭く際のタオルやふきんにも十分注意しましょう。使い捨てのペーパータオルなどを使用する、あるいはアルコール消毒を徹底するのがベストです。
菌を増やさない
菌を付着させない努力をしていても、食材そのものに食中毒の原因菌が潜んでいる可能性もあります。それらの菌を増やさない対策が必要です。
すぐにできる対策は、食材の管理方法の徹底です。たとえば少しの間使わない食材は、出しっぱなしにせずその都度冷蔵・冷凍庫にしまいましょう。手間がかかるかもしれませんが原因菌の繁殖を抑えるのに大きな効果があります。
また、生肉や生魚は、保管のための専用容器を作っておきましょう。容器は汁がこぼれない密閉性の高いものを選んでください。生肉や魚の汁には食中毒を引き起こす原因菌が潜んでいる可能性が高いため、ほかの食材、特に生で提供する野菜とは分けて汁がこぼれないようにして保管することをおすすめします。
殺菌・消毒する
「つけない」「増やさない」に続く3つ目のポイントは「殺菌・消毒する」です。
提供する食材には、できる限り熱処理を施します。特に生肉や生魚についている菌は熱によって死滅するのでしっかりと火を通しましょう。また、電子レンジによる熱処理には専用の容器を使用することでムラなく熱を通すことができ効果的です。
生肉や生魚を扱った調理器具にも菌は付着しているので、調理器具の使い分けを徹底し、殺菌・消毒をこまめに行うことが大事です。営業前や営業後には漂白剤による消毒や煮沸による消毒を欠かさないようにしましょう。
キッチンカーでできる衛生管理
食中毒を予防するには、食材や調理器具の取り扱い以外にも徹底した衛生管理が大切です。こまめな手洗いや除菌はもちろん、仕込みや片付けでもペーパータオルや使い捨て手袋を使用する方がよいでしょう。タオルを使用する場合は常に新しいタオルが使えるように準備をしておいてください。
加えてキッチンカー内部の換気も心がけるとなおよいです。換気をすることで菌が繁殖する原因となる熱や湿気を室内から逃がせるため、菌を増やさないための対策になります。
また、営業している中で金銭授受をする場面もあります。キッチンカーは特に、調理と接客を同じ人物がする場合が多いので、お金を受け取った際の消毒も忘れずに行いましょう。キャッシュトレーを使う、キャッシュレス決済を導入するなど、間接的な対策も有効です。
食中毒対策を徹底して安全なキッチンカー運営を
食中毒は最悪の場合、命を落とすこともある重大な病気で、もし食中毒を発生させてしまったら、営業停止命令や営業禁止処分を受けます。ほんの少しの気の緩みが大きな事故につながる恐ろしいものなのです。
食中毒を絶対に発生させないために、食材の徹底した管理や調理器具を衛生的に保つ工夫、こまめな手洗い・消毒などを欠かさず行い、ぜひ安全なキッチンカー運営に努めてください。