通常出店?イベント出店?キッチンカーの主な出店スタイルを解説
キッチンカーを日々どのような場所にどういう周期で出店させていくかという、いわゆる「出店スタイル」はもうお決まりでしょうか。
移動販売の出店スタイルは、特定の場所・周期で出店する「通常出店」と、フェスやマルシェなどに出店する「イベント出店」の大きく2種類に分けられ、それぞれで適するメニューや営業方法が異なります。
この記事では、キッチンカーの基本的な出店スタイルとなる通常出店とイベント出店について、それぞれの概要・主な出店場所・出店時間・向いているメニューといった情報をご紹介するともに、その他の出店スタイルについても解説します。
キッチンカーの出店スタイルは「通常出店」と「イベント出店」の2つが基本
キッチンカーの出店スタイルにおいて基本となるのは、通常出店・イベント出店の2種類です。以下に、それぞれの概要と、主な出店場所・出店時間・向いているメニューについてご紹介します。
通常出店
主に平日をベースに決まった場所で出店するスタイルです。
フランチャイズ等で、出店場所があらかじめ定められている場合を除いては、基本的に出店場所を所有もしくは管理しているオーナーと事前交渉して、場所を借りるための許可を得ます。
出店場所としては、スーパー・ドラッグストア・ホームセンターといった商業施設から、オフィス街・住宅街・大学まで幅広く選べます。出店に適した時間帯は、ランチ系の商品なら11~14時頃・軽食系なら10~18時頃が目安です。
メニューについては、選ぶ場所によって傾向が変わってきます。商業施設であれば、時間に応じてランチ・軽食のいずれも選ばれるでしょうが、オフィス街はいわゆるランチ難民に向けて「丼もの・カレー・各国の屋台メシ」などを用意するのが定石です。
住宅街・大学になると、ガッツリとしたランチよりも、スイーツ・たこ焼き・焼き鳥といった商品が馴染むようです。
イベント出店
主に土日祝での出店となるスタイルで、出店時間は開催されるイベントに左右されます。具体的な時間は10~16時頃となるケースが多く、多くの場合はイベントのスケジュールに合わせて商品を提供します。
出店場所として知られているのは、野外フェス・フリーマーケット・お花見・スタジアム・地域のお祭りや公園などです。公園での出店は、イベントの開催に関係なく募集している自治体もあるため、将来的に通常出店が見込める可能性もあります。
イベント出店でよく選ばれるメニューとしては、ランチメニューが多いですが、多少ボリュームがある単品メニューも人気です。売上の面を重視するなら、オペレーションのスピードが早いケバブ・タコスなどがおすすめです。仕込みに時間をかけられるなら、ローストビーフ丼・エスニック料理といった選択肢もあります。
「買い取り出店」や「ケータリング」のような形もある
出店スタイルの中には、前もって売上の金額が分かっているものもあり、安定して収益を得るためには重要です。買い取り出店・ケータリングについて、それぞれ解説していきます。
買い取り出店
買い取り出店とは、イベント運営者や出店先から、あらかじめ決められた数の商品を買い取ってもらうスタイルのことです。現場ではお金のやり取りを行わず、来店してくれたお客さんに商品を配る形となりますから、一定額の売上が保証されているので安心です。
具体的な出店場所としては、カーディーラー・住宅展示場・携帯ショップなどが主で、販促の目的でイベント・商談会を行う際に、出し物の一つとしてキッチンカーを呼ぶケースが多く見られます。自治体によっては、住民サービスの一環としてお祭りにキッチンカーを呼ぶ場合もあります。
ただ、日程はどうしても人が集まりやすい週末に集中してしまう傾向にあります。また、イベントの開催から終了まで拘束されるため、場合によっては普段の出店よりも拘束時間が長くなってしまうかもしれません。
よく選ばれるメニューとしては、クレープやスイーツ・フライドポテトなどがあります。
イベントによっては、子ども向けのわたあめなども人気です。
