新車が買えないワーゲンバスのキッチンカーは製作した方が安上がり
すでに生産が終了し、現在は新車での入手が不可能なワーゲンバス。レトロで特徴的、かつ万人受けする愛くるしいビジュアルから、ワーゲンバスのキッチンカーが欲しいと考えるのも納得です。
しかし、いざ中古車市場を調べてみると、キッチンカー仕様ではない通常の車両にさえ少し信じられないくらいの高値が付いています。
ワーゲンバスとはそもそもどのような車かを説明したうえで、キッチンカーとしてのワーゲンバスのメリット・デメリットや、入手方法、相場価格、代替としておすすめのキッチンカーについてまとめました。
ワーゲンバスはどういう車?
(出典:グーネット中古車)
ワーゲンバスはビジュアルが大変魅力的なので「もうこの車に決めた」という方もいるとは思いますが、まずはワーゲンバスが実際にはどのような車なのか、簡単におさらいしてみましょう。
ワーゲンバスの歴史
ワーゲンバスの歴史は1949年のプロトタイプ誕生から始まりました。ビートルの愛称で知られるタイプ1に続く、フォルクスワーゲン社2台目の自動車、タイプ2。
1950年から販売が開始されたタイプ2は、商用貨物車として求められる「安い」「壊れない」「よく走る」に応える事ができる性能を持っていたため、瞬く間に国際的な支持を得て世界中で販売されました。
日本でタイプ2の輸入が始まったのは1953年の事です。 特徴的なビジュアルと確かな性能は日本においても認められ、ワーゲンバス、サンババスなどの愛称を得るに至りました。
タイプ2は時代の求めに従って進化を続けました。1967年には2代目にあたるタイプ2T2が、1979年には3代目T3が、1990年には4代目T4、2003年には5代目T5、2016年には6代目T6が発売され、非常に歴史の長いシリーズに。
ただ、「ワーゲンバス」という呼び方を目にした場合、特にレトロ感の強い初代T1と、T1に似たビジュアルを持つ2代目T2の事を示す場合がほとんどで、一般的にT3以降のモデルがワーゲンバスと呼ばれることはありません。
非常に人気の高い「ワーゲンバス」でしたが、「設計が古くなってしまった」「環境規制に対応できない」などの理由から、T1は1975年に、T2は2013年に、それぞれの販売を終了しました。
1949年に生まれた車が2016年まで販売され続けたというのは驚くべきことです。
ワーゲンバスのスペック
ここでは最も人気の高いフォルクスワーゲン・タイプ2T1の基本的なスペックを紹介します。
- 全長:4,100mm
- 全幅:1,700mm
- 全高:1,900mm
- 最高出力:25hp~53hp(搭載されているエンジンによって異なります)
- 最大積載量:1,000kg
長さと幅はアルファードやセレナなど、ミニバンと呼ばれる車より一回り小さいですが、高さがあります。
また、エンジンは駆動軸も後ろにあるという珍しい構造をしているため、床の位置を低くすることができ、車内スペースの広さでは見劣りしません。
ワーゲンバスは、コンパクトに見えるけれど意外と大容量なミニバンと言えます。
キッチンカーのベース車としてのメリット・デメリット
(出典:グーネット中古車)
キッチンカーのベース車両としてのワーゲンバスには、メリットとデメリットがあります。 事前に把握しておくことで、良い点は活用し、悪い点には対応する事ができます。
メリット
1.見た目だけで興味・関心を持ってもらえる
目を引く優れたビジュアルに合わせ、平面の多い車体は、ダイナミックなデザインの塗装も可能にします。 また、可愛いもの好きな女性やワーゲンバスファンに興味を持ってもらいやすいため、ワーゲンバス自体が持つノスタルジックで可愛らしいイメージも、大きなメリットになり得るでしょう。
2.多くの機材や食材を積める
車体の構造が独特で床が低く、車内空間が広いので、多くの設備や食材を積み込むことができます。最大積載量も1,000kgと十分なので、中規模以上のイベントにも対応可能です。
デメリット
1.車両自体が古い
特にT1は現代の車両と比べると車両性能は物足りないと言わざるを得ません。パワーステアリング、エアコンなど、現代では当然のように装備されている快適装備が装備されていない可能性があり、追加で装備する場合はコストがかかります。 また、車両自体が古いと丁寧にメンテナンスしていないと故障のリスクが高まりますし、メンテナンス・修理にかかる時間や費用も相当なものです。
