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キッチンカーの一般的な設備一覧。自分に必要なものをチェックしましょう

キッチンカーの一般的な設備一覧。自分に必要なものをチェックしましょう

2020年10月26日

キッチンカーを使って移動販売を行う場合、さしあたり開業にあたって用意するものは車両です。しかし、商品を提供するためには車内での調理が必要なため、営業前には調理器具や冷蔵庫などの設備を積み込まなければなりません。

また、どのような設備であっても営業が認められるわけではなく、キッチンカーの製造および改造時には、各自治体の保健所が定めた基準を満たして初めて営業できる点に注意が必要です。

どんなメニューを提供するのか・どんな調理方法を採用するのかによって、用意すべき装備・備品や保健所の基準も変わってきますから、キッチンカーを形にする前に入念なリサーチが求められます。

この記事では、そういった事情を踏まえ、開業時にどのような機材・設備が必要になるか大まかに知りたいと考えている人に向けて、一般的に導入されている主な設備・備品をご紹介します。

用意すべき設備は「メニュー」・「調理方法」によって異なることを押さえる

用意すべき設備は「メニュー」・「調理方法」によって異なることを押さえる

各種装備・備品などの設備について概要を把握する前に、そもそも自分がこれから提供する商品のメニューについて、開業前に今一度見直してみましょう。

自宅でいくら素晴らしいオムライスを作れたとしても、車内の限られた空間で同じクオリティのものを用意できるかどうかは、実際にキッチンカーをレンタルするなどして試してみないと分かりません。

IH調理器で卵を焼こうと思っていても、火力の問題でガスが必要だと分かった場合、設備の導入にあたり改造が必要です。カセットコンロでも事足りるのか・プロパンガスがいるのかなど、サイドメニューの調理も含め、理想とするイメージを固めないと、希望通りのクオリティが実現できないおそれもあります。

自分が用意するメニューと、それらを完璧な状態で提供するための調理方法を把握した上で、各種装備・備品の準備を進めることが大切です。

キッチンカーの基本的な各種装備・備品の紹介

キッチンカーの基本的な各種装備・備品の紹介

スペースに限りがあるキッチンカーでは、どのような商品を提供する場合でも、共通して必要な装備・備品が多数存在します。

続いては、多くのキッチンカーに搭載される装備・備品について、概要・選定ポイントなどをご紹介します。

シンク

多くの保健所において、キッチンカーには「手洗い専用シンク1台」・「調理器具洗浄用シンク1台」の設置が義務付けられています。保健所によっては、3つの設置を義務付けているところもあるため、事前に確認してから手配しましょう。

長さ・奥行き・深さなどが指定されている場合、条件を満たさなければ許可が下りません。
また、清潔さを考慮して、材質はステンレスを選んでおくのが無難です。

申請当日、保健所側でキッチンカー内部の設備をチェックするのですが、その際には石鹸および手指消毒液を一緒に設置します。石鹸は液体型でも問題ありません。

給排水タンク

シンクを用意するということは、給排水のタンクもそれぞれ必要になることを意味します。こちらも、保健所・営業許可証の種類によって水量が定められています。

参考までにお伝えすると、東京都の場合は単一品目で最低40L以上の給水タンクが必要となり、20Lのタンクを2つ並べて使うケースもあります。衛生面を考えて、広口タイプで中まで洗えるものを選びたいところです。

冷蔵庫・冷凍庫

食材の中で保冷の必要があるものを取り扱うなら、冷蔵庫や冷凍庫を用意します。仕込みが済んだ半製品を保存するのにも使われます。

大型のものを用意すると、ただでさえ限られたスペースを圧迫することになるため、調理台としても使えるコンパクトなもの(コールドテーブル)を用意するとスペースを節約できます。キッチンカーのサイズ感で考えると、あえて業務用を選ばず、家庭用で済ませても問題ありません。

冷蔵庫・冷凍庫は、キッチンカー走行中も稼働させなければならないため、電源供給を考えてから具体的な導入をイメージします。発電設備が整っていないと、せっかくの冷却装置が役に立ちませんから、製作・改造段階での打ち合わせが肝心です。

冷蔵ショーケース

スイーツや飲み物など、商品を陳列しながら保冷する場合は、冷蔵ショーケースの準備が必要です。冷蔵庫と似た扱いですが、半製品を置いておくとイメージダウンにつながるおそれがあるため、あくまでも「見せたいもの」だけ保冷するために用います。

残量が一目で分かるメリットがあり、サイズ感もキッチンカーの大きさに応じて選べます。

カセットコンロ

スペースをコンパクトに使いつつ、かんたんな調理に必要な火力を求めるなら、カセットコンロの設置が合理的です。本格的な調理を行うには熱量が足りませんが、オムライスの卵を焼いたり炒め物をしたりする分には、十分な火力が期待できます。

より強力な火力を求めるのであれば、プロパンガスを使う卓上ガスコンロの準備が必要です。また、同時に複数の調理を行う場合は、コンロの口数を増やすことを想定してレイアウトを考えなければなりません。

