
キッチンカーと丼(どんぶり)は相性抜群
丼(どんぶり)がキッチンカーのメニューに最適な理由を紹介します。また、キッチンカーでの販売に適したおすすめの丼メニューを紹介します。
オフィス街でも住宅街でも、キッチンカーの周りに集まる人たちの最大の関心事はメニューです。キッチンカーメニューの開発においては、味はもちろん、値段、見た目、待ち時間など、シビアで欲張りな消費者のニーズを満たすためのポイントがいくつかありますが、提供する側にとっても、丼はおすすめの選択肢の一つと言えます。
キッチンカーに丼(どんぶり)がうってつけの理由
丼は、おいしく、安く、目新しいメニューを開発しやすい条件を備えていると言え、キッチンカーで提供する料理としてうってつけです。
自動車内でできる調理加工は、小分け、盛り付け、加熱処理等の簡単なものに限られます。丼は基本的に米飯の上に具材を乗せることで料理が完成することから、狭い車内で素早く準備でき、客の待ち時間が少ないため、フードビジネス初心者にも取り組みやすいと言えます。
また、容器を通した温かさを手に感じながらさっと食べられる気軽さが丼の第一の魅力ですが、空腹を抱えて街に繰り出すランチタイムの顧客へは(ご飯大盛りなど)米飯量の調整で、きめ細かな対応ができます。丼を小さなキャンバスに見立てるなら、盛り付けの工夫で見た目の華やかさも演出できます。
サラリーマンは昼食にあまりお金をかけられないのが実情ですが、安いなりにおいしく、良い食材で作られた料理を食べたいと願っています。キッチンカーは家賃など固定費負担も少なく、丼の材料は米飯及び具材のほぼ2点のみとシンプルですから、これらの食材費に原価を重点配分することが可能です。
キッチンカー向きの丼メニュー
キッチンカーでの販売に向いた丼メニューを6つ紹介します。どのような丼なのかという説明はもちろん、簡単な作り方や具材についても記載しました。さらに、キッチンカーで調理・販売する際の工夫も盛り込みました。
- ビビンバ丼(コリアンエスニック丼)
- ビビンバ丼は、街の焼肉店でもランチタイムに提供されていますが、キッチンカーではナムルの種類を増やしてその場で選べる方式にするか、コストは上がっても少し良い牛肉を使うなどの工夫で女性客には野菜、男性客には牛肉をアピールポイントにすることができます。
- ナムルはぜんまい、ほうれん草、ニンジン、豆もやしの他、トラジ(キキョウ根)など珍しいナムル用食材も通販で仕入れ可能です。
- モヤシ牛肉丼(コリアンエスニック丼)
- モヤシ牛肉丼は、大豆もやしと、塩コショウとゴマ油だけで下味をつけた牛赤身肉の粗挽きミンチが入ったあっさり味の炊き込みご飯です。
- 炊き込みご飯は仕込んでおいて保温しておき、キッチンカー内でターンノーバー(韓国でポピュラーな両面焼き)の目玉焼きを焼いてトッピングすれば、顧客向けのパフォーマンスを兼ねたメニューになります。
- 仕上げに韓国風の具沢山の醤油だれをかけて提供します。
- カオマンガイ(タイの蒸し鶏のせごはん)
- カオマンガイは、元は中国の海南鶏飯がルーツで、東南アジア各国に同じような料理があります。
- ニンニクと鶏ガラスープで炊いたベースのご飯の上に蒸したモモ肉を乗せたら下味の醤油だれをかけ、キュウリの薄切りとペースト状のタレを添えます。
- 東南アジアへの旅行者がネットに情報をアップしているため、名前だけはかなり知られていますが、家庭料理レシピでは「ズボラ飯」などと言われています。
- 炊き込みご飯の丼は事前の仕込みをしておけば調理が簡単でキッチンカーでも取り組みやすく、一度プロの味を食べてみたいと思っている客層には話題を提供できるメニューです。
- カオ・パアッ(ラオスの目玉焼きのせ焼き飯)
- カオ・パアッは、干しエビと唐辛子、香味野菜をミックスしたペーストのナムプリックパオとナンプラー(魚醬)で味付けした焼き飯です。
- 焼き飯の具材はソーセージとみじん切りのネギのみで、キッチンカー内で手早く調理できる上、特徴的な調味料でコクのあるエスニックな味が演出できます。
- 丼の周りにはスティック状の細葱など数種の生野菜の他、レモンのくし切りを添え、華やかに盛り付けます。焼き飯の甘辛い味も日本人の口に合う味付けです。
- 中華カレー飯
- 横浜や神戸の中華街には古くから中華風のカレーを出す店があり、隠れた人気メニューになっています。
- ゴマ油と鶏ガラスープを使い、とろみは小麦粉ではなく片栗粉でつけるため、いわば具材を炒めてスパイシーなカレー味をつけたあんかけご飯とも言える料理です。
- 中華街では牛のフィレ肉を使うお店もあるようですが、キッチンカーでは牛や豚の薄切り肉をさっと炒めれば短時間で調理できます。
- 中華の特徴を見せることで、激辛に飽きたカレー好きの客層にも受け入れられるメニューになると思われます。
- ごもく飯(汁かけご飯)
- ごもく飯(骨董飯)は、江戸時代の料理書に掲載されたレシピです。日本の米相場を牛耳っていた堂島米市場の周辺で(もうけをすくう)「すくい飯」という名前で売られていました。
- 具材は細切りにした蒸しアワビ、錦糸卵、生麩の揚げもの、青菜、椎茸、香味野菜としてセリの茎など。丼の上から熱いだし汁をかけます。
- アワビは高級食材なので、キッチンカーでは帆立貝の酒蒸しなどで代用するとよいでしょう。ビジネス街で話題になりそうなメニューです。
キッチンカーと丼メニューは好相性
丼を消費者側の魅力の面でとらえれば、一杯で得られる満腹感、お財布に優しい値段、食べる際の手軽さが挙げられます。
他方、提供側にとっては、事前に仕込んだ材料をキッチンカー内で冷蔵、保温など適切に保管しつつ必要に応じて加熱調理を組み合わせることで、その後の工程は盛り付けのみとなります。調理工程の単純化が衛生上のリスク低減につながることを考えれば、キッチンカーと丼メニューは互いの良さを引き出しあう関係と言えるでしょう。