天下の台所・大阪のキッチンカー事情。人気のお店やジャンルについて
大阪と言えば、全国的にたこ焼き・お好み焼きなどの食べ物が有名ですが、キッチンカー人気も高く、街を歩けば色々なキッチンカーを見かけます。
お好み焼き・たこ焼きなど、いわゆる「コテコテ」の商品ばかりが出揃っているわけではなく、意外にもスイーツ系、クレープ・カフェなど甘いものを取り扱う店が存在感を示しています。
この記事では、大阪で人気となっているキッチンカーのジャンルについて、インスタグラムなどSNSの情報を中心にご紹介します。
攻めの営業が必要
大阪は、江戸時代に「天下の台所」と呼ばれていたことで知られ、当時の物流・商業の中心地でした。
現代でも、商品を値切ることがコミュニケーションの一環として行われている部分は否めず、「モノの売り買い・商売には人一倍敏感な県民性を持っているのが大阪人」と評する声もあります。
そのような環境下では、どれだけ積極的にコミュニケーションを図れるかが、売上を左右します。
キッチンカーは、初期費用を安く抑えつつ、お客さんのもとへ自ら駆けつけることができるメリットを持っているため、「攻めの営業」ができる点で大阪の人にも人気のようです。
大阪市だけでも100件以上が登録
大阪のキッチンカー人気は、新型コロナ禍で加速している傾向にあります。大阪市によると、2020年1月~7月までの間で100件以上が新たに登録されており、今後もこの勢いは強まるものと予想されます。
単純に新規開業するだけが目的ではなく、すでに実店舗を経営している会社が、大幅な売上減を取り返すためにキッチンカーを導入したケースもあります。開業にかかる費用は店舗のおよそ1/4と少額のため、経営者にとって負担が少ないのもメリットです。
店舗に人が集まれば三密を生む
飲食店がキッチンカーに期待する大きな理由として「三密」の問題があります。各メディアで集中的に取り上げられたこともあって、国民の多くが「密閉・密集・密接」の三要素を満たす場所を避けるようになり、人が集まる飲食店もやり玉にあげられるようになりました。
三密を避けようとすれば、自ずと席を空けた状態で営業せざるを得ず、その分売上も落ちます。まっとうに営業しても収益が減るわけですから、それなら逆に顧客が外で買えるものに絞って売った方がよいと考えるのは自然なことかもしれません。
本来のニーズも盛況
お店側の事情からキッチンカーを始めるケースは増えてきているものの、キッチンカーは三密を避ける観点から顧客にも人気があるため、マルシェ・店舗前などへの出店も好調です。
堺市などでイベントに出店してくれるキッチンカーを募集する広告も出されており、地域を問わずニーズは高いと言えそうです。
幅広いメニューで勝機あり
大阪で営業されているキッチンカーの種類は幅広く、一般人がキッチンカーで欲しがりそうなメニューは網羅されているという印象です。
具体的には、カレー(辛いもの)・からあげ(ジューシーなもの)・メロンパン(甘いもの)と、ジャンルも多数見つかります。もちろん、本場ならではのたこ焼きが食べられるお店も見つかるため、観光客対策もバッチリです。
続いては、大阪で営業しているキッチンカーの種類について掘り下げます。
最近話題に上ったのはイタリアン
大阪では、2020年5月にスタートした新しいキッチンカー「YOKOZUKE」が話題になりました。料理人がキッチンカーで自宅前までやって来て、出来立ての料理を提供するというサービスです。
営業自粛を強いられ仕事が思うようにできなくなった料理人・ソムリエと、過剰在庫に悩む農家など生産者のために企画されたもので、サービス開始直後から外食ができない顧客の気持ちをつかみました。
必要な食器は顧客自身が貸し出すスタイルを取っているため、ゴミを減らしつつ自宅の落ち着いた雰囲気で食事ができます。
よく見かけるジャンルはクレープ
大阪でよく見かけるキッチンカーのジャンルを調査すると、クレープが比較的多く見られました。考えられる理由としては、大きく分けて以下の2つがあげられます。
フランチャイズの一大拠点がある
大都市圏を中心にキッチンカー事業を展開している「Berry’s cafe(ベリーズ・カフェ)」は、大阪に本部を構える株式会社NE PROJECTが運営しています。ベリーズ・カフェの事業形態はフランチャイズで、クレープを主体とした商品構成となっています。
大阪だけでなく、東京・名古屋・福岡・仙台と全国各地に支社があることから、ある意味フランチャイズの一大拠点が大阪にあると考えてよいでしょう。その影響もあって、クレープを取り扱うキッチンカーが多いものと考えられます。
クレープのキッチンカーは出店のハードルが低い
地域や環境によって一概には言えませんが、クレープのキッチンカーを出店した経験がある人・現在出店中の人に話を聞くと、クレープは比較的安価に提供できるメニューだという声が多いようです。
