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移動販売車(キッチンカー)を8ナンバー登録するメリット・デメリットや登録条件について

移動販売車(キッチンカー)を8ナンバー登録するメリット・デメリットや登録条件について

2020年11月20日

移動販売車(キッチンカー)の製作にあたりよく耳にする「8ナンバー登録」ですが、具体的に何を・どのように変更することで登録できるのかは、あまり知られていません。

一口に8ナンバー車といっても、消防車や救急車・霊柩車に教習車など、実にさまざまな種類があります。キッチンカーは特種用途自動車のうち「食堂車」に分類され、車体の形状ごとに構造要件等の細部取扱いが別途定められています。

この記事では、移動販売車の8ナンバー登録について、その概要と取得に際してのメリット・デメリット、登録条件や押さえておきたいポイントなどをご紹介します。

8ナンバーとは

8ナンバーとは

8ナンバーは、特定の目的に合わせて改造された自動車に付けられるナンバーです。これを「特種用途自動車」と呼び、使用目的は以下の3つに分かれます。

  • 緊急車両
  • 法令特定事業で使用する自動車
  • その他の特種な目的で使用する自動車

「緊急車両」には緊急の事情がある場合に用いられる自動車が分類され、具体的にはパトカーなど警察車両・消防車・救急車・検察庁車・緊急警備車・護送車といったものがあげられます。

「法令特定事業で使用する自動車」というのは、給水車・採血車・郵便車・教習車・霊柩車・広報車などのことです。法令で特定された事業のために用いられる自動車が分類されます。

上記に該当しない改造された車は「その他の特種な目的で使用する自動車」に分類され、移動販売車・キッチンカーもここに入ります。特に飲食のための客席を設けているキッチンカーは「食堂車」として区分されます。

移動販売車を8ナンバー登録するメリット・デメリット

移動販売車を8ナンバー登録するメリット・デメリット

8ナンバー登録は、キッチンカーなど移動販売車を運用するにあたり必須ではなく、1ナンバー・4ナンバーのままで営業もできます。

8ナンバー登録にはメリット・デメリットの両方があるため、登録するかどうかは事業主の考え方によります。

以下に、移動販売車を8ナンバー登録するメリット・デメリットについてご紹介します。

メリット1:設備を乗せたままで車検が受けられる

8ナンバーを取得するメリットは、1ナンバー・4ナンバー車のデメリットと直結しています。それは「設備を乗せたまま車検が受けられるかどうか」という点です。

8ナンバーが無事取得できた車は、キッチンカーの設備を搭載した状態のまま車検を受けることができます。しかし、1ナンバー・4ナンバー車は、いったん設備を取り外してから車検を受けなければなりません。

車検の手間・営業に伴う制限を省き、なるべく営業活動につながる時間を確保したいと考えている人にとって、8ナンバー化は有効な選択肢の一つです。

メリット2:車検の期限が長くなる

8ナンバー化のもう一つのメリットは、車検の期間が1ナンバー・4ナンバー車に比べて長くなることです。2年に1度の車検となるため、毎年車検のスケジュールを押さえる必要がなくなります。

一方で、内部に設備が追加されている分、車検そのものの費用は高くなる可能性があることは覚えておきたいところです。

デメリット1:審査をクリアする必要がある

移動販売車の8ナンバー化を実現するためには、厳しい審査をクリアする必要があります。食品衛生法施行条例・用途区分通達に加え、保健所側の登録要件を満たさなければなりません。

構造物のパーセンテージやランプの有無・傾斜強度のテストなど、自治体によっては細かい条件があるケースもあるため、それほど簡単に取得できるわけではありません。

デメリット2:保険料が高くなる場合がある

8ナンバー化によって生じるもう一つのデメリットは、保険料が高くなってしまう場合があることです。

任意保険に至っては、そもそも8ナンバー車は加入を断られてしまうこともあります。登録後の任意保険加入については、登録前に細かい条件を確認しておきましょう。

8ナンバー登録する条件

8ナンバー登録する条件

8ナンバーを取得するために具体的にどのような条件があるのでしょうか。まずは8ナンバーの構造要件について、「自動車の用途等の区分について(依命通達)」(PDF)の中身を見てみましょう。

