キッチンカーにはどんなタイプがある？タイプごとの特徴と選び方のポイントを紹介
これからキッチンカーを購入したり製作を依頼したりしようと考えている方は、キッチンカーにはどのようなタイプがあるのか、また、それぞれどのような特徴があるのかを知っておく必要があります。
一言でキッチンカーといってもサイズや形状などさまざまな種類があり、種類ごとにメリット・デメリットが存在します。キッチンカー選びの際にはあらかじめこれらを把握しておかないと、自身の営業スタイルに不適切なキッチンカーを購入・製作してしまうおそれががあります。
この記事では、キッチンカーの主なタイプと、タイプごとの特徴、選び方のポイントを紹介します。キッチンカーを初めて選ぶ方はぜひ参考にしてみてください。
キッチンカーの主なタイプとその特徴
キッチンカーには主に下記4つのタイプがあります。
- 軽バン
- ワゴンタイプ
- 軽トラックタイプ
- 普通車バン
- ワゴンタイプ
- 小型～大型トラックタイプ
各タイプの特徴や代表的な車種、キッチンカーとしてのメリットを以下で解説していきます。
軽バン・ワゴンタイプ
軽自動車のバンやワゴン（ワンボックスカー）をベースに、調理販売ができるよう、車両後部を改造したものです。代表的な車種には、スズキエブリィ、スバルサンバー、ダイハツハイゼット、日産NT100クリッパーバン、三菱ミニキャブバンがあります。
（出典：グーネット中古車）
軽バン・ワゴンタイプのキッチンカーのメリットは低予算で入手できることです。相場価格は、新車なら150万円前後、中古なら100万円以下のものも見つかります。また、軽自動車なので税金・保険料・ガソリン代といった維持費が安いことも特徴です。コストを抑えて移動販売をスタートしたい場合に適しています。
軽バン・ワゴンは、車全体が一つの箱のようになっているため、車体の前部から後部まですべてを室内として利用でき、軽自動車でありながら移動販売に必要な最低限の設備を搭載できます。
箱型であることはキッチンカーを自作する場合においても優位性があり、軽トラックタイプのキッチンカーのように荷台にボックスを組み付けるといった大掛かりなことをしなくても、運転席と後部座席の間に間仕切りを設け、あとはテーブルやシンクなど営業許可を取得するのに必要な設備さえ整えれば、比較的容易に営業可能な状態まで作り上げることができます。
車体が小さく取り回しが楽なのもポイントです。オフィス街や住宅街など、道が狭い場所でも気兼ねなく出店できます。また、車高が低いので立体駐車場にも駐められますし、床が低いのでお客さんとの距離が近く、コミュニケーションが取りやすいというよさもあります。
軽トラックタイプ
軽トラックタイプのキッチンカーは、軽トラックの荷台に、調理販売向けに作られた特別なボックスを組み付けたものです。
代表的な車種には、スズキキャリィ、スバルサンバートラック、ダイハツハイゼットトラック、日産NTクリッパートラック、三菱ミニキャブトラックがあります。相場価格は、新車なら250万円前後、中古なら110万円前後。
メリットは軽バンと同じく、低コストでの開業・運用ができるのと、車体が小さく小回りが効く点です。
軽バンとの違いは室内空間の広さです。軽トラックタイプの方がより多くの食材を積めるので、ある程度の規模のイベントにも対応できます。また、床から天井までが高いため、大きな火があがる料理が可能なほか、車内で立って作業できるというメリットもあります。かがんだままの姿勢で長時間仕事をするのは、体に大きな負担をかけます。
なお、ダイハツミラウォークスルーバンなど、軽バン・ワゴンタイプのキッチンカーにも、通常よりも天井高の高い車種をベースにしたものがありますが、やはり立ちながら調理したり販売はできません。
軽トラックタイプのキッチンカーは軽バンタイプよりも高価ですが、仮にベース部分（軽トラック）が傷んできたり故障してしまった場合でも、新調した代わりの車両にボックスだけ載せ替えてそのまま営業を続けられるため、長期的に見ればコストパフォーマンスで軽バンを上回ります。
普通車バン・ワゴンタイプ
普通車のバンやワゴンをキッチンカーに改造したものです。ベース車の代表的な車種は、マツダボンゴバン、日産キャラバン、トヨタハイエースです。相場価格は、新車で170万円前後、中古なら150万円～。
（出典：グーネット中古車）
普通車であるため軽自動車ベースのキッチンカーよりも室内が広く、複数のメニューを扱う場合でも調理するのに十分なスペースを確保できます。
