キッチンカーとキッチントレーラーの違いを解説
キッチンカーとキッチントレーラーの違いを解説します。
「キッチントレーラー」というものをご存知でしょうか。車とキッチンが一体化しているキッチンカーに対し、キッチントレーラーは車とキッチン部分が別々の車両になっており、個性的な外観が魅力です。しかしいざ運用しようとすると、導入コストや運転の難しさなど、通常のキッチンカーと比べて難しい点もいくつかあります。
この記事では、キッチントレーラーとは何かを解説したのち、キッチンカーとの細かな違いについて説明します。
キッチントレーラーとは?
キッチントレーラーとは、箱型の居室に、調理に必要な装備を一通り整えたトレーラーのことです。エンジンを持たず、乗用車でけん引して移動することから、牽引移動販売車とも呼ばれています。
キッチントレーラーの最大の特徴は、外観が個性的であることです。トレーラータイプの移動販売車は存在自体が珍しく、注目を得やすいでしょう。
内装をすべて調理に必要な装備にカスタマイズできる点もメリットです。キッチンカーの場合は、保安基準や運転の問題で内装外装ともにカスタマイズに制限がかかることがあります。しかしキッチントレーラーの場合、それらの問題を気にしなくてもよいため、より本格的な調理設備を導入できたり、理想的なレイアウトを実現しやすいのです。
キッチントレーラーとキッチンカーの違い
キッチントレーラーとキッチンカーの違いを、費用、使い勝手、運転の3つの視点で解説します。
キッチントレーラーはキッチンカーよりもより小さな資金で移動販売を開業可能です。また、同じサイズのものであればキッチンカーよりも広い調理・作業スペースを確保できます。一方、2台分の出店スペースが必要な場合があるなど、運用が難しい点もあります。
キッチントレーラーはより小さな資金で始められる
キッチントレーラーは、キッチンカーと比べ開業費用をより小さく抑えることが可能です。車とキッチンが一体化しているキッチンカーは、製作するのにベースとなる車両が必ず必要なのに対し、キッチントレーラーはけん引する側の車両をすでに持っている場合、トレーラー部分のみの購入・改造で済むからです。小さなトレーラーであれば軽自動車でもけん引可能です。
キッチントレーラーの価格は100万円~450万円程度。一方、キッチンカーは軽自動車ベースの小型なものでも150万円~300万円程度します。
また、キッチントレーラーはけん引する側とトレーラーが別々の車両であるため、仮に車が故障したとしてもトレーラーを引き続き使用できるため、トラブル時にかかるコストも小さく抑えられる可能性があります。
キッチントレーラーは車内を調理・作業のためだけに使える
キッチントレーラーには運転席がないため、車内をすべて調理や作業のために使うことができます。同じサイズあるいは同じ価格のキッチントレーラーとキッチンカーを比べたとき、基本的にはキッチントレーラーのほうが大きな規模で営業できます。
ただしキッチントレーラーは、トレーラーを置く場所とけん引してきた車を置く場所の計2台分の出店スペースを確保しなければならないことがある点に注意が必要です。出店するエリアによって基準が異なりますが、例えば東京都の場合、すぐに移動できる状態でなければキッチントレーラーでの営業が認められておらず、けん引してきた車のみ他の場所に駐車して営業するということができないのです。
キッチントレーラーは運転に慣れが必要
キッチントレーラーは、車で牽引して移動するため、普通の車と同じ方法では運転できません。普段よりも大回りしたり、バックのときのハンドル操作を身につけたりしないと、思わぬアクシデントに見舞われることも。
一方キッチンカーは、トラックベースのものであってもトレーラーほど特殊な運転技術を要求されません。特にバンタイプのキッチンカーの場合、外装にはほとんどカスタマイズが施されないため、乗用車とほぼ同じ感覚で運転できます。運転に苦手意識がある方ならキッチンカーが適しているといえます。
なお、キッチントレーラーの車両総重量が750kg未満であれば、けん引免許は必要なく、普通免許さえあれば運転できます。750kgを超える大きなキッチントレーラーを使う場合はけん引免許が必要になります。
キッチンカーとの違いを知ってどちらを導入するか十分に検討しましょう
キッチンカーとキッチントレーラーの違いを解説しました。
キッチントレーラーは個性的な外観が特徴でお客様からの注目を集められますし、同じサイズのキッチンカーと比べると内部スペースが広く、より大きな規模での営業が可能ですが、一方で運転の難易度が高かったり、車2台分の出店スペースが必要になることがあるなど、移動販売車としてやや扱いづらい面もあります。
現状、移動販売車として一般的に用いられるのはやはりキッチンカーの方です。まずはキッチンカーでの開業を果たし、経営が安定したのち、事業拡大のタイミングでキッチントレーラーの追加導入を再検討してみるというのが無難な選択かもしれません。