
移動販売車をおしゃれにする外装塗装。メリットや塗装方法・費用をまとめました
キッチンカー(移動販売車)と聞くと、カラフルに彩られたポップなデザインの車を想像すると思います。おしゃれで雰囲気のあるキッチンカーは見るだけで気分が高まり、売っているものがそれほど興味のない食べ物・飲み物だったとしても、つい買ってしまいたくなりますよね。
この記事では、できるだけ低予算でおしゃれなキッチンカーを作りたいと考える人のために、キッチンカーを外装塗装する各種方法と、方法ごとの費用についてご紹介します。
キッチンカーを外装塗装することで得られるメリット
実際に塗装の準備を進める前に、まずはキッチンカーの外装塗装を行うメリットについて考えてみましょう。
個性や世界観を演出できる
一口にキッチンカーといっても、何をどのように売るお店なのかはそれぞれ異なります。どのようなものが売っているのか分かりにくいデザインだと、よほど好奇心の強い人でもない限り、お店に足を運んでくれません。
ソフトクリームのディスプレイ・看板がキッチンカーの近くに置いてあれば、お客さんも「このキッチンカーではソフトクリームを売っている」と理解しやすいでしょうし、ピンクなど蛍光色を使ったデザインなら「スイーツを売っているお店かもしれない」と判断しやすいはずです。
より深いところを掘り下げると、国旗がデザインに含まれていれば「その国の料理を提供するお店」ということが伝わりますし、南国の植物がプリントされていれば「キューバサンドなど南の島にちなんだメニュー」があるお店だと間接的にアピールできます。
出店地域で自分のキッチンカーのデザインが周囲に認知されれば、商品のブランディングにもつながります。お店の個性・世界観を演出する上で、塗装は大きな役割を果たしているのです。
居場所をアピールできる
キッチンカーのベースとなる軽トラック・商用バンなどを、何のデザイン・塗装も施さずに出店すると、ほぼ間違いなく街の風景に溶け込んでしまうでしょう。せっかく人が集まる場所にお店を出しても、遠目から見てバンが作業しているようにしか見えない状況が想像されます。
しかし、赤や黄色など目立つ色で塗装され、のぼりや看板が近くに設置されている車があれば、おそらく多くの人は「ここで何か商売をしている車」と認識するはずです。そこから興味が生まれ、お客さんとして何かを買ってくれる可能性が生まれますから、塗装を活用して自分の居場所をアピールするのはとても大事なことです。
塗装する方法と各費用
移動販売車の塗装に関しては、大きく分けて「移動販売車の製作業者に依頼する方法」・「塗装の専門業者に依頼する方法」・「DIYする方法」の3種類に分かれます。以下、それぞれの概要・費用についてご紹介します。
移動販売車の製作業者に依頼する
車そのものの購入からスタートしようと考えているなら、移動販売車の製作業者に依頼する方法がスムーズです。移動販売車に特化している分、予算の面でもパッケージ価格が適用され、塗装・ラッピング・ロゴやデザイン作成まで一手に引き受けてもらえるのがメリットです。
この場合の相場観を考える際は、塗装単体の価格ではなく、総額(コミコミ)料金でいくらになるのか見積もりをもらいます。軽トラックベースで概ね145万円~、1tトラックになると165万円~といったところが相場となるでしょう。
もちろん、デザインや車の大きさによって、より高い金額になることもあります。
専門の塗装業者に依頼する
キッチンカー自体はすでに購入したものの、商品を最初に想定していたものから変えた、あるいはデザインがどうしても気に入らないなどの理由から塗装を変えたいと思った場合、専門の塗装業者に依頼する方法があります。
基本的に、乗用車の塗装は単色もしくはツートンといったケースが多いため、それ以上の質(空や木を描く・国旗をデザインに含めるなど)を求めるなら、相応の料金になります。
具体的にどのようなデザインにしたいのかによって料金も変わってきますが、単純なものなら格安業者で10~15万円・ボディサイズが大きい車で20~25万円といったところでしょう。ピンポイントで色を変えるなどの場合、パーツによって3~6万円程度の金額が想定されます。
ちなみに、キャラクターなど細密なデザインを取り入れたい場合は、ラッピング業者に依頼する方法もあります。専門業者にフルラッピングを依頼する場合、軽自動車で26万円~とそれなりの値段になりますから、リアやサイドなど一部にだけラッピングを取り入れた方が経済的です。
