出店場所の下見でチェックすべきポイント&お試し出店のススメ
キッチンカーのメリットは、言わずもがな「好きな場所・思った場所で出店できる」点です。今日は東へ明日は西へと、自由気ままに出店場所を選べ、実店舗とは営業戦略が異なります。
しかし、どんな場所でも思ったようにお客さんが集まってくれるとは限らず、ぶっつけ本番で出店を試みた結果、実は立地が悪かった・お客さんに見つけてもらいにくかったというケースも考えられます。
それを防ぐために、まずは下見をして場所の雰囲気やお客さんの導線などをチェックして、その上でお試し出店を行い、手ごたえをつかむことが大切です。
この記事では、キッチンカーを出店する際の下見の必要性と、実際に下見をする際に押さえておきたいポイント・お試し出店時のメリットについてご紹介します。
最適な出店場所を見つけるには下見が必要
街中をクルマで走ってみて、人が結構集まっていると感じたり、ライバルとなるお店が少なかったりする区画を見つけると、何となくお店を出したら儲かりそうなイメージがあります。しかし、車窓から見る風景と、実際にその場所に立って見渡した時の風景とでは、印象は大きく異なるものです。
最適な出店場所を見つけるためには、現地で「キッチンカーを出店する」ことをリアルに想定した下見が必要です。
キッチンカーは「どこに出店するか」が売上を大きく左右する
味へのこだわりやバリエーションなど、商品そのもののクオリティはもちろん、何を売っているのか一目でわかる車のデザインも大切です。しかし、キッチンカービジネスにとって出店場所を選ぶことは、これら以上に重要な要素です。キッチンカーでの売上は、すでにたくさんのファンがついている場合を除いて、基本的には「どこに出店するか」に大きく左右されるからです。
オフィスが立ち並ぶ場所・工場の近くのスペースに出店するなら、ランチメニューを用意しているキッチンカーの方が有利でしょう。逆に、学生街や主婦の憩いの場として機能している場所なら、カフェ系が有利かもしれません。
このように、一つひとつの場所には特徴がありますから、一律で「ここに出せばある程度売れる」というものではありません。キッチンカーで安定して売上を出すためには、出店場所の検討は非常に重要なことなのです。
場所の候補が絞れたら一度下見をする
いくつか気になる場所が見つかって、候補がある程度絞れてきたら、一度下見をしてみましょう。実際に通り・区画を歩いてみることで、インターネット等で調査した時点では気付かなかった雰囲気・新しい発見があるはずです。
- 最初は学生が多いと思っていたけど、時間帯によっては親子連れも見かけるようになった
- ランチタイムしかサラリーマンはいないと思っていたが、日が沈んでからもそれなりに見かける
- 平日は目立たなかったが、土日はお年を召した方が多い
同じ場所に何度も通っていると、次第にその場所の雰囲気・特徴が見えてきます。その上で、客層に合わせた戦略を立てていきます。
下見の際に押さえておきたいポイント
続いては、実際に下見をする時、押さえておくと特徴がつかみやすくなるポイントをいくつかご紹介します。
下見を一度だけで終えてしまうと、その場所の特徴を十分に理解しないまま出店して失敗するおそれがあるため、以下にあげるポイントは確実にチェックしてください。
曜日や日時を変えて何度か下見する
同じ場所でも曜日や日時によって客層は変わってくるものです。平日は閑散としていても土日祝は人が集まっている・昼よりも夜の方が人通りの多い路地が近くにあるなど、タイミングによってかなり雰囲気が違うところもあるので、一度だけではなく、何度か下見をしてみるとよいでしょう。
目に留まる場所かどうか
周囲がオフィス街で比較的人通りが多いエリアでも、道を一本隔てるだけで急に寂しい雰囲気になってしまうことがあります。エリア単位で見るのではなく、出店を予定している場所の前を本当に人が通るのか、目に留まるか、という現実的な視点で下見をすることが肝心です。
周囲のお店をチェック
キッチンカーの面白いところは、一見人通りが少ないように見える場所でも、やり方次第で商売が成り立つところです。ほとんど人が集まらず、近くに飲食店がないからこそ、キッチンカーが成立するという特殊なケースもあります。
