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キッチンカー経営において売上目標を立てる必要性と目標の立て方

キッチンカー経営において売上目標を立てる必要性と目標の立て方

2020年9月25日

キッチンカー経営は、実店舗とは違う着眼点が必要です。人が集まる場所をこちらから選んで出店できるメリットがある反面、天候によっては出店そのものができないなど、一般的な飲食店開業とは異なる形のリスクも想定しなければならないからです。

一定の売上を確保するためには、その日任せの気ままな経営というわけにはいきません。1日・1か月・1年という単位で現実的な売上目標を立て、細かい結果に一喜一憂しない、論理的な経営が必要になってきます。

この記事では、食の移動販売を検討している人や、実際にキッチンカーを経営していて経営改善を考えている人向けに、売上目標を立てることの必要性・売上目標の立て方、目標を立てる際におさえておきたいポイントなどを解説します。

売上目標を立てる必要性

売上目標を立てる必要性

夢という単語には、漠然としたニュアンスが感じられます。しかし、それを目標という単語に置き換えると、途端に現実的な「実現すべきもの」に変わります。

まだ見ぬ売上を夢見るような経営者は、経営の入口に立つ資格はありません。経営を継続するためには、どれだけ具体的なことを決められるかが勝負なのです。

まずは、どうしてキッチンカー経営において売上目標を立てる必要があるのか、いくつかの視点から理由をお伝えします。

できること・できないことがハッキリする

売上目標とは、1日・1か月・1年で「これだけの売上をあげたい」と経営者が立てるものです。その動機は人それぞれですが、最低でも「経営を継続させていく」ことができなければ、その計画は失敗です。

たとえば、キッチンカーを準備するのに、初期費用が300万円かかったとします。融資で工面したのなら、毎月5万円ずつ返済するとして、5万円×12か月=60万円なので、最低でも5年間は安定して経営を続けなければなりません。

お店を出店するために駐車場を借り、賃料が1万円なら、その費用は1万円×12か月=12万円です。
保険料が年間8万円なら、月割りでおよそ6,667円になります。

商品を提供する際の消耗品や交通費も含めると、これら経費とローン返済だけで10万円以上が発生することも珍しくありません。

売上を出すためには売上原価が発生しますから、1日の売上が5万円で原価が4万円だとしたら、20日働いて粗利は20万円です(5万円×20日-4万円×20日=20万円)。

そうなると、手元に残る金額は10万円弱となります。あとは、その10万円を貯金するのか、それとも生活費に回すのかを決断することになるでしょう。

具体的な数字を計算することで、経営や日々の生活において、自分自身にできること・できないことが具体的に見えてきます。

皮算用に惑わされることなく、自分がいくら稼いだら何ができるのか・最低限稼がなければならない金額はいくらなのかを、客観的に把握できるのです。

行動の原動力となる

稼がなければならない金額が分かると、今度はそれが行動の原動力に発展します。月に売上100万円以上を稼ぐために、あるいは1日5万円以上を稼ぐために、具体的な戦略を立てていきます。

自分が扱っている商品は、通年稼げる商品なのか。季節の中では、春夏秋冬いつが一番売れやすいのか。どのような場所に行けばニーズがあるか。すでに稼いでいる人は、どんな場所に出店しているのか。

こういった情報を仕入れ、どの時期に、どれくらいの売上を上げることが必要なのか、年単位でシミュレーションを行うことができます。

また、数字という目標が生まれることで、商品1個の単価から、最終的に何個売り上げれば目標を到達できるのか、個数目標を立てることができます。

イベント会場で出品するなら、多少値段をつり上げることも想定するなど、時と場所・顧客の属性などを考えながら、売上目標を調整する戦略も立てられるでしょう。

先に想定以上の売上を確保できれば、後々収入が落ち込んでしまった場合も、補正をかける必要性が少なくなります。

数字が明確になることで、やるべきことが見えてくるメリットが生まれます。

モチベーションを維持できる

目標を追いかけている過程で、良い数字を記録すると、それがモチベーションの維持につながります。目標は、将来の自分に対する約束事でもあり、経営がうまくいっているかどうかを判断する指針でもあります。想定以上によい結果につながっているなら、目標を上方修正して、より多くの結果を自分に求めることもできます。

逆に、ただ毎日の売上を記録しているだけでは、その数字が予想よりも大きいものなのか、それとも小さいものなのか、漠然としたまま日々が過ぎてしまいます。

自分が立てた戦略の正当性を把握する意味でも、目標の設定・修正をこまめに行うことが大切です。

売上目標を立てる際に押さえておきたいポイント

売上目標を立てる際に押さえておきたいポイント

キッチンカー経営を始めて間もない頃は、売上目標を立てようにも、どのような視点で目標を立てるべきなのか分からず混乱してしまうケースも珍しくありません。

そこで、売上目標を立てる際に押さえておきたいポイントについて、いくつかご紹介します。

最初のうちは、この中のいずれかを取り入れて、1日・1か月といった小さな目標から達成していき、ある程度毎月の流れが見えてきてから、大きな視点で目標をとらえるようにしましょう。