また、軽自動車ベースの場合、最大積載重量は350kgしかありませんが、普通車バン・ワゴンの場合は最大850～1,250kgなので大量の食材を積み込むことができ、大きなイベントにも対応できます。
立ちながら作業できるほどの高さはありませんが、例外として、トヨタクイックデリバリーなどウォークスルータイプの車両をベースにしたものであれば立ったままの作業も可能です。
運転席のスペースが広く、馬力もあるので、長距離移動や起伏の激しい場所での走行が容易であることも特筆すべき点です。
コスト面では、軽バンと同じく内装設備を搭載するだけで比較的容易にキッチンカー化できるため、小型～中型トラックタイプと比べると費用を抑えながら移動販売を開始できます。また駐車スペースにも困りません。
小型～大型トラックタイプ
小型1.0t～中型4tくらいまでのトラックの荷台にボックスを組み付けたものです。ベース車の代表的な車種には、トヨタタウンエース、トヨタライトエース、マツダボンゴトラック、日産バネットトラック、いすゞエルフトラック、三菱ふそうキャンターがあります。相場価格は、新車なら350万円前後、中古なら180万円～280万円程度です。
（出典：グーネット中古車）
車体が大きくとにかく室内空間が広いので、業務用のコールドテーブルや調理機材などが設備可能で、天井までの高さもあるので立ったまま作業できるのはもちろん、中華鍋を振るって強火力で炒めるなど、より本格的な調理が可能です。食材も大量に積み込むことができます。大勢の人たちが集まる中～大規模イベントでは大活躍するでしょう。
運転席のスペースが広く走行性能もよいので、長距離移動でも苦になりません。しかし中型以上のトラックになると小さなスペースには駐められないので、出店場所や駐車スペースには気をつける必要があります。
タイプ選びのポイント
何を売るのか、どのような調理をするかで決める
販売する商品によって導入機材や調理工程は異なります。必要な設備が車内に収まることはもちろん、料理の品質や提供スピードを長時間維持するために、無理なく・効率よく調理・作業できるサイズの車を選びたいところです。
車内の床から天井までの高さも考慮すべきです。立って調理したり、火力が必要な調理をしたりする場合、天井高が低いバンやワゴンタイプよりも、高さのあるトラックタイプが適しています。
どこで・どのように販売するのかで決める
通常出店を主な出店スタイルとし、オフィス街や住宅街を回るなら、小回りが効き、お客さんとの距離が近くてコミュニケーションが取りやすい、軽バン・ワゴンや軽トラックタイプのキッチンカーが向いています。
一方、イベント出店を中心に営業する場合、イベントの規模にもよりますが、車内空間が広く最大積載量が多い普通車ベースのキッチンカーの方が、食材、機材、人員を多く積むことができる分有利です。
駐車スペースが確保できるキッチンカー
キッチンカーを維持していくには駐車スペースの確保が必須です。立体駐車場しか借りられない場合、車高が2mを超える可能性が高い軽トラック・トラックベースのキッチンカーは停めることができません。大型トラックなど車体が大きいトラックは平面駐車場でも駐められないことがあります。
見落としがちなポイントですが、キッチンカーを駐めておく場所を必ずあらかじめ考えておきましょう。
予算で選ぶ
本来キッチンカーのタイプは使用用途で選ぶべきですが、大型のキッチンカーは価格も維持費も高く、リスクまで考えればおいそれと気軽に用意できるものではありません。実際には予算で選ぶこともあるでしょう。
紹介した4タイプのなかで特に軽バン・ワゴンタイプは販売価格・製作料金が安く、また自作する場合でも比較的容易に営業可能な状態までもっていけるので、初期費用をできる限り安く抑えたい場合には最適な選択になり得ます。
まとめ
キッチンカーのタイプについて、それぞれの概要や特徴、代表的な車種、相場価格とともに紹介してきました。いかがでしたでしょうか。
キッチンカーには大まかに、「軽バン・ワゴンタイプ」「軽トラックタイプ」「普通車バン・ワゴンタイプ」「小型～中型トラックタイプ」の4タイプがあり、何をどこでどのように販売していくのかで選ぶべきタイプは違います。
小さくて小回りが利くタイプを選ぶのか、大型イベントを狙って大型のキッチンカーにするのかなど、選び方は状況に応じてさまざまです。キッチンカー選びを失敗しないためには、扱うメニューと出店スタイルをあらかじめはっきりさせておくことがポイントです。