- 人通りが少ない通りで、しかもあまり目立たない場所に出店しているにもかかわらず、周囲の店舗で働くスタッフがランチを買い求めるため売上が成立しているケース
- 学校の規模は大きいのに学食が用意できず、曜日ごとに様々なキッチンカーが出店するケース
- 何の娯楽もない寂しい通りに週一で出店して、その地域の楽しみとなっているケース
などです。
逆に、人通りは多いけれど自身のキッチンカーと扱うメニューが同じレストランが近くにある場合、思ったような集客・売上が見込めない可能性があります。
下見で周囲のお店をチェックすることは、チャンスとリスク、両方を見つける絶好の機会といえます。
ベンチや公園が近くにあるとよい
下見をする際は、商品を買ってくれるお客さんの動き・ニーズを把握するだけでなく、お客さんが商品を買った後の「アフターケア」につながる環境があるかどうかも確認しましょう。
具体的には、周囲にベンチ・公園があるなど、商品を手に取ったお客さんが食事しやすい環境が整っているかどうかをチェックしておきます。
「ここに○曜日にキッチンカーが来る」と認知されれば、休憩が目的で公園を訪れる人・集会やクラブ活動でやって来る人の憩いの場として、キッチンカーを使ってもらえる可能性が高まります。
キッチンカー側で、カウンター・ゴミ箱を用意するにも限界がありますから、周囲の環境を活かした営業戦略を立てたいところです。
下見の次は「お試し出店」
自分なりに下見が十分にできたと感じたら、いよいよお試し出店の段階に進んでいきます。
お試し出店には、イメージと実地でのギャップをつかむことによって、事前調査で不足していた情報を補てんする狙いがありますから、お試し出店で得た情報を存分に活用しましょう。
「移動できる」というキッチンカーの利点を活かす
キッチンカーは、実店舗と違って「ダメだったら移動できる」という長所を持っています。
1日・1ヵ月・3ヵ月といったように、期間を設けて成績をチェックし、出店場所を見直すこともできます。
期間を長くする場合は、ファンやリピーターがどのくらい増えているかで判断します。また、売上の推移・味の評価・出店時間を教えて欲しいという問い合わせが増えているかどうかなども、出店場所との相性をチェックする意味で重要です。
大勢の人がいるのにまったく注目してくれなかったり、閑散としているのになぜか人が集まってきたりと、実際に出店してみないと分からない情報が、一度出店すれば肌感覚として得られます。
よい結果につながった場所での出店はそのまま継続し、売上が伸びなかった場所は外すなど、結果に応じて戦略を立てるようにします。
レンタルキッチンカーも活用できる
自分用のキッチンカーを購入する前段階として、レンタルキッチンカーを使って手ごたえを感じてみるという方法もあります。
実際に車両を購入するよりも、リスクを大幅に減らしてテストができるため、より気軽に出店プランを練ることができます。
あまり長く出店していると、かえってコストが高くついてしまいますから、1日の目標を立てて出店し、目標をどこまで達成できたのか確認するような使い方がよいでしょう。
目標を大幅に超える売上が実現できたなら、一定期間レンタルで出店を続けて様子を見る間に、自分の車を用意するのも一つの方法です。
まとめ
出店場所を下見して得られた情報をもとに、お試し出店をすることで、場所ごとのデータが集まっていきます。机上であれこれ考えるのと、実際に出店して経験した情報とでは、後者の方が圧倒的に「活きた情報」です。
出店先で気付く問題も多々ありますから、日々の営業で起こったことは日報のような形でまとめておくなど、数字以外のデータも蓄積しておきましょう。
細かいことを言えば、出店場所の傾斜はどうなっているのか・休憩時のトイレは近くにあるのか・BGMを流さない方がよいのかなど、出店する側の都合も考えて場所を選ぶと、その分だけ不安が減ります。
長くお店を出し続けていれば、地域との信頼関係を築くこともできます。自分にとって最良の場所と出会うためにも、いきなりスタートダッシュをかけるのではなく、まずは下見とお試し出店から始めてみてください。