1日の売上目標×稼働日目標で考える

お店をスタートした段階から、年間の売上目標と達成率を計算することは、とても素晴らしいことです。しかし、その通りにしなければならないと考え続け、成果が出ていないのに無理やり目標を達成しようとお店を回すのは、あまり効率的ではありません。

まずは、1日の売上目標を決めた後、それを稼働日分で換算したらどのくらいになるのか計算してみましょう。

20日稼働すると決めて、1日の売上目標が6万円なら、6万円×20日=120万円となります。

1か月、その目標を達成するために努力してみて、実際に達成できていたなら来月も同様の目標を続けます。もし、目標を達成できなかったら、目標の数値や原価など、固定費以外の諸々の数字を見直してみます。

これを繰り返す中で、無理のない目標ラインと、ちょっと背伸びすれば届くラインが見えてくるはずです。

安定して目標を達成できるようになり、赤字が出なくなったら、次の段階に進みます。

1日、月間、年間の目標を立てる

短期的な目標が達成できるようになったら、今度は年間でいくら稼ぐのか、売上の金額を決めていきます。ただし、年間目標を達成するためには、各月・各日でいくら稼げばよいのか、目標を細かくチャンクダウンする必要があります。

ここでも、現在の売上が続いた場合にどうなるのか、多少背伸びしたらどうなるのかで、目標の金額を決めていきます。

1日の売上が5~7万円で推移しているなら、7万円が12か月続いたケースで目標を立てても良いでしょう。

どちらかというと最低ラインに近い日が多いようなら、逆に稼働日を増やすなどして対応できないかどうかも検討してみます。

売上の大きい月・小さい月の差が見られるなら、その傾向が生まれた理由を推察します。集計した数字が生まれた理由を、1日・1か月・1年の単位で検討できるよう、目標と結果を記録していきましょう。

季節や気候条件を考慮する

月・年の目標を立てる場合の注意点として、季節・気候条件を考慮することがあげられます。
日本には四季があるため、メニューによっては特定の時期しか売れないものもあります。地域によっては雪が降ったり、強烈な太陽光線に悩まされたりすることがあります。外出・出店先を制限されるケースも想定されるため、暑いからといってアイスが売れるとは限りませんし、寒いからといってラーメンが売れるとも限りません。

また、日・月の天気予報や気温にも注意しなければなりません。酷暑だとソフトクリームよりかき氷が選ばれる傾向にあるなど、場合によっては出品する品を細かく変えるなどの対応が必要になってくるからです。

大幅な売上増が見込めるタイミング・商品が売れにくいタイミングを、過去のデータから読み取って、より現実にマッチした予測を立てることが大切です。

イベントの売上は読みにくい

キッチンカー経営で売上目標を立てる場合、特に注意しておきたいのがイベントです。どんな客層を相手にするかは現場によって異なるため、単純に規模感だけでは正確な売上額を判断することはできません。

上手く計画がハマれば、用意した商品の数を売り切ることができるかもしれませんが、大量のフードロスを生むおそれもあります。せっかく100食を用意しても、もし半分しか売れなかった場合、残りの50食分を廃棄しなければならないのは大きな痛手です。

会場を押さえても、当日台風や大雨に見舞われてしまったら、イベントが中止になってしまうかもしれません。

計画を立てる場合は、イベントの売上をあてにせず、日々の活動の中で確保できる売上をベースに計算しましょう。

もちろん、イベント会場側から招待を受けるなど、買取出店のように収入が決まっている場合は例外です。

安定した収入が得られるチャンスですから、積極的に参加しつつ、毎年の参加を見込んだスケジュールが立てられるよう努力しましょう。

まとめ

まとめ

キッチンカー経営を安定して続けるためには、変化する状況を分析しつつ、小さなデータをベースに年単位の目標を立てることが大切です。

最初のうちは、どうしても希望的観測にもとづいた計画になりがちですが、データを集計するうちに、現実的な売上額が見えてくるはずです。

やがて、売上目標を達成できるようになったら、それが自分自身のモチベーションアップにつながりますし、これから何をすべきかを考え、行動する際の原動力にもなります。

1日の売上目標×稼働日目標からスタートし、データが集まったら年単位の目標を立てて、最終的には天候や季節・イベントの成績を盛り込んだ目標設定へと進んでいきましょう。