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キッチンカーの安定経営を脅かす4つのリスクとその対策

キッチンカーの安定経営を脅かす4つのリスクとその対策

2020年10月19日

初期投資が少なく、売れる場所を探して自由に移動できるキッチンカーは、実店舗経営に比べてリスクが低いと考えられています。

しかし、もちろんノーリスクで経営できるわけではなく、経営者はキッチンカーならではのリスクに直面します。

実際に営業を始める前に、リスクを事前に把握しておかなければ、思わぬ失敗を招くこともあります。

この記事では、キッチンカーの安定経営・リスクヘッジを考えている人のために、キッチンカーの売上を左右する4つの営業リスクと、その対策についてお伝えします。

リスクその1:出店場所が急になくなるリスク

リスクその1:出店場所が急になくなるリスク

きちんとした出店契約を結び、順調に売上を伸ばしていたとしても、土地や場所のオーナーの都合で急に契約が打ち切られてしまうことが稀にあります。

また、イベント出店でも、悪天候や天変地異・新種の病原菌などが原因で、イベント自体が長期延期、場合によっては中止になってしまうことがありますから、どんなに大規模なイベントであってもその可能性は頭の片隅に入れて置かなければなりません。

移動販売で安定した経営を続けるには、このように突然出店場所がなくなることをあらかじめ想定した事業計画が求められます。

対策のひとつとして、複数の出店場所を確保しておくというものがあります。どれか一つがダメになっても他で営業できる体制を整えておくことが大切です。

出店スタイルも、通常出店とイベント出店のどちらか一方だけではなく、日頃から両方バランスよくやっておくのが理想です。特にイベント出店は性質上、遠征になることが多く、活動エリアを広げるのに役立ちます。

リスクその2:天候や気温により売れ行きが極端に落ちるリスク

リスクその2:天候や気温により売れ行きが極端に落ちるリスク

主に屋外で商品を提供するキッチンカーは、天候・気温の影響を大きく受けます。豪雨に見舞われれば出店はキャンセルになりますし、寒波・猛暑の日はお客さんが道を歩くことも少なくなります。

一年の中で懸念すべき時期は一部かもしれませんが、世界中で温暖化の傾向が進む中、日本でも夏場の酷暑は死者を出すほど深刻なレベルになっています。また、寒冷地の吹雪は周囲がまったく見えなくなるホワイトアウトを引き起こすほどの勢いに発展することもあります。

ここまで極端なものでなくても、天候の変化はキッチンカー営業を妨げるおそれがあり、短期的・長期的に売上が鈍る可能性があります。

売上の面で確実に取れる対策としては、天候・気温・場所ごとに売上のデータをまとめ、毎月・毎年の売上目標に反映させていくことです。

また、予期せぬ機会損失にも耐えられるよう、売れる時にできるだけ売る心構えで、普段から堅実に資金を積み立てていくことが大切です。

リスクその3:車が故障するリスク

リスクその3:車が故障するリスク

商品提供で重要なのは内装・調理設備ですが、キッチンカーは自動車ですから、きちんと走れるよう日々の整備が必要です。

メンテナンスを怠っていると、足回りが劣化して事故に遭う確率が高くなりますし、エンジンに問題が発生するといきなり故障してしまうこともありますから、以下のような点に注意が必要です。

夏場の注意点

夏場に気を付けたいのがオーバーヒートで、営業中はバッテリーや発電機を使っていたとしても、長距離を移動するなどエンジンを熱くしてしまう運転を続けていると、エンジン内の温度が上がりっぱなしになってしまうおそれがあります。

中古車両をカスタマイズした場合、エンジン周りの整備を後回しにして開業した人は、冷却水の漏れやエンジンオイルの劣化に注意が必要です。

ちなみに、エンジンがオーバーヒートすると、最悪の場合エンジンを載せ替えなければならない事態に発展します。その場合、中古車が買えるくらいのお金がかかってしまいますので、絶対に避けたいところです。

冬場の注意点

冬場に気を付けたいのはバッテリーで、気温が下がることで放電・充電の化学反応が鈍くなり、エンジンがかからなくなってしまうおそれがあります。エンジンのかかりが悪くなったと感じたら、できるだけ冬を迎える前にバッテリーを交換しましょう。

また、冬場は路面温度も低くなるので、できれば雪道に限らずスタッドレスタイヤを装着することをおすすめします。スタッドレスタイヤは、気温7℃以下の低温時でもゴムが硬くならないように作られているため、寒い中でもグリップを確保してくれるメリットがあります。

その他の注意点

キッチンカーに限った話ではありませんが、車と長く付き合っていくためには、できるだけこまめにメンテナンスをすることが大切です。よく言われていることですが、以下の点を徹底すれば、走行距離を気にせず安心して乗れるはずです。

  • オイル交換は3,000~5,000km走行を目安に
  • バッテリー交換は2年に1回と心得る
  • 走行距離が9万キロを超えたらタイミングベルト交換の準備を
  • 法定点検/車検だけでなく、3か月~6か月単位で点検を入れる

また、キッチンカーの多くは、車高が高く車体側面の面積が広いため、横風に弱いことを考慮しなければなりません。運転中は、一般車以上に法定速度を守り安全運転を心がける意識が大切です。

リスクその4:食材が高騰する・数を確保できなくなるリスク

リスクその4:食材が高騰する・数を確保できなくなるリスク

農林水産省の「農林水産統計」によると、2020年8月の農業物価指数は前年度に比べ増加傾向にあり、特に野菜・果物の価格は2015年と比較して上昇傾向にあります。今後もこの傾向が続けば、食材の高騰に伴い必要な数量を確保できなくなるリスクは避けられません。

キッチンカーがこのリスクを回避するためには、これまで飲食業界が積み重ねてきたノウハウを参考にすべきです。具体的には、仕入れの手間を省くことと、メニュー構成の見直しに注力するのが有効です。

基本的に個人経営となるキッチンカー経営では、できるだけ売上につながる時間を増やすため、インターネットの食材検索サービスを活用して、コストカットしながら複数の仕入れ先を確保しておきましょう。

また、メニューを原価率ベースで見直しつつ、高いメニュー・安いメニューをミックスし、全体の粗利に影響を及ぼさない工夫も大切です。

これらの対策は、開業後に講じても間に合わないことが多いため、開業前にできるだけシミュレーションの時間を多く取って理想的なメニュー構成を考えておきたいところです。

万一の自体に備え、代替メニューのラインナップも考えておけばより安心です。

おわりに

おわりに

今回ご紹介した4つのリスクは、開業前にポイントを把握しておけば、比較的対策を講じやすいものです。特に「開業したけど出店場所がない問題」は、経営者側の財布も心も圧迫していきます。

キッチンカー経営を安定させるためには、開業前の段取りが重要です。開業してからもトラブルが起こるリスクはあるわけですから、できるだけ最初の段階で要らぬトラブルは避けるよう努力したいところです。

逆に言えば、事前準備をしっかり行うことで、成功する確率を高められるジャンルとも言えます。人の振り見て我が振り直せと言いますから、リスクに伴う失敗例をきちんと学び、堅実な経営を心がけましょう。