DIYする
塗装やラッピングを頼むお金を節約したい・自分のこだわりを反映させたいという場合は、DIY(自分で塗装する)という選択もあります。
車の塗装には専門技術が必要で、塗料そのものの素材も違うといった理由から、かつては素人がきちんと塗り切るのは難しいとされてきましたが、現代ではそういった弱点を克服した塗料や、それを塗るためのハケ・ローラーも売られています。
もともと、車の塗装が専門業者でなければ難しかったのは、ユーザーのニーズに合わせて進化した塗装技術の複雑さが一因です。防錆に下塗り・耐衝撃性向上に中塗り・光輝材を加えた塗料での上塗り・さらに塗装の保護と光沢を得るためのクリア塗装と、実に4段階の工程があります。
しかし、アンティーク志向・渋いデザインへの懐古趣味から、ツヤのない塗装を施すユーザーも増えており、塗料によっては素人でも車を簡単に塗装できるようになりました。
失敗のリスクもありますが、単色で十分ということであれば、チャレンジする価値は十分にあります。
価格帯も良心的で、1kg単位から売られているお店もあります。色・水性・ラッカーなどの種類に応じて値段も変わってきますが、5,000~7,000円程度から購入できるため、ハードルはかなり低いと言えるでしょう。
飲食店に不向きな色使いに注意
塗装を依頼・もしくは自分で行う場合、色選びや色使いには注意が必要です。青色の食材・メニューをほとんど見かけないのと同様に、キッチンカーに用いるには適さない色も一定数存在します。
以下、キッチンカーに適している色・避けた方がよい色についてお伝えします。
キッチンカーの外装塗装に適している色
キッチンカーの塗装に適した色には、暖色系の色があげられます。具体的には、赤色・オレンジ・黄色などが該当します。赤色には、食欲を増進させたり、高揚感を与えたり、時間経過を早めたりする効果があります。
日本独特の特徴として、木の色に近い茶色・木目調のデザインなどもよいイメージを与えます。古くから木のある生活に馴染んできた日本人には、安心感を与えてくれる色の一つです。
避けた方がよい色
すでにできあがったものはともかく、これから塗装するのなら、できるだけ紫や寒色系の色は避けた方が無難です。
こういった色は、食欲を抑えてしまうリスクがありますから、実店舗でイメージカラーとして使っているなど特別な理由がない限りは、なるべく選ばないようにしたいものです。
青は清々しいイメージを与えますが、それは空や海の色であり、食材ではありません。夏のビーチを連想させるデザインの中で青を使う場合を除いて、青単体で使うことはおすすめできません。
また、紫は腐敗した物を連想させる色の一つでもあるため、どうしても使いたい場合は前面に出さず、アクセントとして使うにとどめたいところです。
外観そのものよりもお店作りにコストをかけたい
キッチンカーの塗装はお店の存在をアピールするのに重要です。ただ、そこにお店があることを認知したからといって、そのままお客さんとして来てくれるかというとそうではありません。
お客さんが求めているのは見た目の美しさだけではなく、メニューの分かりやすさや安心感、美味しそうな匂いや弾けるような焼き音といった、提供までのプロセスも含めて得られる感動です。つまり、購買意欲をかきたてるためにはキッチンカーの外観にこだわるだけでは不十分で、看板やタペストリー、オブジェなどにも同じように気を使い、空間全体に働きかける必要があります。
塗装・ラッピングにこだわりすぎると、それだけで大きな出費となります。塗装そのものは重要ですが、塗装だけにこだわらず、全体のバランスを考えて投資することが大切です。
まとめ
移動販売車に関しては、基本的におしゃれなデザイン・塗装がマイナスに働くことはありません。しかし、それだけで売れるほど商売は甘くありません。
自分がこだわっている部分を表現するために、どうしても塗装・ラッピングが必要なら、しっかり手を抜かずに準備した方がよいでしょう。ただ、プロに頼めばその分だけお金がかかりますから、予算によっては自力で理想の塗装を実現する努力も求められます。
また、何よりも売れることを最優先と考えるなら、キッチンカーの周囲に気を配ることも忘れてはなりません。周囲の空間も含めてお店をコーディネートすることが、お客さんにお店の魅力を伝えることにつながります。