開業した人の中には、開業費用を総額200万円程度に抑えられ、クレープをきれいに焼くための練習費用はわずか3万円弱しか使わなかったという人もいて、出店のハードルは比較的低いと言えるでしょう。
生地自体が薄いため、トッピングを除き生地だけで考えれば、原価率を10%台に抑えることも不可能ではないという意見もあります。よって、取り扱う具材を厳選すればランニングコストも低く抑えられ、そのあたりがシビアなコスト感覚を持つ大阪人に受け入れられたものと推察されます。
ホットドッグなどのファーストフードも人気
大阪で人気のあるキッチンカーを見てみると、商品のバリエーションは豊富です。ホットドッグ・ピザ・ドーナツなど、各車が広場に集まればすぐにフードコートができあがるラインナップです。
もちろん、大阪のソウルフード・たこ焼きを売るキッチンカーも人気があり、本場ならではの食感・味わいが楽しめます。
美味しいものを手軽に食べ歩きたい人にとって、大阪は天国かもしれません。
2020年における大阪で人気のキッチンカー各種
実際に大阪で人気を集めているキッチンカーをリサーチすると、商品の傾向はバラけており、多くの選択肢の中から好きなものが選べるという印象を受けます。
ここからは、2020年現在、大阪で人気の高いキッチンカーをいくつかご紹介します。
M’s café(クレープ&キューバサンド)
こんにちは😃
クレープ&キューバサンド移動販売のM's cafeです。
風が強いなあ😱
頑張ろー😎
今週も出店場所は、
水曜日
アーバンエース東天満ビルさん
住所は、大阪府大阪
木曜日
神戸市多聞台中央公園
金曜日
京都リサーチパークさん
ランチ出店です
11時30分から13時30分まで
良かったら来てね😙 pic.twitter.com/wYZv445bBs— M's cafe (@Mscafe6) September 2, 2020
バゲットのような硬さを持つキューバンブレッドに、ローストポークなどの美味しい具材がたっぷりサンドされた「キューバサンド」を売るキッチンカーです。
キューバサンドは、2014年公開の映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』で脚光を浴びたメニューとして知られ、ボリューミーな見た目なのに食感はカリッとした歯ごたえに仕上がっているのが特徴です。
クレープも販売しているため、顧客としてはお腹の空き具合に応じて食べ物を選べるメリットがありそうです。
元祖泉州たこ焼きキッチンカーみなとや(たこ焼き)
https://twitter.com/yuyukirikucoco/status/1300958960111857666
大阪を拠点にした、たこ焼きの移動販売のお店です。
熱伝導率が高い銅板を使用して焼き上げるたこ焼きは、誰もが一度は憧れる「外サクッ・中フワッ」を実現しています。
営業日や舞台裏をこまめにSNSで発信しており、その点も人気に貢献しているものと思われます。
台湾肉飯店(肉料理)
https://www.instagram.com/taiwan_nikuhanten/
台湾のソウルフードである「魯肉飯(ルーローファン)」を販売しているキッチンカーです。
しょうゆ味で甘く煮込まれた豚肉をご飯にかけた料理で、弁当の種類はチャーシューが乗ったものから刻みショウガを添えたものまで様々です。
煮卵などのトッピングが注文でき、しっかり食べたい人はご飯大盛も頼めます。
エッグスイッチ 三ツ星タマリエトースト(サンドイッチ)
https://www.instagram.com/eggswitch/
京都で有名な卵「旬の美食」と、餅のような生地に仕上がる湯種食パンを使って作るサンドイッチが人気のお店です。
その人気から、出店先の一つ・海老江イオンスタイルでの営業が延長されるなど、着々とリピーターを増やしている様子がうかがえます。
営業面では、インスタグラムでの見栄えを工夫するなど、徹底して宣伝アカウントとしての整備を行っているのが特徴的です。
Happy Kitchen Will(から揚げ)
元看護師・元力士の夫婦が脱サラして始めた、異色のキッチンカーです。
から揚げが有名ですが、メニューのバリエーションが多いという特徴があります。
数量限定でビビンバ丼を提供したり、さりげなくマスクをラインナップしたりと、商魂たくましい活躍ぶりを見せています。
おわりに
以上、大阪のキッチンカー事情についてお伝えしてきました。
大阪は「食い倒れの街」と呼ばれるほど食にこだわりのある土地ですが、それだけにキッチンカーも個性あふれるお店が数多く見られます。
実店舗も含めて、他の都市よりもライバルは多いことが予想されるため、出店するなら独自のこだわりを持つことが必須条件と言えるでしょう。
もし、大阪で暮らす人々の舌をうならせることができれば、その他の土地に出店する際の自信にもなるはずです。