ケータリング
キッチンカーは、不特定多数に商品を売るだけでなく、たとえばレストランの予約のように、指定された場所で所定のメニューを提供する出店スタイルも選べます。いわゆるケータリングに近いスタイルで、パーティー会場・撮影現場などに向かい、できたての食事を提供する形です。
日程・出店時間は依頼者次第というところがあるので一概には言えませんが、主に週末が選ばれます。
メリットとしては、提供人数が決まっていること・一人あたりの予算や売上額が分かることなどがあげられます。また、セットメニューの料金を提示するなど、通常出店に比べてメニューに柔軟性を持たせることができるので、予算内であれば自由度の高い商品提供が実現できます。
ケータリング形式の場合、長時間・大人数で食事することを想定して、パーティースタイルで提供できるよう、時間に合わせてメニューの出し方を変えるのが理想です。1人前ごとにランチセットのようなスタイルで提供するなら、ハンバーグ・スープなど、メイン食材を活かす方向性でメニューを組み立てましょう。
大人数で取り分けるスタイルなら、商品単体よりも「和・洋・中・エスニック」といったジャンルで考え、肉・野菜・果物のバランスを考えて品数を用意した方が喜ばれます。
通常出店は出店サイクルも工夫したい
基本的な出店スタイルとなる通常出店は、ただ漫然と出店場所・日時を選んで行っても意味がありません。少なくとも【毎日出店/週一出店】の違いだけは頭に入れておき、戦略を練りたいところです。
毎日出店・週一出店とは
キッチンカーにおける毎日出店とは、実店舗のように「特定の場所に毎日出店する」ことです。一方、週一出店とは「週一回の出店をローテーションする」方法です。
キッチンカーは、基本的に1台での移動・販売となるため、どちらかの出店サイクルを選ぶことになります。
早く覚えてもらえる「毎日出店」
同じ場所に毎日出店していると、その分、お客さんに早く認知してもらえます。開店したばかりの頃は、いかにお店の存在を知ってもらえるかが大事ですから、安定して売上を出したい・地域の人に自分のお店を知って欲しいという考えなら、毎日出店にはメリットがあります。
ただ、そのような出店サイクルを選んでしまうと、ほぼ実店舗と変わりないため、限定性を売りにした販売戦略を立てることはできません。近くにオフィス・工場などがあって、毎日必ず誰かが買ってくれるあてがあるなら、毎日出店を検討してみましょう。
限定性が活かせる「週一出店」
毎日出店と違い、その限定性が活かせるのは週一出店です。たとえば「毎週金曜日」だけ出店することを決めたたこ焼き屋があったら、顧客の観点から見ると「金曜日はたこ焼きの日」などと週のルーティーンに含めやすく、結果的に売上が促進されます。お店のファンが増えれば、出店している曜日の予定を空け、たこ焼きを買ってくれるでしょう。
しかし、中には「いつも出店していないから予定が分からない」などの理由から、リピーターになってくれないお客さんもいます。来店してくれたお客さんに対しては、営業している場所・曜日・時間といった情報を、できるだけこまめに発信することが大切です。
なお、商圏人口の少ない地域では、あえて週1回の出店を行うことで、その地域に刺激を与えるという戦略もあります。毎日同じ場所で出店するよりも、顧客の楽しみ・期待感が高まるため、1回の出店時の売上を考えるなら週一出店は魅力的です。
まとめ
キッチンカーの出店スタイルを掘り下げていくと、単純に自分で場所を探して出店する以外にも、様々なスタイルがあると分かります。出店時間・売れる商品などにも微妙な違いがあり、ケータリングスタイルで商品を提供する場合は売り方そのものが変わってきます。
こういった違い・メリットについて、知っているのと知らないのとでは、販売戦略の立て方に大きな違いが生まれます。自分が取り扱っている商品・ジャンルと相性のよい出店スタイルを探すことが、時間や材料のロスを減らして売上を立てるための第一歩と言えるでしょう。