2.価格が高い
レトロな希少車種のため、中古車市場を探してみても多くは出回っていません。 また人気車種でもあるので全体的に販売価格は高めです。 開業資金が余計に必要になるという点は大きなデメリットだと言えます。
中古車購入か製作か。それぞれの費用相場とメリット・デメリットを解説
ワーゲンバスのキッチンカーを入手する方法は下記の2つです。
- キッチンカー仕様のワーゲンバスを中古で購入する
- 中古のワーゲンバスを購入しキッチンカーに改造する
それぞれ必要になる費用の相場とメリット・デメリットを表にまとめました。
/ |
メリット |
デメリット |
費用相場 |
キッチンカー仕様のワーゲンバスを購入する |
早期に営業を開始できる可能性が高い |
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350万円~950万円 |
ワーゲンバスを購入しキッチンカーに改造する |
一から改造するので細かい理想を実現でき、それなりに数があり好みの車両を選べる |
改造に時間がかかる |
250万円~850万円 |
キッチンカー仕様のワーゲンバスを中古で購入する場合、営業許可を取るのに必要な設備がそのまま残っていることが多く、その場合は早期に営業を開始できる可能性が高いです。
しかし、ワーゲンバスは人気の希少車種なのでそもそもキッチンカー仕様の車両は数が少なく、設備まで整った理想的のものとなると出会える可能性は極めて低いのが実際のところです。
一方、中古のワーゲンバスを購入してキッチンカーに改造する場合、必要な設備を自由に無駄なく組み込めるので理想的な状態に仕上げることができますが、製作業者に依頼するとその改造には少なくとも1~2ヵ月の期間を要します。
ワーゲンバス風のキッチンカーなら新車で作れる
ワーゲンバスのキッチンカーを手に入れようとすると費用がかさむばかりかベース車の状態次第では頻繁なメンテナンスや修理が必要となり安全性・安定性の面でも心配です。
特にこれからはじめてキッチンカーで移動販売を開業しようと考えている方にはおすすめできないというのが正直なところです。
そこで代替案として、軽トラックをベースにワーゲンバス風のキッチンカーを作るという手段を紹介します。
新車の軽トラックで快適・安心なキッチンカーを作る
ワーゲンバス風のキッチンカーはスズキ・キャリイなどの軽トラックをベースにキッチンカーを製作します。新車ベースでありながら車両代込み200万円程度から製作可能です。
現行モデルの新車ベースなので、ワーゲンバスには装備されていない快適装備が初めから備わっていますし、より費用を減らしたいのであればパワーステアリング、エアコンなどが装備されていない車両を選択することもできます。
もっと費用を抑えたいなら中古の軽トラックをベースにします。中古とはいえ30年以上前に生産終了となったワーゲンバスよりもずっと新しい車両ですから、エンジンをはじめとした各部品の傷みは少ないですし、耐久性も比べ物になりません。メンテナンスや修理を行う際にもパーツが潤沢に出回っているため比較的費用がかかりませんし、その他、燃費のよさや車検・保険料の安さなど、メリットは数え切れません。
ビジュアルイメージに大きく影響を与える車両前面部は、俗に「アーリーフェイス」と呼ばれるオプション品を取り付けることでワーゲンバス風にすることが可能です。
ワーゲンバスの愛らしいビジュアルを持った、新しいキッチンカーが手に入ります。
はじめてのキッチンカーなら”ワーゲン風”がベター
ワーゲンバスはノスタルジックで可愛らしい外見でありながら車内スペースは広く、キッチンカーのベース車としても十分な適正を持っていることから業界内でも大変人気があります。30年以上前に生産が終了され、現在では新車で購入することができないため希少性が高く、それに伴って価格も高額です。
一方、車両自体が古いので耐久性や安全面に難があり、維持費も比較的多くかかるため、特にはじめてのキッチンカー運営で使用する車としてはあまりおすすめできるものではありません。
キッチンカーの製作業者に依頼すれば、軽トラックをベースにワーゲンバス風のキッチンカーを製作してもらうことが可能で、ワーゲンバスに比べて耐久性や安全性も高く、維持費も抑えることができるのでおすすめです。ぜひ一度検討してください。