【構造要件】

料理をし、かつ、これを利用者に提供するために使用する自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。

1 調理に必要な加工台、流し台、調理するための設備機材等を屋内に有し、かつ、当該設備は屋内において使用することができるものであること。

2 調理用の水を貯蔵することができる容器及び排水された水を収納することができる容器を有すること。

3 調理作業及び食事をする場所は、照明及び換気装置を有すること。

4 1の設備の付近には、一辺が30cmの正方形を含む0.5㎡以上の調理作業用床面積を有し、かつ、当該床面から上方に1,600mm以上が確保されていること。

5 屋内には、食事をする者のためのテーブル、椅子を有すること。

6 食事をする者の出入りのため、次に掲げる寸法等を満足する乗降口が当該自動車の右側面以外の面に1ヶ所以上設けられており、かつ、通路と連結されていること。

ア 乗降口は、有効幅300mm以上、かつ、有効高さ1,600mm(イの規定において通路の有効高さを1,200mmとすることができる場合は、1,200mm)以上あること。

イ 通路は、有 効幅300mm以上、か つ、有 効 高さ1,600mm(食事をする者のためのテーブル、椅子の端部と乗降口との車両中心線方向の最遠距離が2m未満である場合は、1,200mm)以上あること。

ウ 空車状態において床面の高さが450mmを超える乗降口には、一段の高さが400mm(最下段の踏段にあっては、450mm)以下の踏段を有するか又は踏台を備えること。この場合における踏台は、走行中の振動等により移動することがないよう所定の格納場所に確実に収納できる構造であること。

エ ウの踏段又は踏台は、滑り止めを施したものであること。

オ ウの乗降口には、安全な乗降ができるように乗降用取手及び照明灯を有すること。

7 物品積載設備を有していないこと。

引用:自動車検査・登録ガイド|国土交通省

8ナンバー登録を行うためには、上記のような各種通達や条例を踏まえた上で、自治体が求める設備の条件を満たす必要があります。

登録を行う際は、できるだけその地域におけるキッチンカーの製造や登録に精通した専門業者に声をかけるのが賢明です。

8ナンバー登録する際に押さえておきたいポイント

8ナンバー登録する際に押さえておきたいポイント

メリット・デメリットや登録の手間を確認した上で、やはり8ナンバー登録を済ませたいと考えているなら、登録の準備を進める前に押さえておきたいポイントがあります。

以下のポイントをチェックした上で、それでもメリットがあると思えるかどうか、じっくり考える時間を設けましょう。

すべての車種・車両でメリットが得られるわけではない

ここまでご紹介してきた通り、移動販売車の8ナンバー化は、すべての車種・車両についてメリットがある話ではありません。

たとえば、軽自動車の4ナンバーキッチンカーなら、もともと車検も2年ですし税金も安いですから、わざわざ8ナンバーを選んでランニングコストを増やすよりも、設備を取り外して車検を受けた方が安上がりになるケースも十分考えられます。

逆に、大型トラック・バスなどを屋台のように改造したい場合は、事実上8ナンバー以外を選択するのは難しいでしょう。

8ナンバー登録の基準は年々厳しくなっている

かつて、8ナンバーは税金逃れの手段として用いられていた歴史があります。重量税・自賠責保険は高くなるものの、カスタマイズによってはトータルで考えると安く済ませられた時代があり、ランニングコストを減らす目的で行われていました。

そのような事情から、8ナンバーを気軽に取得できるナンバーにしないため、各種条件が厳格化されました。これは移動販売車に限った話ではなく、すべての特種用途自動車に言えることです。

結果的に、ランニングコストを下げたとしても、初期費用が増えてしまうケースも珍しくありません。

まとめ

まとめ

移動販売車を8ナンバー登録する際には明確な動機が必要です。どうして8ナンバーの取得が必要なのかを説明できなければ、そもそも審査に通るカスタマイズを実現するのは難しいでしょう。

キッチンカーの製造・販売を行っているお店をチェックしてみると、どのナンバーにも対応できるノウハウを持っているところが多いので、8ナンバーの登録について一度相談してみるとよいでしょう。