ただ、カセットコンロの中でも火力が強く風に強いモデルがありますから、一度コンロの火力を試してみて必要十分と判断できるようであれば、多少時間がかかる調理に採用してもよいでしょう。

コーヒーメーカー

カフェメニューを検討しているなら、おいしいコーヒーを淹れるためのコーヒーメーカーを用意しましょう。
こだわりのあるお店では、ハンドドリップでの抽出が基本になるかもしれませんが、コーヒーメーカーの中には本格的なコーヒーを素早く作れるモデルもあるため、スピードを重視するならコーヒーメーカーも悪い選択肢ではありません。

ちなみに、ハンドドリップでのコーヒー抽出を考えている場合、お湯を作るための熱源をどうするのか考えなければなりません。

また、コーヒーメーカーは、豆を挽いてから抽出する「パウダー式」と、豆のカプセルを使って抽出する「カフェポッド式」があるため、ハンドドリップも含め効率・電源事情などを総合的に考慮して選びたいところです。

炊飯器

外食でご飯を食べる場合、日本人は特に「炊き立て」にこだわりますから、ご飯ものを取り扱うなら炊飯器の準備が必要です。車内でご飯を炊くのではなく、仕込みの時作ったものを販売するなら、保温コンテナを使うのもよいでしょう。

ちなみに、炊飯器を使用した際の消費電力は1,300Wほどですが、平均保温電力はおよそ50Wですから、電力節約のため炊飯を仕込み時に行い、キッチンカーでは保温機能のみ使うのも一つの方法です。キッチンカーの電源事情に応じて、負担のない選択肢を選びましょう。

発電機

キッチンカーでの営業時、会場によっては電源を使わせてくれるところもありますが、どちらかというと少数派です。ほとんどの場合、自前で発電機を用意して、各種装備を稼働させます。

発電機は、車内の調理・食材保存などの用途だけにとどまらず、夕方以降の営業では照明用の電力を確保するために重要ですから、スペースの許す限り大容量のものを選ぶと安心できます。あらかじめ設備の使用電力量を計算した上で、それらすべてをまかなえるモデルを選ぶことが大切です。

ゴミ箱

出店先・イベント会場にゴミ箱がない場合に備えて、お客さんがゴミを捨てられるよう、ゴミ箱も用意しておくとスマートです。ゴミを持ち帰る必要がないと判断した人が、商品購入を検討する可能性が高くなります。

原則として、出店場所の景観を保てるよう「フタ付き」のゴミ箱を選びます。
また、出店場所を清潔に保つため、できるだけサイズは大きめのものを用意したいところです。

スポットライト

日が落ちてからも営業する場合、カウンターの周囲を照らすために必要です。電池式のランタンなどを使う方法もありますが、LED式など明かりが弱いものもあるため、手元も照らせるクリップ式の明るいものが望ましいです。

パラソル・ベンチ

出店スペースが広い場合、キッチンカーの周囲にパラソル・ベンチなどを配置しておくと、お客さんがその場で商品を食べる際の心理的抵抗が少なくなります。パラソルは、雨風をしのぎ日よけにもなるため、夏場は特に用意しておきたい設備です。

換気扇

換気扇は、コンロ上部への埋め込み型・吊り型のほか、家庭用製品の流用も検討します。保健所によっては設置の義務がある設備のため、設置場所の規定・換気扇の大きさは、事前にガイドライン等をチェックしておきましょう。

仮に、保健所側で設置を義務としていなかったとしても、車内のニオイ・湿気対策のため設置しておくことを強くおすすめします。

保健所が定める基準に準拠するものを用意する

保健所が定める基準に準拠するものを用意する

各種設備を用意するために注意したいのが、設備を「自分本位でカスタマイズしない」という点です。より具体的に言うと、保健所が定める基準に準拠するものを用意しなければなりません。

キッチンカーが保健所から営業許可を取得するためには、管轄の保健所が定める基準をクリアすることが求められます。シンクの個数・換気扇の設置場所・窓の大きさや高さ・床面の素材など、自治体によって細かい指定があります。

中には、どんなに導入したくても、保健所で認めていない設備・機器なども見られます。
基準をきちんとチェックせずに設計・発注・改造に至ってしまうと、許可が得られず再発注となり、余計な費用が発生してしまうおそれがありますから注意しましょう。

まとめ

まとめ

キッチンカーに必要な設備を一通り準備しようと考えたら、自分の思い付きで考えず、まずは出店地を管轄する保健所の許可を得ることを優先しましょう。保健所が自分の車を認めてくれなければ、そもそも営業ができませんから、せっかくカスタマイズにお金をかけても無駄になってしまいます。

用意すべき設備は数多く、それぞれにメリット・注意点がありますから、自分の車にはどんな設備が必要なのかを熟考しなければなりません。前例を参考にすることも大切ですが、最終的に自分が必要とするものだけを揃えられれば営業はできますから、まずは売上を出せるレベルの設備を整えることに集中しましょう。