移動販売車はこまめににメンテナンスすることでランニングコストを抑えられる
移動販売車(キッチンカー)を製作する際、キャッチーな見た目・設備の充実・予算削減といった部分を気にする人は多いと思います。しかし、その後のメンテナンスを想定して製作を依頼しないと、後々後悔する可能性があります。
どんな車であっても定期的なメンテナンスは必要ですし、キッチンカーは調理以前に走れなければ仕事になりません。安心して商売を継続するためには、車の状態に気を配ることが大切です。
この記事では、これから移動販売車を製作する方に向けて、どうして移動販売車は定期的なメンテナンスが必要になるのか、安定経営やコスト削減の観点から解説します。その上で、メンテナンス・修理にかかるコストを最小化するために、具体的にどのような点に留意する必要があるのかもご紹介します。
メンテナンス不足は深刻な問題を招く
移動販売車に限らず、車は定期的に点検する必要がある乗り物です。放っておいても一定期間は乗り続けられるかもしれませんが、次第にエンジンオイルの劣化や減少・ブレーキパッドの減りなど、細かいダメージが積み重なっていきます。
メンテナンスが必要なのは車本体だけではなく、車内の調理器具・設備も同様です。これらのメンテナンスを怠っていると、以下のような大事故や想定外の出費に悩まされるリスクがありますから、できるだけこまめにメンテナンスを行う必要があります。
車の突然の故障で機会損失
車の故障は突然やってくるものです。それがたまたま休業日だったらまだよいのですが、一通り仕込みも済ませて、さあこれから現地まで向かうぞという時にエンジンがかからなくなってしまったら……。言うまでもなく、修理が終わるまで一切の営業ができなくなります。
せっかくの稼げるチャンスを棒に振ってしまうのは非常にもったいないことです。修理にかかる日数が長くなればなるほど機会損失も増えますから、修理代に加えて売上の減少も深刻なものになります。
予想外の大出費
何の前触れもなく、車が突然故障して動かなくなるというのはまれなことです。大抵は何らかの小さな故障が積み重なって、最終的に大きな故障へと発展していきます。
たとえばバッテリーの出力が落ちている状態でだましだまし乗っていると、気温が下がる冬場にはエンジンがかからなくなるリスクが高くなります。また、エンジンからのオイル漏れを放置していると、やがてオイルの減りが早くなり、最終的にエンジンが焼き付いて動かなくなってしまいます。
異常を早期に発見し、修理しておけば、小さな修理費で済む場合がほとんどです。しかし問題を長い間放置してしまうと、将来的に予想外の大出費につながる可能性があります。
重大事故を起こしてしまう可能性も否定できない
メンテナンス不足に伴う不具合につき、自分だけが損害をこうむる分にはまだよい方です。
最悪なのは、自車のメンテナンス不足が原因で、他人に重大な損害を与えてしまうことです。
移動中にハンドルがきかなくなり、歩行者をはねてしまったら、その人の人生を台無しにしてしまうかもしれません。また、調理器具の不具合で火災が発生してしまうと、周囲に迷惑をかけてしまいますし、設備の状態によっては食材の冷却や加熱が不十分で食中毒を引き起こすリスクもあり得ます。
メンテナンス・修理にかかるコストを抑えるには最初のキッチンカー選びが重要
メンテナンス不足のリスクが分かったところで、続いてはメンテナンス・修理コストについてお伝えします。
将来のメンテナンス・修理にかかるコストを抑えるには、キッチンカーを製作・購入する段階から諸々の条件を勘案する必要があります。
以下に、具体的な条件をご紹介します。
外車よりも国産車・中古車よりも新車
レトロで可愛らしい雰囲気のワーゲンバスなど、非日常を演出するキッチンカーにとって、外車はとても魅力的に映ります。しかし、そういった車は年季の入った中古車であることが多く、高い頻度でメンテナンスが必要だったり、変えのパーツが高額だったりすることがしばしばあります。
その点、耐久性に定評のある国産車がベースのキッチンカーなら、一般的な頻度でのメンテナンスで十分ですし、パーツも豊富に流通しているので、パーツ交換を伴う修理でも比較的ちさな修理費で済みます。
ベースにする車両は、予算が許すなら中古車よりもやはり新車が好ましいです。中古車は確かに初期費用は抑えられますが、メンテナンスや故障時の費用が割高になりますし、メンテナンス中・修理中に営業できないことなども考えると、結果的にそれほどコストパフォマンスはよくありません。
中古車選びは慎重に
中古車を購入するならできるだけ状態のよい車両を選んでください。車に関する知識がない人でも状態をチェックできるポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 走行距離(軽自動車は80,000km以下、普通車は130,000km以下を目安にし、タイミングベルトの交換がなされているかをチェック)
- 足回り(ホイールや下部の錆びは目立っていないか、寒冷地なら塩害加工がなされているか)
- 運転席や内装の状態(使用感が強いものはクセがあるおそれがあるため注意)
その他、塗装の色が一部だけ浮いて見えるなど、違和感があるものは除外して、販売店も含めて信頼できそうなものを選んでみてください。
架装部分の耐久性・メンテナンスのしやすさも考慮する
キッチンカー独自の判断基準として、架装部分の耐久性・メンテナンスのしやすさも重要になってきます。もし何らかの問題が見つかれば、移動はできても出店できない状況を招いてしまいます。
跳ね上げ扉・オーニングなど、直接車の性能には関係なくても、お客さんを招き入れる上で非常に重要な部分は数多く存在しています。万一そこが営業中に壊れてしまったら、お客さんにケガをさせてしまうリスクもあります。普段はどのように使う架装なのか・日々のメンテナンスや取り扱いは難しくないか、改造を施す前に確認するようにしてください。
製作業者はメンテナンスも考えて選ぶ
いちからキッチンカーを製作してもらうなら、業者選びの点でも覚えておきたいポイントがあります。それは、メンテナンスも同じ業者にお願いすることを前提に選ぶということです。
自分の活動圏から遠い場所に業者の工場があると、急な修理が必要になった時に面倒です。
また、メンテナンスを定期的に入れる際も、辿り着くまでに時間がかかってしまうと、その分負担になります。
メンテナンス内容や料金がどのようになっているかも事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
内外装や調理設備、電気周りのメンテナンスも同時に
キッチンカーをメンテナンスする際は、エンジン・足回りだけを重点的にチェックするだけでは不十分です。お客さんに存在をアピールする内外装・美味しい商品を提供するための調理設備・安定して電力を確保するための動力や配線など、細かい部分もメンテナンスを入れたいところです。
こちらも、できれば工場に車を預けた際、一緒にチェックしてもらえると効率的です。一般的なディーラー・整備工場を選ぶよりも、キッチンカーの整備実績が豊富な工場を探した方がよいでしょう。
まとめ
移動販売車のメンテナンスは、単純にメンテナンスの腕がよい工場を探せば解決する話ではなく、そもそも修理の機会が少なくなる車を選ぶことが第一条件です。また、車本体のコンディションをチェックした上で、架装部分や調理器具・各種設備など細かい部分のメンテナンスも必要です。
技術に自信がない人はもちろん、心得がある人であっても、DIYですべてをまかなうことはできないものと考えておいた方が賢明です。餅は餅屋と言いますから、無駄な出費や機会損失を減らすためにも、キッチンカーのメンテナンスは専門業者に依頼する前提で考えておきましょう。